記事
飲むと疲れる薬
公開. 更新. 投稿者:副作用/薬害.この記事は約1分22秒で読めます.
2,097 ビュー. カテゴリ:倦怠感
倦怠感って薬の副作用かどうか判断難しいよね
副作用に「倦怠感」という記載のある薬は多い。
「なんか最近疲れるような気がするんだけど…」という相談を受けることもままある。
しかしそのような相談を受けても、「夏バテじゃないですか?」とか、年のせい、として緊急性の高いものとして受け取ることは少ない。薬の副作用と判断することも少ない。
その症状が病気によるものか、薬によるものか、という判断は難しく、医師に判断を委ねることになるが、「疲労感」「倦怠感」というのは自分自身も常々感じており、病的なものかどうかという判断も含めて難しい。
しかし、倦怠感の副作用が5%以上あるよう以下のような薬なら、薬のせいである可能性は高いと言えよう。
倦怠感、疲労、無力感といった副作用の頻度の高いものには以下のような薬がある。
医薬品名 | 薬効分類 | 添付文書の記載 |
---|---|---|
アーリーダ | 前立腺癌治療剤 | 疲労(18.8%) |
アリケイス吸入液 | アミノグリコシド系抗生物質製剤 | 疲労(5%以上) |
アレセンサ | 抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤 | 倦怠感(5%以上~15%未満) |
アロマシン | アロマターゼ阻害剤/閉経後乳癌治療剤 | 疲労(5%以上) |
イクスタンジ | 前立腺癌治療剤 | 疲労(5%以上)、無力症(5%以上) |
イフェクサー | セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 | 無力症(疲労、倦怠感等)(5%以上) |
イムブルビカ | 抗悪性腫瘍剤(ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤) | 疲労(10%以上) |
インチュニブ | 注意欠陥/多動性障害治療剤(選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬) | 倦怠感(5%以上) |
エクセグラン | 抗てんかん剤 | 無気力・自発性低下(5%以上) |
エジュラント | 抗ウイルス化学療法剤[非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)] | 倦怠感(5%以上) |
エバミール | 睡眠導入剤 | 倦怠感(5%以上) |
ギャバロン | 抗痙縮剤 | 脱力感(5%以上) |
グリベック | 抗悪性腫瘍剤(チロシンキナーゼインヒビター) | けん怠感(5%以上) |
グルファスト | 速効型インスリン分泌促進薬 | 低血糖症状(倦怠感)(5%以上) |
グルベス配合錠 | 速効型インスリン分泌促進薬/食後過血糖改善薬配合剤 | 低血糖症状(倦怠感)(5%以上) |
ゴナックス皮下注 | GnRHアンタゴニスト(徐放性)/前立腺癌治療剤 | 倦怠感(5%以上) |
コレアジン | 非律動性不随意運動治療薬 | 気力低下(5%以上) |
ザイティガ | 前立腺癌治療剤(CYP17阻害剤) | 疲労(5%以上) |
サムスカ | V2-受容体拮抗剤 | 疲労(5%以上) |
サレド | 多発性骨髄腫治療剤 らい性結節性紅斑治療剤 クロウ・深瀬(POEMS)症候群治療剤 | 疲労(5%以上) |
ジーラスタ皮下注 | 持続型G-CSF製剤 | 倦怠感(5%以上) |
ジスバル | VMAT2阻害剤 -遅発性ジスキネジア治療剤- | 倦怠感(7.2%) |
セムブリックス | 抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼインヒビター(ABLミリストイルポケット結合型阻害剤) | 倦怠感(5%以上) |
セリンクロ | アルコール依存症 飲酒量低減薬 | 倦怠感(5%以上) |
セロクエル | 抗精神病剤 | 倦怠感(5%以上) |
ダラキューロ配合皮下注 | ヒト型抗CD38モノクローナル抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤 | 疲労(10%未満5%以上) |
ダントリウム | 痙性麻痺緩解剤・悪性症候群治療剤 | 脱力感(5%以上) |
ティーエスワン配合 | 代謝拮抗剤 | 全身倦怠感(5%以上) |
テプミトコ | 抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害薬 | 無力症、疲労(5%以上) |
テリボン | 骨粗鬆症治療剤 | 倦怠感(5%以上) |
トービイ吸入液 | アミノグリコシド系抗生物質製剤 | 無力症(5%以上) |
トラマール | がん疼痛・慢性疼痛治療剤 | 倦怠感(5%以上) |
ニフレック配合内用剤 | 経口腸管洗浄剤 | 倦怠感(5%以上) |
ニュベクオ | 前立腺癌治療剤 | 疲労(5%以上) |
ノルレボ | 緊急避妊剤 | 倦怠感(5%以上) |
ビプレッソ | 双極性障害のうつ症状治療薬 | 倦怠感(5%以上) |
ビラフトビ | 抗悪性腫瘍剤 BRAF阻害剤 | 疲労(25.0%)、無力症(5%以上) |
ビルトリシド | 吸虫駆除剤 | 倦怠感(5%以上) |
ピレスパ | 抗線維化剤 | 倦怠感(5%以上) |
フルダラ | 抗悪性腫瘍剤 | 疲労(5%以上) |
プレジコビックス配合錠 | 抗ウイルス化学療法剤 | 疲労(5%以上) |
プロピタン | ブチロフェノン系統合失調症治療剤 | 倦怠感(5%以上) |
ペガシス皮下注 | ペグインターフェロン-α-2a製剤 | 発熱及びインフルエンザ様症状(倦怠感)(18.4%) |
ベスレミ皮下注 | 抗悪性腫瘍剤/ロペグインターフェロンα-2b製剤 | 疲労(11.5%) |
