2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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男性ホルモンと疲労

抗アンドロゲン薬の作用機序

前立腺癌に使用される抗アンドロゲン薬には、現在以下のような薬があります。

分類名商品名一般名
抗アンドロゲン薬(非ステロイド性)カソデックスビカルタミド
オダインフルタミド
抗アンドロゲン薬(ステロイド性)プロスタールクロルマジノン酢酸エステル
抗アンドロゲン薬(第2世代)イクスタンジエンザルタミド
アーリーダアパルタミド
ニュベクオグロルタミド
アンドロゲン合成酵素阻害薬(CYP17阻害薬)ザイティガアビラテロン酢酸エステル

アンドロゲン拮抗薬の第1世代はプロゲステロン誘導体である酢酸クロルマジノンおよび酢酸シプロテロンです。
これらの薬はアンドロゲン受容体(AR)に対して部分拮抗薬として作用します。

これに対して、非ステロイド系完全拮抗薬として、最初にフルタミド、続いてビカルタミドが開発されています。
ビカルタミドはフルタミドと比較して肝毒性が低減されていること、また代謝的に安定なことから半減期が6日と延長されている特徴を有しています。

現在、臨床使用されているアンドロゲン拮抗薬はいずれもアンドロゲンよりもARに対する親和性が低いという課題を有しており、このことが薬物耐性を惹起する一因として考えられています。

カソデックス、オダイン、プロスタール/プロスタットが第一世代。
イクスタンジ、アーリーダ、ニュベクオ、ザイティガが第二世代です。

第一世代の抗アンドロゲン薬の適応は「前立腺がん」ですが、第二世代の抗アンドロゲン薬の適応は「去勢抵抗性前立腺癌」である。

「去勢」といっても陰茎を切除した前立腺癌患者にしか使えないというわけではありません。薬(抗アンドロゲン薬)によって男性ホルモンを抑えることも一種の去勢と言うわけです。
ホルモン療法が効きにくくなった前立腺癌を「去勢抵抗性前立腺癌」と言います。

つまり、従来の抗アンドロゲン薬(カソデックスなど)が効きにくくなった患者に対して、新規抗アンドロゲン薬(イクスタンジなど)が使われます。
イクスタンジのほうがカソデックスよりも強いのです。

基本的に、アンドロゲン受容体でアンドロゲンをブロックすることにより、アンドロゲンの働きを阻害し、アンドロゲンによって増殖する前立腺癌を抑えようというのが、抗アンドロゲン薬の目的です。

また、イクスタンジ、アーリーダ、ニュベクオなどの第二世代抗アンドロゲン薬は「アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬」とも呼ばれ、アンドロゲン受容体を介したシグナル伝達を阻害するという機序もある。

ザイティガはこれらとは異なる作用機序で、CYP17阻害薬とも呼ばれる。アンドロゲンの生合成に必要な酵素であるCYP17を選択的に阻害することで抗アンドロゲン効果を示す。

抗アンドロゲン薬と疲労

抗アンドロゲン薬の副作用といえば、乳房腫脹、乳房圧痛、ほてり、勃起力低下といったホルモン関連の副作用が多い。

またイクスタンジとアーリーダには「痙攣」という副作用があり、それに伴いイクスタンジとアーリーダは「自動車運転注意」となっています。

第二世代の抗アンドロゲン薬で頻度の多い副作用に「疲労」というのがある。10~20%の頻度である。

年をとると疲れやすくなってくるので、はっきりとした「疲労」というのはつかみにくいし、「疲れてませんか?」と聞いて「疲れてません」と答えられる人はあまりいない。疲労という副作用を聴取したとして、どう対応すればよいかは医師の判断になるが、「疲れやすい」というのが薬の副作用の可能性があることを患者に知らせておく必要はある。

男性ホルモン(精力)と疲労感の関係や、男性ホルモン低下による筋力の減少といったことも考えられる。

疲労に対する対処法
・症状が強い時には休息を優先し、軽減してきたら、やりたい活動、できる活動から行いましょう。
・過剰な安静状態は体力の低下を招き、より症状が強くなることがあるため、散歩などの軽い運動を日常生活に取り入れましょう。
・趣味に時間を費やしたり、ご家族の方や友人と過ごすなど気分転換をはかりましょう。

1回に飲む量

新規抗アンドロゲン薬の共通点として、錠剤が大きく、1回に飲む薬の量も多いということがある。

イクスタンジ錠80㎎の大きさは(約17.2mm、約9.1mm)で1回2個。
アーリーダ錠60㎎の大きさは(約16.8mm、約8.7mm)で1回4個。
ニュベクオ錠300mgの大きさは(約16mm、約8mm)で1回2個。
ザイティガ錠250mgの大きさは(約16mm、約9.6mm)で1回4個。

飲みづらいという声はよく聞く。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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