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覚醒剤で逆説的傾眠?ドパミンで眠くなる?
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約4分38秒で読めます.
5,862 ビュー. カテゴリ:逆説的傾眠
中枢神経刺激薬ベタナミンの副作用に「逆説的傾眠」というのがある。
添付文書には、
投与後15〜30分で、一過性に逆説的傾眠を生じることがあるので、投与には十分に注意すること。
との記載がある。
「逆説的傾眠」ってどういうことだろう?
ベタナミンの作用機序としては、ドパミンの放出を促進し再取り込みを阻害することでドパミンの効果を増強することで、覚醒を促す。
ナルコレプシーやADHDに使われる薬は「覚醒剤」と表現されることもある。
ベタナミンには通常は覚醒作用があるので、用法は朝食後あるいは朝昼食後となっており、
「大量投与により、覚醒効果があるので、不眠に注意し、夕刻以後の服薬は原則として避けること。」
と、夕食後の服用は避けるように指示されている。
ドパミンは覚醒ホルモン、メラトニンは睡眠ホルモン。
ベタナミンなどのドパミンを増やす薬を使えば「覚醒」するハズなのに、逆に眠くなることがあるので、「逆説的」傾眠。
ドパミンと突発性睡眠
ドパミンによる眠気問題としては、「ドパミンアゴニストによる突発性睡眠」という副作用があります。
非麦角系のビ・シフロール、レキップあたりだけかと思いきや、全てのドパミンアゴニストに「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。」の記載がある。
さらにドパミンアゴニストだけでなく、メネシットやネオドパストンなどのドパミン製剤にも突発性睡眠についての注意書きがある。
前兆のない突発的睡眠、傾眠、調節障害及び注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
ビ・シフロールと突発性睡眠
ビ・シフロールやレキップ、非麦角系のドパミンアゴニストの警告欄には、以下のような記載がある。
前兆のない突発的睡眠及び傾眠等がみられることがあり、また突発的睡眠等により自動車事故を起こした例が報告されているので、患者に本剤の突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明し、本剤服用中には、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。
添付文書の「重要な基本的注意」のところに、車の運転させないように注意することと書かれている薬は多い。
しかし「警告」のところに書かれているのはあまり無い。
警告に書かれていると、絶対運転させちゃいけないな、という印象。
これらの薬ではごくまれですが、少し意識が飛んだような状態になることがあります。
「テレビを見ていて、ふと気付くと場面が先に進んでいた」といった感じです。
車の運転など危険を伴う作業は絶対にしないようにする。
突発的睡眠の発症機序は明らかではありませんが、プラミペキソール以外のドパミン受容体作動薬やL-ドパ製剤でも認められ、ドパミンD2受容体に対する刺激作用が関連している可能性が考えられています。
プラミペキソールやロピニロールでは特に発現しやすいことが指摘されており、これらの薬剤ではD3受容体に対する高い親和性を併せ持つことから、D3受容体の関与も推測されます。
また、パーキンソン病患者では、もともと睡眠障害がみられることから、疾病により突発的睡眠や傾眠が助長されている可能性もあります。
睡眠や覚醒のメカニズムは奥が深い。
ドパミン作動性神経と睡眠
ドパミンと睡眠の関係は単純ではない。パーキンソン病治療に使用されるレボドパ製剤やドパミン受容体刺激薬については、不眠と傾眠の両方の副作用が報告されている。
中枢のドパミン作動性神経には、中脳辺縁系、中脳皮質系、黒質線条体系、漏斗下垂体系の4系統があり、統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想など)には中脳辺縁系のドパミン過剰が、陰性症状(自発性欠如や感情鈍麻など)には中脳皮質系のドパミン低下が関与する。
ドパミン作動性神経に作用する抗パーキンソン病薬は、中脳辺縁系のドパミンD2受容体に作用することで幻覚などの症状を引き起こし、不眠をもたらす可能性がある。
一方で、抗パーキンソン病薬により、前兆なく発作的に突然眠り込んでしまう突発性睡眠・傾眠の副作用がみられ、自動車事故につながった例も報告されている。
突発性睡眠の発症機序は不明だが、ドパミンD2、D3受容体の関与が推測されており、D3受容体に対する親和性の高いプラミペキソールやロピニロールでは特に発現しやすいことが指摘されている。
パーキンソン病と睡眠障害
パーキンソン病患者では、昼間の過眠や夜間の不眠などの睡眠障害が高率でみられることが知られている。
中途覚醒については、①運動障害により寝返りがうまくできないための不快感、②むずむず脚症候群、③オフ期のジストニアの痛み、④夜間のトイレ、⑤発汗発作など、さまざまな原因が考えられる。
また、これらは夜間の排泄や寝返りなどで介助を必要とすることも多いため、介護者の睡眠不足にも影響し、深刻な問題となり得る。患者だけでなく介護者も含めた対応が望まれる。
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