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自動車免許を取れない病気
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約3分51秒で読めます.
3,445 ビュー. カテゴリ:自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気
てんかんや統合失調症などの病気であっても、免許を取ることはできますが、免許の拒否又は取消事由等となることがあり、取れないこともあります。
免許の取消し、拒否、保留等事由となる「一定の病気」には以下の8つの病気があります。(道路交通法第90条第1項第1号~2号、道路交通法施行令第33条の2の3)
①統合失調症
自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。
②てんかん
発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除く。
③再発性の失神
脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいう。
④無自覚性の低血糖症
人為的に血糖を調節することができるものを除く。
⑤そううつ病
そう病及びうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。
⑥重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
⑦認知症(道路交通法103条)
⑧上記に掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気
⑨アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒
統合失調症、てんかん、認知症、躁うつ病、ナルコレプシーなどの患者は、医師に相談すべきだろう。
失神をおこしやすいという人はもちろん危険である。
無自覚性の低血糖症というのは、糖尿病の患者でSU剤とか糖尿病用薬を使っている患者全てで注意する必要があるが、糖尿病だからといって免許が取れないわけではない。
結局⑧の「上記に掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気」という書き方をされると、病名とか関係なくなるので、運転に支障をきたす持病を持つ人が持病を隠して免許を取得すると罰則がある。
てんかん患者は運転免許取れない?
2002年6月に道路交通法が改正され、それまで「てんかん病者」は絶対的欠格事由となっていたが、相対的欠格事由となった。
これにより、てんかんをもつ人でも「発作が再発するおそれがない、発作が再発しても意識障害および運動障害がもたらされないものならびに発作が睡眠中に限り再発するもの」であれば運転免許を取得できるようになった。
しかし、てんかんをもつ人の運転免許の取得、更新には、「継続的に診察をしている主治医」の診断書または「日本てんかん学会認定医または認定医に準ずる医師」による臨時適性検査を受ける必要がある。
てんかん患者で運転免許が許可される条件
①発作が過去5年以内に起こったことがなく、「今後、発作が起こるおそれがない」と判断される場合。
②発作が過去2年以内に起こったことがなく、「今後、X年程度であれば発作が起こるおそれがない」と判断される場合。(X年は、医師の判断で診断書に記載する年数で、2~3年であることが多い。X年経過時に再度診断書を提出することになる。)
③1年間の経過観察の後、「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後症状の悪化のおそれがない」と判断される場合。
④2年間の経過観察の後、「発作が睡眠中に限って起こり、今後症状の悪化のおそれがない」と判断される場合。
てんかんの発作型と運転免許
てんかんの発作型は、全般発作、部分発作、二次性全般化発作(部分発作から始まり、全身の痙攣が起こる)に分けることができる。
そして部分発作には、意識が保たれている単純部分発作と、意識が消失する複雑部分発作がある。
単純部分発作では意識が保たれているので、車を運転しても大丈夫なケースが多い。
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