ペマジール | 抗悪性腫瘍剤/FGFR阻害剤 | 疲労(36.5%) |
ボシュリフ | 抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼインヒビター | 疲労(13.4%)、無力症(5.3%) |
ムーベン | 経口腸管洗浄剤 | 倦怠感(5%以上) |
メクトビ | 抗悪性腫瘍剤 MEK阻害剤 | 疲労(26.1%)、無力症(5%以上) |
モゾビル皮下注 | CXCR4ケモカイン受容体拮抗剤 | 疲労(5%以上) |
ユーゼル/ロイコボリン | 還元型葉酸製剤 | 倦怠感(5%以上) |
ラパリムス | mTOR阻害剤 | 倦怠感、疲労(5%以上) |
リオレサール | 抗痙縮剤 | 脱力感(5%以上) |
リスパダール | 抗精神病剤 | 倦怠感(5%以上) |
リフレックス | ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤 | 倦怠感(5%以上) |
ルーラン | 抗精神病剤 | 脱力倦怠感(5%以上) |
ルマケラス | 抗悪性腫瘍剤/KRAS G12C阻害剤 | 疲労(11.1%) |
レクサプロ | 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) | 倦怠感(5%以上) |
レズロック | 選択的ROCK2阻害剤 | 疲労(20.3%) |
レブラミド | 抗造血器悪性腫瘍剤 | 疲労(21.1%)、無力症(5%以上) |
レベトール | 抗ウイルス剤 | 全身倦怠感(88.5%) |
ロズリートレク | 抗悪性腫瘍剤 チロシンキナーゼ阻害剤 | 疲労(27.4%) |
ロナセン | 抗精神病剤 | 倦怠感(5%以上) |
ロラメット | 睡眠導入剤 | 倦怠感(5%以上) |
ワンデュロパッチ | 経皮吸収型 持続性疼痛治療剤 | 倦怠感(5%以上) |
抗癌剤のように細胞合成を阻害するような薬は、疲労回復しにくいだろう。
糖尿病の薬は、低血糖症状に伴う倦怠感を生じる恐れがある。
精神系の薬は、薬の副作用なのか、病気の症状によるものなのか、判断は難しい。
筋弛緩薬で脱力感を生じるのは、薬効的に仕方ない。
「重篤副作用疾患別対応マニュアル」に載っている副作用の症状で、「疲れ」「だるさ」「倦怠感」といった症状が表れる副作用には以下のようなものがある。
副作用 | 症状 |
---|---|
再生不良性貧血 | 「あおあざができやすい」、「歯ぐきや鼻の粘膜からの出血」、「発熱」、「のどの痛み」、「皮膚や粘膜があおじろくみえる」、「疲労感」、「どうき」、「息切れ」、「気分が悪くなりくらっとする」、「血尿」 |
薬剤性貧血 | 「顔色が悪い」、「疲れやすい」、「だるい」、「頭が重い」、「どうき」、「息切れ」 |
薬物性肝障害 | 「倦怠感」、「食欲不振」、「発熱」、「黄疸」、「発疹」、「吐き気・おう吐」、「かゆみ」など |
急性汎発性発疹性膿疱症 | 「高熱(38℃以上)」、「皮ふの広い範囲が赤くなる」、「赤くなった皮ふ上に小さな白いブツブツ(小膿疱)が出る」、「全身がだるい」、「食欲がない」などがみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする。 |
横紋筋融解症 | 「手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む」、「手足がしびれる」、「手足に力がはいらない」、「こわばる」、「全身がだるい」、「尿の色が赤褐色になる」 |
偽アルドステロン症 | 「手足のだるさ」、「しびれ」、「つっぱり感」、「こわばり」がみられ、これらに加えて、「力が抜ける感じ」、「こむら返り」、「筋肉痛」が現れて、だんだんきつくなる |
甲状腺機能低下症 | 「前頸部の腫れ」、「元気がない」、「疲れやすい」、「まぶたが腫れぼったい」、「寒がり」、「体重増加」、「動作がおそい」、「いつも眠たい」、「物覚えが悪い」、「便秘」、「かすれ声」 |
ネフローゼ症候群 | 「足がむくむ」、「尿量が少なくなる」、「体がだるい」、「排尿時の尿の泡立ちが強い」、「息苦しい」、「尿が赤い」 |
うっ血性心不全 | 「動くと息が苦しい」、「疲れやすい」、「足がむくむ」、「急に体重が増えた」、「咳とピンク色の痰」 |
甲状腺中毒症 | 「動悸(胸がドキドキする)」、「頻脈(脈が速くなる)」、「手指のふるえ」、「食欲があるのに体重が減少する」、「汗が多い・暑がり」、「全身倦怠感(体がだるい)」、「疲労感(疲れやすい)」、「神経質で気分がイライラする」、「微熱」 |
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) | 「発熱」、「倦怠感」、「脱力感」、「悪心」、「食欲不振」、「あおあざができる」、「鼻や歯ぐきからの出血」、「尿量の減少」、「皮膚や白目が黄色くなる」、「軽度の頭痛、めまい、けいれん、突然自分のいる場所や名前がわからなくなる、うとうとするなどの症状が短時間におこる」などの症状 |
薬剤性過敏症症候群 | 「皮ふの広い範囲が赤くなる」、「高熱(38℃以上)」、「のどの痛み」、「全身がだるい」、「食欲が出ない」、「リンパ節がはれる」などがみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする |
これら重篤な副作用の初期症状の可能性があれば、即刻中止し、医師の診察を受けるべきである。
恐らく、「だるい」という訴えだけでは、医師としても薬が原因かどうかは判断がつきかねると思うが、「薬のせい」という思い込みが強ければ、コンプライアンスに影響も出るし、ノセボ効果が出てしまうこともある。血液検査で異常が無かったとしても、患者の訴えの程度によっては中止という判断もあるだろう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。