2024年4月19日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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副作用の説明をどこまでするか?

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副作用を説明するとコンプライアンスが下がる?

薬剤師の副作用に対するスタンスは難しい。

難しいポイントしては、
①薬の説明を行う時に、どこまで副作用の説明をするか?
②患者から副作用の可能性のある症状を聞き取ったときに、どのように対応するか?
という点が挙げられる。

まず①のケースについて、細分化すると、
⑴こちらから積極的に説明する場合
⑵患者が薬情文に記載されている副作用を見て説明を求めてくる場合
⑶患者が不安になり説明を求めてくる場合
などがある。

こちらから積極的に説明すべき副作用というのがある。
例えば、抗菌薬による下痢の副作用だとか、安定剤による眠気の副作用といった類のもの。
こういった副作用は積極的に説明していいだろう。
なぜなら、頻度が多く、かつ、軽い副作用だから。

ここで副作用の種類を分類してみると、
❶軽い副作用と重い副作用
❷頻度の多い副作用と少ない副作用
❸気づきやすい副作用と気づきにくい副作用
といったものに分けられる。

軽い副作用は説明しやすく、重い副作用は説明しにくい。
なぜなら、重い副作用はコンプライアンスに影響するから。

重い副作用の説明

頻度が低く、重い副作用の説明をするかどうか?
重篤な副作用の説明義務違反については、高松高裁TEN判決の判例がありますが、薬剤師が責任を問われたケースはまだない。薬剤師を相手取って裁判起こしても大したお金取れないからかも知れませんが。ただ、そんなことを言っていると、医師から訴えられるかも知れません。

この判例を基準に、「重篤な副作用も説明しなければならない」という解釈を鵜呑みにしている薬剤師もいるが、

例えば「アナフィラキシーショック」は多くの医薬品、カロナールなどの比較的安心して使えるような薬にも記載されている、稀な副作用だが、そんなものを患者に説明していたらどうなるかは、火を見るよりも明らかだ。

では、頻度が多めで、重い副作用の説明についてはどうか?
ラモトリギン、テグレトールによる薬疹や、ビスホスホネート系の顎骨壊死など。

やはりここもダイレクトに副作用を伝えるべきではない。
副作用の初期症状を伝えるべきである。そして、歯科受診や皮膚科受診など他受診時には併用薬を必ず伝えるよう指導すべきである。
そして症状が出ていないか、フォローしていくのが薬剤師の勤めである。

副作用はありますか?

患者からよく受ける「副作用はありますか?」という質問に対する回答をどのようにするか?

「副作用の無い薬はありません」という当たり前のことを言ってしまうと、小馬鹿にしているだけなので、言ってはいけません。

患者から副作用について聞いてくる場合、
①実際に気になる症状がある
②ただ不安なだけ
というパターンがある。
何か気になる症状がある場合は、それを聞いて副作用の可能性について考える。
頻度の多い副作用を聞きたいだけであれば、それを伝える。

コンプライアンス不良に陥るリスクを恐れて「大した副作用はありませんね」とか言ってしまうと、後から添付文書を見て「こんなに怖い副作用が書いてある」とクレームにつながる可能性もあるので言い方に気をつける。

最終的に、副作用なのか病気の症状なのかという判断は薬剤師にはできないので、「医師に伝えてください」と言ってしまう薬剤師は多いだろう。私も含めて。
これを「医師に伝えておきますね」という仕組みがもっと確立されたら良いのだろうなあ(他力本願)。

副作用を伝えない?

患者が副作用を自覚していれば必ず医師に伝える、そう思っていました。

だから、投薬時に「こういう副作用があるの。でも医師には伝えていない」という患者の心理がわかりませんでした。

例えば、抗がん剤の副作用で吐き気などの副作用が必発で、説明も受けている場合、「治すために我慢しなければならない」と考え、医師にも伝えないということがある。

良薬口に苦し、メリットもあればデメリットもある。確かにそうですが、支持療法などで対応できるケースもある。

このような医師には伝えにくい副作用を拾い上げて共有することが、薬剤師に求められている。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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本の紹介

yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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