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GVHDと拒絶反応の違い
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約1分25秒で読めます.
3,519 ビュー. カテゴリ:移植片対宿主病(GVHD)
骨髄移植を行った患者で、「GVHDが出た」という患者がいる。
GVHDとは移植片対宿主病(graft versus host disease)のことで、ドナー由来の細胞が患者さんの体を他人と認識して起こす免疫反応で、同種造血細胞移植を受けた患者さんに発症する合併症です。
これに対して、「拒絶反応」とは、患者さんの免疫細胞が、ドナー由来の移植片を異物と認識し、攻撃することによって起こる合併症で、GVHDとは異なります。
つまり、移植した細胞を自分の体が攻撃するのが拒絶反応で、移植した細胞が自分の体を攻撃するのがGVHDということ。
拒絶反応と違って、輸血後GVHDはドナーとレシピエントのHLAが類似している血縁者間の輸血で発症のリスクが高まる。
軽症のGVHDが起こったほうが白血病の再発が減り、患者さんの予後がよくなることが知られています。
これは、移植後に残存している腫瘍細胞を異物とみなして攻撃する免疫反応によるもので、「移植片対白血病効果(GVL効果)」といいます。そのためGVHDの治療では、GVHDによる臓器障害という悪い側面と、GVL効果による再発減少というよい側面の、相反する反応をバランスよく管理することが重要です。
GVHDは移植後の骨髄細胞が免疫力を発揮している証拠ともいえます。
慢性GVHDは多くの場合は、移植後3か月頃から2年までに発症しますが、3か月以内や2年以降に発症することもあります。発症頻度は、末梢血幹細胞移植を受けられた方の60%程度、骨髄移植を受けられた方の40%程度で発症するとされます。
症状が起こる臓器は、急性では皮膚・肝臓・消化管など、慢性では皮膚・口腔粘膜・眼球・肺などです。
骨髄移植後の患者には、免疫抑制剤以外にも様々な薬が処方されてきますが、GVHDに対する処方だったり、免疫抑制剤の副作用に対する処方だったり、処方理由も様々なので、確認しましょう。
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