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ブドウ糖10gで血糖値はどのくらい上がる?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約4分40秒で読めます.
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ブドウ糖がどのくらい血糖値を上げるか?
低血糖のときブドウ糖ってどのくらい飲めばいいの?
糖質1gで血糖値は5mg/dL上昇するといわれる。
治療としては基本的には血糖値が70mg/dl以下のときは40kcalほど摂取することが望ましいとされている。経口摂取が可能な場合はブドウ糖10gやグルコレスキューを一袋、インタクト5個といった糖分補給を行う。もちろん糖分を含む飲み物を摂取しても同じである。
(糖質1g=4kcal、タンパク質1g=4kcal、脂質1g=9kcal)
糖質1gで健康な人の場合で1mg/dl、糖尿病の人の場合で3~5mg/dl上昇するとされています。
ブドウ糖10g=糖質10gなので健康な人で10mg/dl、糖尿病の人で30~50mg/dlくらい上昇する計算になります。
じゃあブドウ糖負荷試験で75gのブドウ糖を飲んだら血糖値はどのくらい上昇するんだ、と。75×5=375mg/dlくらい上昇するのか。
ちゃんとインスリンが分泌されていれば、2時間後には血糖値は正常に戻る。
じゃあ1型糖尿病患者は?
インスリンが全く分泌されていない、またインスリン注射も打っていない状態であれば、そのくらい血糖値が上昇する。そして、尿から糖を出そうとする。
多尿、頻尿。口渇、多飲。血糖値上昇により浸透圧上昇、細胞は水分を奪われ、障害を負う。脳に障害が及べば昏睡に至る。
ブドウ糖負荷試験はなぜ75g?
ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、75gのブドウ糖(グルコース)を溶かした水(甘さを感じさせにくくするために、冷炭酸水が溶媒になっていることが多い)を数分以内に飲んでもらい、一定時間後の血糖値を測定するという方法で行われます。
私はやったことありませんが、コーヒー1杯に10g程度の砂糖を入れることを考えると、かなり甘そう。
この検査は、比較的軽度の糖代謝異常を発見するのが目的です。
糖尿病の診断として用いられる場合、1回投与量は75gとなっています。
以前は投与量50gや100gでの判定も行われていましたが、1980年に世界保健機関(WHO)が75gの糖負荷試験を提唱した後、その基準を日本糖尿病学会が採用して現在に至っています。
血糖値がどのくらいまで下がると危険か?
血糖値が約80mg/dLを下回ると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が極端に低下する。
約65-70mg/dLに低下すると、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴン、アドレナリンが大量に放出され始める。
約60-65mg/dLに低下すると、三番目の血糖値を上げるホルモン、成長ホルモンが放出される。
最後に60mg/dLをきるようになると、最後の血糖値を上げるホルモン、コルチゾールの分泌が亢進する。
糖尿病の検査値は?
随時血糖値が200mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断されます。
早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断されます。
早朝の空腹時血糖値が110~125mg/dL、ブドウ糖負荷後2時間血糖値(OGTT)が140~199mg/dLのいずれか、または両方に該当するタイプは「境界型」と診断されます。
低血糖の症状は?
正常では、血糖値は70mg/dl以上に維持されています。まず健常なヒトの場合、空腹時血糖値はおおよそ80-100mg/dl程度であり、食後は若干高い値を示す。
血糖値が70mg/dl以下になると異常な空腹感が現れ、動悸・震えなどの症状が出てきます。
糖尿病で普段高血糖状態にあると、これらの症状はもっと高い血糖値でも現れてきます。
また血糖値の下がるスピードが速い時も、比較的高い血糖値で症状が現れ始めることがあります。
そして低血糖を放っておき血糖値が50mg/dl以下になると中枢神経の働きが低下、血糖値が30mg/dl以下になると意識レベルが低下し、昏睡状態から死に至ることもあり、その結果重大な事故につながることもあります。
このような状況になる前に対処することが重要です。
低血糖になると必ず症状が出る、というわけではない。
むしろ、症状の出ない低血糖のほうが危険。
1型糖尿病の患者は1日6回も7回も血糖自己測定を行っている。
血糖自己測定(SMBG) | 糖尿病がよくわかるDM TOWN
1型糖尿病患者は血糖コントロールできるのか?
1型糖尿病患者への服薬指導というのは難しい。
というか患者にとっては不要なのだろう。
薬剤師の生半可な知識で対応しようとしても、日々命を懸けて血糖コントロールと戦っている患者には太刀打ちできないと感じる。
とりあえず何か聞こうと「低血糖は起こしていませんか?」とか聞いたら最期。
悪気はなくても患者の感情を逆なでする結果になる可能性があります。
質問攻めにあい、自分の知識の無さと無力感に打ちひしがれます。
処方されている薬は同じだとしても、1型糖尿病と2型糖尿病では全く違うのです。
1型糖尿病患者には癌患者並みのデリケートな対応が必要なのと、できるのであれば無力感を感じずに済むように少しでも有益な情報を患者に提供できるように勉強しましょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
「1型糖尿病患者は血糖コントロールできるのか」の記事、興味深く読ませていただきました。
私は、1型糖尿病患者です。
はい、薬剤師さんや看護師さんに聞かれることについて、「それを聞いて、だから何?」って、思うことがあります。
一カケラの食べ物を食べなくて、血糖値が ドンと上がってしまったり、昨日と同じ単位のインスリンを打っても、低血糖になったり…。
暴れ馬のような血糖を、なんとか大人しくさせようと、日々戦っております。
私は、最近、パッチ式のインスリンポンプを使い始めましたが…。
日によって、インスリンを身体に入れても、入れても血糖値が下がないことがありました。…結局、インスリン注入の針が刺さっている部分の皮膚が、刺激よって硬結にしてしまった為、インスリンが効かなくなっていたのででした。
インスリンポンプは、注射をしなくて済むので、期待したのですが。
結局、ポンプは使えないことになりました。
健常者は、自分で何も考えなくても、身体が勝手に血糖値のコントロールをしてくれますが。
私たち、1型糖尿病患者は、これを食べるとどれだけ血糖値を上げるのか?、じゃあインスリンはどれだけ打てばいいのか。また、人と一緒の時は、どこでインスリン注射をしたらいいか。
そういうことを、いつもいつも、考え…、けれど、時々、なぜにこんな血糖値になってしまったのか?という失敗が度々あり、ヘモグロビンA1cの検査は、判決を受けるような気持ちで受けるんです。
インスリンを渡してくださる薬剤師や、看護師さんには、「知識と意思と薬剤で、血糖コントロールすることの難しさ」を知っていて欲しいと、思いました。
コメントありがとうございます。
なかなか患者さんの気持ちを聞ける機会が少ないので、1型糖尿病患者さんの思いを聞けてよかったです。
「1型糖尿病患者」とひとくくりにするのも違う、個々の状況があるかと思うので、それぞれの患者さんに寄り添った情報提供ができる薬剤師が増えると良いと思います。
ありがとうございました。