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薬剤師が起こしがちな個人情報漏洩
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分10秒で読めます.
3,797 ビュー. カテゴリ:個人情報漏洩
領収書を間違えたら個人情報漏洩?
私が薬剤師業務で気をつけているのは、「調剤ミスをしないこと」である。特にそのミスによって「業務上過失致死傷」に至るようなミスは起こさないように細心の注意を払わなければならない。
恐らくどこの薬剤師もそうだろう。
しかし、そのような重い罪ではなくても、日常業務で軽んじている作業の中に薬剤師が犯しがちな罪が隠れている。
薬情文書やお薬手帳のシールを、別の患者に渡してしまうというのは日常業務で犯しがちなミスである。
薬局が混んでくると、大量の文書がプリンターから出てくる。薬歴、入力確認表、薬情、薬袋、お薬手帳のシール、その他情報提供文書などなど。入力事務が複数いると、それが入り混じってプリンタから出てくる場合もある。
そんな順不同な紙を、患者ごとのカゴに振り分けて入れる際に、別の患者のカゴに入れてしまうということが発生する。
別の患者に、薬情やお薬手帳のシールを渡してしまうことは、重大な個人情報漏洩である。他の人間に自分が飲んでいる薬を知られ、病名を推測される。投薬後に電話がかかってきて「どう責任取るんだ!」とまくしたてられて、事の重大さに気づく。
個人情報漏洩と聞くと、大企業のお偉いさんが謝罪会見を開いている様子が目に浮かぶので、患者からまくし立てられると「大変なことをしでかしてしまった」と自己嫌悪と申し訳なさでいっぱいになり、「責任を取って辞めます」と言いたくなるが、冷静にどのような罪に問われるかを整理する。
刑事責任
個人情報を漏洩すると、国から是正勧告を受け、従わない場合、「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金刑」が科される。
是正勧告を受ければ従うのが普通なので、患者のリストを業者に売ったりなど、悪質に意図的に漏洩させたのでなければ刑事罰に問われることはないだろう。
民事責任
患者が薬局や薬剤師を相手に訴えて裁判を起こして、民事上の損害賠償を請求される可能性もある。
賠償金額は、ケースによって異なるが、1人あたり数千円から数万円とのこと。
違う患者に薬情を渡してしまったとして、その患者同士が知り合いであるというケースは稀かと思われ、知り合いであったとしても、その情報を元に恐喝されたりといった二次被害が起こる可能性もほとんど考えられない。
裁判を起こしたとしても、それに見合う賠償金が得られる可能性も低いので、訴えられる可能性も低いだろう。
社会的信用
特に、上場している株式会社などでは、社会的信用の失墜が一番ダメージが大きいだろう。
そのため、大きい会社になればなるほど、個人情報漏洩に対する従業員教育がしっかりされている。
「間違った薬を渡す」に比べたら「間違った紙を渡す」というミスは、それほど大きなミスではないかもしれない。
しかし、患者にとっては嫌な気分になるし、訴えられる可能性もゼロではない。
別の患者の薬情がカゴに入っていることがよくある、という薬局は、従業員の意識を見直した方が良いだろう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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