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抗血栓薬の一覧
公開. 更新. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約3分13秒で読めます.
9,609 ビュー. カテゴリ:抗血栓薬の一覧
分類 | 商品名 | 一般名 | |
---|---|---|---|
DOAC | トロンビン直接阻害薬 | プラザキサ | ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 |
経口直接Xa阻害薬 | リクシアナ | エドキサバントシル酸塩水和物 | |
イグザレルト | リバーロキサバン | ||
エリキュース | アピキサバン | ||
クマリン系薬 | ビタミンK拮抗薬 | ワーファリン | ワルファリンカリウム |
抗血小板薬 | ADP受容体遮断薬 | パナルジン | チクロピジン塩酸塩 |
プラビックス | クロピドグレル硫酸塩 | ||
エフィエント | プラスグレル塩酸塩 | ||
コンプラビン | クロピドグレル硫酸塩+アスピリン | ||
PDE阻害薬 | プレタール | シロスタゾール | |
n-3系脂肪酸 | エパデール | イコサペント酸エチル(EPA) | |
プロスタグランジン製剤 | ドルナー/プロサイリン | ベラプロストナトリウム | |
ケアロードLA/ベラサスLA | ベラプロストナトリウム | ||
5-HT2受容体遮断薬 | アンプラーグ | サルポグレラート塩酸塩 | |
COX阻害薬 | バイアスピリン | アスピリン | |
バファリン | アスピリン | ||
タケルダ | アスピリン+ランソプラゾール | ||
ダビガトラン特異的中和薬 | プリズバインド | イダルシズマブ |
抗血栓薬の分類
抗血栓薬は、主に「抗凝固薬」と「抗血小板薬」に分けられる。
抗凝固薬はフィブリンに働き、抗血小板薬は血小板に働く。
血小板は「傷口を塞いで出血を止める働き」があり、フィブリンは「血の塊をからめとる働き」がある。
まず、血小板が作った血栓で傷口を塞ぐ止血を「一次止血」といい、その後フィブリンがからめとった血の塊で傷口を塞ぐ止血を「二次止血」という。
血小板による血栓(血小板血栓)は血小板の色が白っぽいので、白色血栓とよばれる。フィブリンによる血栓(フィブリン血栓)は赤血球を含むので赤く見えるので、赤色血栓とよばれる。
血流が速いと、フィブリンが生成されにくく、流れの速い血管(動脈)の血栓は血小板主体の白色血栓ができやすく、流れの遅い血管(静脈)ではフィブリン主体の赤色血栓ができやすいという。
そのため、動脈血栓には抗血小板薬が使われ、静脈血栓には抗凝固薬が使われるという使い分けがされる。
血液凝固カスケード
血液凝固に関わるフィブリンを作るまでの流れ(血液凝固カスケード)には12種類の因子(血液凝固因子)が関わっている。
抗凝固薬の作用機序はこの血液凝固カスケードのどこかで働いている。
第10因子に働くのがイグザレルトなどの第Xa因子阻害薬で、第2因子に働くのがトロンビン直接阻害薬である。
ワーファリンは直接的に血液凝固因子に働くわけではないが、血液凝固因子(2・7・9・10因子)が肝臓で作られるときに必要なビタミンであるビタミンKと拮抗することで抗凝固作用を発揮する。
ワーファリンが間接的に働くのに対し、トロンビン直接阻害薬や第Xa因子阻害薬が直接血液凝固因子に働くことからDOAC(direct oral anti-coagulants:直接経口抗凝固薬)と呼ばれる。
そしてビタミンKの摂取はビタミンK拮抗薬であるワーファリンの働きを阻害するため注意が必要である。
抗血小板薬
抗血小板薬の作用機序は様々である。
まず、よく使用されるチエノピリジン系抗血小板薬=ADP受容体遮断薬の作用機序から説明する。
血小板凝集はCa2+で調節されており細胞内Ca2+濃度の上昇により血液凝固が促進される。血小板から放出される5-HT、ADP、TXA2などは凝集促進因子である。
一方cAMPは血小板内でCa2+ストアへCa2+の取り込みを促進させ、血小板から凝集促進因子であるADPや5-HTの放出を抑制する事で血小板凝集を抑制する。
アラキドン酸カスケード
また、よく使われる抗血小板薬にアスピリンがあるが、こちらは主にトロンボキサンA2(TXA2)の抑制によって説明できる。
アスピリン(COX阻害薬)は血小板凝集促進作用のあるトロンボキサンA2(TXA2)の生成を阻害するので抗血小板作用が期待される。
しかし、血小板凝集抑制作用のあるプロスタサイクリンの生成も阻害してしまうので血液凝固に傾くという相反する反応を有しており、これをアスピリンジレンマという。
低用量のアスピリンではトロンボキサンA2のみを阻害し、高用量になるとプロスタサイクリンまで阻害してしまうので、低用量アスピリン製剤が抗血小板薬として使われる。しかし高用量のアスピリンでも同じように抗血小板作用があり、アスピリンジレンマは存在しないという話もある。
アラキドン酸カスケードの流れで、EPA製剤についても説明する。
エパデール(EPA製剤)はn-3系脂肪酸とよばれ、アラキドン酸はn-6系脂肪酸とよばれる。
このEPAとAAの比率(EPA/AA比)が低い場合、心血管疾患の発症リスクが高くなるといわれる。
セロトニン
セロトニンは5-HT2A受容体に作用し、ホスホリパーゼCを活性化させる。ホスホリパーゼCはイノシトール三リン酸を産生し、イノシトール三リン酸は細胞内Ca2+濃度を上昇させ、血液凝固を促進する。
そのため、5-HT2Aブロッカーであるサルポグレラートが抗血小板薬として作用する。
しかし、アンプラーグの適応症は「慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善」であり、抗血小板作用よりも血管拡張作用のほうを期待して投与されることが多い。
抗血小板薬の中には「血液サラサラにする薬」では伝わらないこともあるので、処方目的を確認して適切に指導する。
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