2024年4月19日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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抗パーキンソン病薬は急に止めちゃダメ?

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抗パーキンソン病薬で悪性症候群

パーキンソン病の薬は、急に中止すると「悪性症候群」といって時に致死的となる重い合併症を起こすことがあるので注意が必要です。

副作用が気になるから、体調がすぐれないからなどの理由で服薬を自己中断(時には家族や介護者の判断で中断)される事例が時に見受けられますので、もしそういった情報をキャッチした場合は、すみやかに医師へ報告します。

抗パ薬中止で悪性症候群

抗パーキンソン病薬の中止は慎重に。

抗パーキンソン病薬を長期継続投与した統合失調症患者が急に抗パーキンソン病薬を止めると、退薬症候が約60%にみられるといいます。

抗パーキンソン病薬は中止するときにも注意が必要で、急に止めることができないやっかいな薬です。

抗パーキンソン病薬の急な中止で注意しなければならないのは、悪性症候群です。

抗パーキンソン病薬の急激な離脱により、著しい自律神経症状をともなう悪性症候群を併発することがあるからです。

程度が軽いものまで含めると、抗パーキンソン病薬を急に中止すると、血清CKの上昇は半数以上にみられます。

また抗パーキンソン病薬を急に中止すると、悪性症候群以外にもリバウンドと呼ばれる反跳現象が起こることがあります。

これはインフルエンザ様症状と表現されます。

つまり著しい倦怠感、不穏、不眠、筋肉痛、悪心・嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状、めまいなどをきたします。

アセチルコリン受容体のアップレギュレーション

抗パーキンソン病薬は急に止められない怖い薬であるという認識をもつ必要があります。

これはアセチルコリン受容体のアップレギュレーションが起きているのではないかと考えられます。

長期にわたって抗パーキンソン病薬がアセチルコリン受容体を遮断したことにより、神経細胞がこれを克服しようとアセチルコリン受容体の数を増やすという現象を起こしているのではないかということです。

そのため、急に抗パーキンソン病薬をやめると、全身にあるアセチルコリン受容体での過活動が起こり、さまざまな異常反応を起こすのです。

L-ドパの反跳現象とは

国外では、むずむず脚症候群へのL-ドパ製剤、ドパミン作動薬の継続的な使用により症状増強、反跳現象が発現することが知られています。

症状増強とは、薬剤の効果が次第に減弱し、症状が増悪する現象で、薬剤投与後3~4ヶ月からみられることが多く、具体的には、服用前に比べて症状の発現が2時間以上早くなる場合とされています。

また、症状が2時間以上前に現れない場合でも、症状発現までの時間が短くなったり、異常感覚が脚から手や体に広がったり、覚醒時以外にも周期性四肢運動が生じたりする場合、薬剤投与量の増加により症状が増悪し、減量により軽減する場合、薬剤の持続時間が短くなる場合などの状況が2つ以上重なる場合にも、症状増強であるとされます。

症状増強が起こる要因には、薬剤のドパミン受容体への継続的な刺激による受容体の感受性の低下、ダウンレギュレーションが関与していることが指摘されており、特に作用持続時間の短いL-ドパ製剤で問題となります。

ひとたび症状増強が起こると、昼夜を問わず症状が発現したり、手や体にも異常感覚が生じたりという深刻な事態に陥りかねないため、早期に対応することが必要となります。

その場合、症状の増悪に対して薬剤を増量することは逆効果となり、かえって症状を悪化させることになります。

軽症であれば、減量により改善することもありますが、通常はより作用時間の長い他のドパミン受容体作動薬に切り替えたりすることが必要となります。
反跳現象は薬剤の効果が切れた深夜や早朝、覚醒直後に症状が再発する現象とされます。

パーキンソン病に対するL-ドパ製剤投与時のウェアリング・オフ現象と類似するとされ、L-ドパ製剤の投与間隔の短縮、ドパミン受容体作動薬への変更などが検討されます。

参考書籍:調剤と情報2010.1

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薬剤師

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先生

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4 件のコメント

  • 甲斐 咲子 のコメント
         

    三年前からむずむず脚から周期性四肢運動障害になりました。

    今はリボトリール1ミリを就寝時に飲んでいますがピクピクは治りません。
    医師は増量するようにいわれましたが、変わりません。
    まだ、飲み続けて良いのか急に止めるのもこわいし,しかたなく飲んでいます。他に治る薬はないのでしょうか?
    宜しくお願い致します。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    レグナイトとかビ・シフロールとか、どうでしょう?とは思いますが、医師の考えもあるので、治療法に不満があれば、セカンドオピニオンを聞くのも一案かと思います。

  • しょこら のコメント
         

    73歳の母が医師の誤診によりパーキンソン病との診断を受け1年半1日2錠イーシードパールを飲み続けたところ幻覚、不眠、不安、焦燥感を訴え1錠減薬、その後半錠減薬となりました。減薬後から運動機能が一気に低下しパーキンソン症状が現れると同時に認知機能も低下しレビー小体型認知症と診断されてしまいました。減薬による離脱症状でこのようになる可能性はあるのでしょうか。
    補足)脳血流スペクトにより頭頂葉、後頭葉の外面にのみ血流低下がありパーキンソン病ではなくレビー小体型認知症と主治医から言われました。その診断にも疑問しかありません。

  • つばさ のコメント
         

    プロラクチノーマでカバサールを服用予定なのですが、この記事を拝見して怖くなりました。長期服用とは具体的にどの程度の期間かデータとかはあるのでしょうか?また下垂体の治療で用いた場合でも悪性症候群が発生することはるのでしょうか?

コメント

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yakuzaic/著
2023年09月14日発売

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職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
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