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抗甲状腺薬とワルファリンの相互作用
公開. 更新. 投稿者:甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症.この記事は約1分29秒で読めます.
714 ビュー. カテゴリ:第Ⅶ因子欠乏症
メルカゾールの副作用に「第Ⅶ因子欠乏症」というのがある。
プロパジール/チウラジールの副作用にも同じ副作用が記載されている。
第Ⅶ因子とは、血液凝固因子の第Ⅶ因子のことである。

甲状腺ホルモンはプロトロンビン、第Ⅶ因子、第Ⅹ因子の代謝回転を促進するという。甲状腺ホルモンの合成を阻害する抗甲状腺薬の影響で、それらの凝固因子の代謝が阻害されるから凝固系が亢進される。
凝固因子の代謝が阻害されるということは第VII因子は増える?なのに、第Ⅶ因子欠乏症の副作用?と思いましたが、抗甲状腺薬の肝臓に対する副作用で、肝臓で生成される第VII因子の産生低下などが考えられるとのことです。
血液凝固因子に働く薬(抗凝固薬)はいくつかあるが、第Ⅶ因子に働くのはワルファリンである。
ワルファリンはビタミンK拮抗薬でありビタミンK依存性凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)の働きを抑え血液凝固を阻害する。

そのため、メルカゾールなどの抗甲状腺薬の併用注意に、ワルファリンカリウムの記載があり、その機序に以下のように記載されている。
甲状腺機能が亢進すると凝固因子の合成・代謝亢進により、相対的にクマリン系抗凝血剤の効果は増強する。本剤投与により甲状腺機能が正常化すると、増強されていたクマリン系抗凝血剤の効果が減弱するとの報告がある。
ワーファリンにより凝固系低下↔抗甲状腺薬で凝固系亢進
でも、メルカゾールの副作用で第VII因子欠乏症になっていたら、クマリン系抗凝血剤の効果は増強してしまう。
また、ヨードを大量に含む抗不整脈薬のアンカロン(アミオダロン塩酸塩)もワーファリンとは併用注意になっている。
ヨウ素は甲状腺ホルモン合成を増加させるが、大量投与によって甲状腺ホルモンの合成が抑制され、甲状腺の機能が低下することがある(ウォルフ・チャイコフ効果)。そのためアミオダロンは甲状腺機能の亢進と低下のいずれも来し得る。
甲状腺疾患持った人のPT-INRは、より注意したほうが良いってことね。


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