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ティーエスワンは食後、ユーエフティは空腹時?
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約2分25秒で読めます.
7,063 ビュー. カテゴリ:ティーエスワンは食後に飲まなきゃダメ?
ティーエスワンは、代謝拮抗薬フルオロウラシル(5FU) のプ囗ドラッグであるテガフールに、5FUの代謝を阻害するギメラシルと、5FUに起因する消化管障害を抑制するオテラシルカリウムを配合した抗癌剤である。
ギメラシルは、5FUの代謝酵素であるジヒドロピリミシンデヒドロゲナーゼを阻害することで、生体内での5FU濃度を維持する作用を持つ。
オテラシルは、消化管でオロテートホスホリボシルトランスフェラーゼを阻害することで、消化管組織での5FUの活性代謝物による副作用を軽減する働きがある。
空腹時に服用するとティーエスワンの成分のうちオテラシルの吸収が増加し、5FUから活性代謝物への変換がより抑制されて抗腫瘍効果が減弱する恐れがあるため、必ず食後30分以内に服用する。
飲み忘れた場合はその回は服用せず、次回には指示量を服用し、決して倍量を飲まないよう念を押す。
ティーエスワンの添付文書には、
基礎的検討(ラット)において空腹時投与ではオテラシルカリウムのバイオアベイラビリティが変化し、フルオロウラシルのリン酸化が抑制されて抗腫瘍効果の減弱が起こることが予想されるので食後投与とすること。
と書かれている。
ユーエフティは空腹時?
ティーエスワン(テガフール・ギメラシル・オテラシル)が食後服用なのに対して、ユーエフティ(テガフール・ウラシル)の服用時点は決まっていない。
ただし、ホリナート(ユーゼル/ロイコボリン)を併用した場合、「食事の前後1時間を避けて経口投与する」となっており、ティーエスワンとは逆の空腹時服用である。
ユーゼルの薬物動態(食事の影響)には、以下のように記載されている。
癌患者にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食摂取後)にホリナート30mg及びテガフール・ウラシル配合剤(テガフール200mg相当量)を投与した場合、空腹時に比べて食後投与時のウラシルのAUC、テガフールから変換されたフルオロウラシルのAUCはそれぞれ66%、37%減少し、ホリナートのAUCは61%上昇した。
一方、テガフールのAUCには著明な変化は認められなかった。
ユーゼル(活性型葉酸)は空腹時服用のほうが吸収がよい。
フォリアミン(葉酸)もそうなのだろうか。ビタミン類は一般的に食後のほうが吸収はよい。
ユーエフティとティーエスワン
ユーエフティとティーエスワン、混同してしまうことがある。
ユーエフティは、テガフールとウラシルの合剤。
ティーエスワンは、テガフールとギメラシル、オテラシルカリウムの合剤。
どっちもテガフールが入ってる。
ユーエフティの名前の由来は、
ユーエフティ配合カプセル及びユーエフティE 配合顆粒の成分であるウ ラシル(Uracil)の頭文字 U とテガフールの商品名フトラフール(Futraful) の略称 FT を組み合わせたものである。なお、ユーエフティ E 配合顆粒の E は、Enteric の E に由来する。また、それぞれの販売名中の T は、Tegafur を意味する。
ティーエスワンの名前の由来は、
大鵬薬品工業(T)の創薬センター(S)の一番目に開発を手がけた薬剤。 なお、S-1 が治験コード
ティーエスワンの「T」はテガフールじゃなくて、大鵬のTなのね。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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