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乳酸菌で臭いが消える?
公開. 更新. 投稿者:月経/子宮内膜症.この記事は約3分56秒で読めます.
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乳酸菌で臭いが消える?善玉菌と清潔のジレンマ

清潔を保つことは健康維持の基本です。しかし、やりすぎは逆効果になることも。特にデリケートゾーンや腸内環境においては、「清潔=善」では片付けられない繊細なバランスが存在します。乳酸菌が私たちの体臭や膣内環境、腸内のニオイにどう関わっているのか、科学的な視点から掘り下げていきます。
膣内のニオイと乳酸菌の関係
「デリケートゾーンを清潔に保つために、トイレのビデ機能を使って頻繁に洗浄する」――この行動、一見正しいように思えますが、実はトラブルの原因になることがあります。特に女性の膣内には“デーデルライン桿菌”と呼ばれる乳酸菌が常在しており、この菌が膣内環境を酸性に保ち、雑菌の侵入を防いでくれているのです。
デーデルライン桿菌は、膣内にあるグリコーゲンを分解して乳酸を産生し、その乳酸がpHを酸性に保ちます。しかし、ウォシュレットやビデによる頻繁な洗浄は、この善玉菌まで洗い流してしまい、膣内が中性に傾き、雑菌が増殖しやすい環境になってしまいます。
結果として、おりものの増加、かゆみ、ニオイの悪化といった「膣炎」の症状が起こることがあるのです。カンジダ膣炎などで「とにかくキレイにしたい」という気持ちから過度に洗浄を繰り返すことは、かえって悪化を招く可能性があります。
妊娠中は特に注意
妊婦さんはホルモンバランスの変化によって、細菌性膣炎などの感染症にかかりやすくなります。そのため、膣内の乳酸菌バランスを保つことがより重要になります。洗いすぎは禁物。外陰部の清潔を保ちつつ、膣内の常在菌を守る意識が求められます。
洗い流さないケア製品「インクリア」
過度な洗浄が問題なら、どうすればよいのでしょうか。その答えの一つとして、「インクリア」という製品が注目されています。これは、膣内に直接使用するゼリー状の洗浄剤で、物理的に洗い流すのではなく、pHバランスを整え、乳酸菌の働きをサポートすることを目的としています。
「におい・おりもの対策ジェル」として販売されており、洗い流さないことで膣内環境を守るというコンセプトに基づいています。デリケートゾーンに過度な刺激を与えることなく、自然のバリア機能を活かすケア方法として有効とされます。
乳酸菌と腸内環境、そして体臭
体臭や口臭の原因は、実は腸内の環境にも関係があります。腸内では、タンパク質が悪玉菌(ウェルシュ菌や大腸菌など)によって腐敗分解されると、アンモニア、アミン類、硫化水素、スカトール、インドールといった悪臭成分が生成されます。
一方で、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌は、腸内を酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を抑制します。さらに、善玉菌はタンパク質を有害物質ではなく、アミノ酸として吸収しやすい形に分解します。腸内のpHが酸性になると、アルカリ性を好む悪玉菌は増えにくくなり、結果として体臭が軽減されるというメカニズムが考えられています。
つまり、整腸剤や乳酸菌サプリメントを継続的に摂取することで、腸内の善玉菌を増やし、体臭・口臭対策になるというのは理にかなっているのです。
カンジダ予防にも乳酸菌
カンジダ膣炎の再発を予防する目的で、乳酸菌製剤(たとえばラックビーなど)が処方されることもあります。乳酸菌は、カンジダ菌糸の組織への付着性を抑える働きがあり、さらに腸内環境の改善を通じて全身の免疫バランスにも寄与します。
また、口臭対策としても乳酸菌の効果は注目されています。乳酸菌含有のタブレットやヨーグルトが販売されており、口腔内の悪玉菌のバランスを整えることで、臭いの元を減らすというアプローチがとられています。
まとめ
「洗えば清潔になる」という考え方には限界があります。特にデリケートな部位では、清潔のための行動が、かえって善玉菌を減らし、雑菌の増殖を招くことがあるのです。乳酸菌は、膣内、腸内、口腔内と、さまざまな部位でニオイ対策や感染予防に関与する頼もしい存在です。
身体の中に元から備わっている「防御力」を守ること――これが、真の意味での“清潔”なのかもしれません。
1 件のコメント
エストロゲンと骨密度の関連性をより深く矯味があります。