更新日:2017年11月23日.全記事数:3,190件.

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代償性肝硬変患者にリーバクトを使っちゃダメ?


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肝硬変の薬の併用

リーバクトと肝炎ウイルス治療薬を処方して、保険請求で査定された話がある。

C型肝炎治療薬の適応症には、薬によって異なるが、C型慢性肝炎とC型代償性肝硬変がある。
非代償性肝硬変まで進むと、適応から外れる。

C型肝炎治療薬の「効能又は効果に関連する使用上の注意」に以下のように書かれている。

医薬品名効能又は効果に関連する使用上の注意
エレルサ/グラジナ本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認すること。また、肝予備能、臨床症状等により、非代償性肝硬変でないことを確認すること。
コペガス、レベトールC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善への本剤の併用にあたっては、HCV-RNAが陽性であること、及び組織像又は肝予備能、血小板数などにより、慢性肝炎又は代償性肝硬変であることを確認すること。
ジメンシー本剤の使用に際しては,HCV RNAが陽性であることを確認すること。また,肝予備能,臨床症状等により,非代償性肝硬変でないことを確認すること。
ダクルインザ/スンベプラ本剤の使用に際しては,HCV RNAが陽性であることを確認すること。また,肝予備能,臨床症状等により,非代償性肝硬変でないことを確認すること。
ソバルディ本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認すること。また、肝予備能、臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認すること。
ハーボニー本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認すること。また、肝予備能、臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認すること。
マヴィレット本剤の使用に際しては,HCV RNAが陽性であることを確認すること.また,肝予備能,臨床症状等により,非代償性肝硬変でないことを確認すること.
ヴィキラックスセログループ1(ジェノタイプ1)においては,肝予備能,臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認すること.また,セログループ2(ジェノタイプ2)においては,組織像又は肝予備能,血小板数等により肝硬変でないことを確認すること.

リーバクトの適応症は「食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善」となっており、非代償性肝硬変まで進んでいなければ投与不可である。
そのため、両者が処方されていた場合、どっちなのか疑義照会で確認する必要性が生じる場合もある。

C型肝炎治療薬は高額のため、保険請求で査定されたり、返戻されると医療機関側のダメージは大きい。

ちなみにアミノレバンやヘパンEDの適応症は「肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善」です。

代償性肝硬変と非代償性肝硬変

肝硬変の種類に代償性肝硬変と非代償性肝硬変というのがあります。

肝硬変において、腹水・黄疸・ 下腿浮腫・肝性脳症などの肝機能の低下・門脈圧亢進症による症状が、いずれもみられない場合を「代償性肝硬変」、一つでもみられる場合を「非代償性肝硬変」と分類しています。

つまり、肝臓は肝細胞が障害を受けても、残った肝細胞でその機能を「代償」する機能を持っているため、障害を受けていない肝細胞が代償するため症状の出ない肝硬変が「代償性肝硬変」です。

代償性肝硬変では 生化学検査がほぼ正常値に近く、AST・ALT値 やγ-GTP値の軽度上昇を認めるのみですが、非代償性肝硬変に至るとビリルビン値上昇やアルブミン値低下、プロトロンビン時間延長などの凝固異常、血小板数の低下、コリンエステラーゼの低下等を認めるようになります。

具体的な診断はチャイルド・ピュー分類によって行われます。

チャイルド・ピュー分類

肝硬変は重症度によって分類され、治療法を決定します。
分類は、「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」を用います。

 1点2点3点
脳症ない軽度(Ⅰ、Ⅱ)時々昏睡(Ⅲ)
腹水ない少量(1~3L)中等量(3L~)
血清ビリルビン値(mg/dL)2.0未満2.0~3.03.0超
血清アルブミン値(g/dL)3.5超2.8~3.52.8未満
プロトロンビン活性値(%)70超40~7040未満

各ポイントを合計して、その合計点で判定する。
グレードA(軽度):5~6点 代償性
グレードB(中等度):7~9点 代償性から非代償性
グレードC(高度):10~15点 非代償性肝硬変

グレードA:軽度の肝硬変で肝臓の機能がなんとか保たれている状態です。(代償性肝硬変)
グレードB:中程度の肝硬変で、軽度な合併症(症状)がみられます。
グレードC:重度の肝硬変で肝臓の機能が維持できなくなり、様々な合併症(症状)があらわれます。(非代償性肝硬変)

肝硬変の栄養療法

以前は肝硬変と診断されると約10年の命と言われ、死の宣告を受けたのも同然でした。
最近は栄養学の進歩から、栄養療法をつづけることで延命や生活の質が改善されることが報告されています。

肝硬変では血清アルブミン値(正常値: 4.0~5.0g/dL)が1年間に平均0.15g/dL低下するとされ、血清アルブミン値3.5g/dL未満の5年生存率(5年間生きられる率)は低下すると報告されています。
血清アルブミン値が高いほど長生きできる。

血清アルブミン値を3.5g/dL以上に上昇させるための栄養療法として高蛋白食が出された時代もありましたが、非代償性肝硬変まで進行すると高蛋白食をとれば血清アンモニア値が高くなって肝性脳症を起こす危険があるので、むしろ蛋白質をひかえた低蛋白食が理想的です。

肝不全患者では、肝臓におけるアンモニアの分解能力が低下しているために、高アンモニア血症の恐れがあります。
なので、低蛋白食で効率のよいアミノ酸利用を目指します。

肝硬変患者では、BCAAが減少しAAAが増加したアミノ酸インバランスが見られます。
BCAAは筋肉で代謝されてアンモニアを解毒すると同時に肝臓のエネルギー源になりやすいアミノ酸です。したがってBCAAを多く摂取しAAAを減らすことでアミノ酸バランスを整え、肝臓のエネルギー不足を補うと、肝臓でアルブミンが多く作られるようになって肝硬変の予後を改善できるのです。
アミノレバンやらリーバクトやらで、BCAAを増やします。

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