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防腐剤の入っていない目薬は安心?
公開. 更新. 投稿者:眼/目薬/メガネ.この記事は約4分59秒で読めます.
7,515 ビュー. カテゴリ:目薬に入っている防腐剤って怖いの?
防腐剤はいらない?
目薬に防腐剤は不可欠です。
点眼時に容器の先端が皮膚などにふれたり、一度容器から出た液体が、再度容器内に逆流したり、容器のキャップがはずれたりする保管時の状態により、微生物などが入ってしまい品質を劣化させる可能性が高いからです。
しかしこの防腐剤が目に悪影響を及ぼすとして、防腐剤フリーの商品が販売されるようになりました。
防腐剤は悪者というイメージが強い。
無添加化粧品がもてはやされ、コンタクトレンズを使っている患者も、防腐剤フリーの目薬がいいと言う。
しかし、防腐剤が無ければ、細菌に汚染されやすくなります。
目薬の場合、ジェネリックに防腐剤フリーの製品があったりするが、無菌状態を保つように容器に工夫が凝らされている半面、使いにくいものもある。
防腐剤のベンザルコニウム塩化物が薬効成分浸透補助に寄与するともいわれており、防腐剤フリー点眼液への変更に難色を示す医師もいるそうな。
防腐剤フリー
防腐剤フリーとは、塩化ベンザルコニウムやパラベンなどを含まないことを指す。
ボトルタイプで防腐剤フリーとある製品は、ホウ酸やpH調節成分(緩衝成分)などの添加物や容器の形状などで防腐効果を実現している。
1回1本使いきり型の「ユニットドーズ」製品は、添加物も少ない。
防腐剤の成分
点眼薬の防腐剤の成分には、ベンザルコニウム塩化物、クロロブタノール、パラベン、などが含まれている。
緑膿菌を初めとした菌類への殺菌効果は、ベンザルコニウム塩化物が最も強く、次いでクロロブタノール、パラベンの順である。
ベンザルコニウム塩化物は、高濃度では角質の蛋白質を変性させ、角膜や結膜の上皮剥離、欠損を起こさせると言われる。
クロロブタノールやパラベンは比較的毒性が低い。
目薬の防腐剤は危険か?
点眼薬は、医薬品を溶液または懸濁液として無菌の状態で製造され、結膜嚢に適用されます。
開封されるまでは無菌状態ですが、開封されると細菌汚染の可能性にさらされます。
そこで使用中の細菌汚染を防ぐために保存剤の添加が行われる場合が多いのです。
一般的に、保存剤の多くは細胞毒性を有するものが多く、角膜上皮障害などの副作用報告のあるものもあります。
保存剤には有効性、安全性、安定性の3条件が必要ですが、現在のところこれらをすべて満たすものはありません。
したがって、主薬や他の添加剤との適合性や滅菌操作での安定性などを考慮して用いる保存剤を検討しなくてはなりません。
さらに、点眼薬の緩衝液の種類、pH、あるいは対象となる細菌や真菌の種類により保存剤の濃度を決めなければなりません。
保存剤の角膜上皮に対する作用
点眼薬中に含まれる保存剤が角膜上皮に傷害を与えることについての研究報告は数多くあります。
臨床的にはびまん性表層角膜炎といった軽度のものから、角膜びらん、遷延性角膜上皮欠損など重篤なものもあります。
しかしながら、実際の生体での作用はこれらの実験とは条件が違い、点眼の刺激による涙液の分泌増量により、角膜上皮に接する部分では保存剤の濃度は急速に低下して低濃度になり、1日4回程度の点眼による保存剤の影響は少ないとも考えられます。
実際、臨床的に保存剤を含有した点眼薬を使用する場合には、角膜に及ぼす影響、疾患の種類や上皮障害の程度を考慮するべきであり、保存剤を含まない製剤と慎重に使い分ける必要があります。
ソフトサンティアの期限は?
ソフトサンティアの期限は添付文書に、
使用期限をすぎた製品は使用しないでください。また,使用期限内であっても,開栓後,約10日間以上すぎた使い残りの薬液は使用しないでください。>
と書かれているので、開封後10日となる。
普通の防腐剤入りの目薬の場合、開封後1か月なので、かなり短い。
10日を超えて使ってしまうと、細菌が繁殖して危険。
それなら防腐剤入りの目薬を買った方がマシという状態になる。
防腐剤無添加の目薬
未開封の点眼薬は無菌製剤であるが、開封後は手指あるいは結膜嚢や睫毛との接触により微生物の2次汚染を受ける可能性があるため防腐剤が添加される。
中でも水に容易に溶解し、かつ防腐効果に優れたベンザルコニウム塩化物は最も広く用いられている。
ただし、ベンザルコニウム塩化物は陽イオン化合物であるため、各種陰イオンと相互作用することで不溶性の塩を形成し、配合変化を起こすことがある。
角膜への安全性、殺菌力、配合変化はそれぞれのアルキル鎖長により異なる。
現在わが国で市販されている点眼薬の防腐剤はベンザルコニウムが約60%、パラベン類が約30%である。
配合防腐剤は時に眼周囲の接触性皮膚炎の原因となることがある。
安全性は全身と眼局所、さらに長期使用でも確認する必要がある。
角膜と結膜の培養細胞で検討するとともに、眼局所の障害性は眼粘膜1次刺激性試験として主にウサギを用いた眼毒性、眼刺激性試験で評価される。
薬剤投与後は継時的に角膜の混濁の有無、結膜の発赤・腫脹・出血の有無などが評価される。
点眼薬に用いられる防腐剤(保存剤)
・逆性石鹸類:ベンザルコニウム塩化物、ベンゾドデシニウム臭化物など
・パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)類:パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチルなど
・アルコール類:クロロブタノールなど
・有機酸およびその塩類:ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど
目薬の添加剤
添加剤 | 主な機能 | 成分 |
---|---|---|
等張化剤 | 涙液の浸透圧に近づける | 塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸、グリセリン |
緩衝剤 | pHの変化を防ぐ | ホウ酸、リン酸、酢酸 |
防腐剤 | 微生物による汚染を防ぐ | 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、パラベン類、クロロブタノール |
可溶化剤 | 主成分を溶解させる | ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 |
安定化剤 | 酸化や分解などを防ぐ | クエン酸、エデト酸二ナトリウム(EDTA-2Na)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム |
懸濁化剤 | 物理的安定性を保つ | カルボキシビニルポリマー(CVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) |
粘稠剤(増粘剤) | 結膜嚢内に滞留しやすくする | ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース(MC)、グリセリン |
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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