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プロトピックとステロイドの違いは?
公開. 更新. 投稿者:アトピー性皮膚炎/ステロイド外用薬.この記事は約3分26秒で読めます.
5,168 ビュー. カテゴリ:プロトピックとステロイドの違い
プロトピック軟膏とステロイド外用薬を比較したときの最大のメリットは皮膚の萎縮を起こさないことであり、顔面皮疹の治療に適している。
ただし、半数以上の患者で刺激感を認め、アトピー性皮膚炎の症状が高度であるほど刺激感は強い。
そのため、ステロイド外用薬を先に使用し、寛解維持にプロトピック軟膏を使用するのが実際的である。
プロトピック軟膏とステロイド外用薬のアトピー性皮膚炎に対する作用の違いは?
ステロイド外用薬 | タクロリムス外用剤 |
---|---|
分子量が450ー520 | 分子量は822.03 |
湿疹病変からのみでなく、正常皮膚からも吸収される | 湿疹部位からしか吸収されない |
剤型が豊富で軟膏は刺激症状が極めて少ない | 使用開始時に刺激症状が高率に認められる(特にびらん、掻破壊がある場合には強い) |
様々な強さのものがあり、効果の範囲が広い | 効果は0.1%製剤でステロイド外用薬のストロングクラスとほぼ同等 |
長期連用で皮膚委縮、紫斑、毛細血管拡張などの局所的副作用を生じる | ステロイド外用薬で見られるような局所的副作用が少ない |
両薬剤ともアトピー性皮膚炎の病態の遷延・難治化に関わるTh1およびTh2細胞のサイトカイン産生抑制作用を示しますが、T細胞内でのサイトカイン産生抑制の機序が異なります。
また、タクロリムスは長期間使用しても皮膚萎縮や毛細血管拡張が認められないことや、分子量が822.03(タクロリムス水和物として)と大きいため正常皮膚からは吸収されないこともステロイド外用薬と異なる点です。
プロトピック軟膏はバリア機能が低下している病変局所では吸収されやすく効果を発揮し、皮膚炎が軽快すると吸収が低下し、副作用も生じにくい。そのため、寛解維持期の治療に向くと考えられる。
プロトピックは分子量が大きいので、アトピーでない正常な皮膚からは吸収されず、作用しないとされています。
しかし刺激が強い。
ですが、しばらく使っていると治まります。
ステロイドは皮膚萎縮の副作用があるので、長く使っていると皮膚が段々薄くなってきます。
そして、血管が浮き出て、顔に塗ると赤ら顔に。
もともとアトピーでも赤ら顔になっているのに、ステロイドを塗るとさらに悪化。
なので、顔にはプロトピックが使われることが多い。
アトピー性皮膚炎をはじめとする炎症性皮膚疾患では、リンパ球やマスト細胞、好酸球などの免疫の働きを担う細胞が皮膚組織で活性化して、炎症やかゆみが生じます。
プロトピック軟膏は、これらの免疫担当細胞の活性化を抑えることで、皮膚局所の炎症を和らげる作用を発揮し、国内では2歳以上のアトピー性皮膚炎に使用されています。
アトピー性皮膚炎に対するプロトピック軟膏の効果をステロイド外用剤と比較したところ、16歳以上向けの0.1%軟膏は0.12%吉草酸ベタメタゾン(Ⅲ群、ストロング)と同程度で、2歳以上15歳以下の小児向けの0.03%軟膏は0.1%アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(Ⅳ群、マイルド)より優れていました。
●0.1%軟膏(16歳以上):ストロングクラスのステロイド外用薬と同等
●0.03%軟膏(2歳以上16歳未満):マイルド~ストロングクラスの中間
アトピー性皮膚炎の治療では、かゆみを和らげることがとても重要ですが、プロトピック軟膏は、ステロイド外用剤ではかゆみのコントロールができずに軽快しなかった皮疹に対して、まずかゆみを和らげたあとに皮疹を軽快させることがしばしば経験されます。
プロトピックを外用した皮膚では、ステロイドを外用した場合と比べて、かゆみのもとになるサブスタンスPという物質が減少しているなど、プロトピックがステロイドとは異なるかゆみを和らげる作用をもっていることがうかがわれます。
免疫抑制剤のタクロリムス外用薬は、ステロイド外用薬とは異なる機序でTリンパ球の機能を抑制し、炎症を鎮静します。
症状の改善が認められない場合は漫然と使用せず、強力な薬効を必要とする高度の皮疹に対しては、それに応じたステロイド外用薬の使用をまず考慮します。
プロトピックと刺激感
顔や首にタクロリムスを外用し始めると、成人の約8割、小児の約5割にほてり感やヒリヒリ感、痛みやかゆみなど、ステロイドにはみられない皮膚の刺激感がみられます。
刺激感が強すぎて外用を中止せざるを得ないことも、まれにあります。
タクロリムス外用剤による皮膚の刺激感は、温度差、入浴により増強することがあるので、外用当初は入浴直後に外用せず、少し時間を空けてから外用するよう指導します。
これらの刺激感はほとんどの場合、外用を続けていると皮疹の軽快に伴って2~3日以内に軽減しますので、外用を始める前に十分に説明しておくことが大切です。
また、ただれやひっかき傷があると刺激感が強く現れる可能性があるため、ステロイドを数日外用して、ただれやひっかき傷を一旦軽快させてからタクロリムス軟膏を使用するようにします。
プロトピックをお風呂に入る前に使っちゃダメ?
プロトピック軟膏は使用開始直後から約80%の患者さんで灼熱感、ほてり感、疼痛、掻痒感などの皮膚刺激感が認められています。
この刺激感は通常皮疹の改善とともに減少するので、患者さん自身の判断で使用を中止しないように指導することが大切です。
また、刺激感は入浴時に増強することがあるので、入浴やシャワーの前の使用は避けるように指導することが必要です。
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