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濃度依存性と時間依存性の抗菌薬の違いは?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約2分40秒で読めます.
7,857 ビュー. カテゴリ:抗菌薬の投与方法
抗菌薬の投与に重要なことは、感染部位において原因菌の最小発育阻止濃度(MIC)を超えることである。
PK/PDPK/PDって何?
PK(ファーマコキネティクス)は抗菌薬の用法・用量と生体内での濃度推移の関係を示し、Cmax、AUC、T1/2が指標となる。
PD(ファーマコダイナミクス)は薬力学を意味し、抗菌薬の濃度と濃度と作用の関係を示し、MICが指標となる。
抗菌薬の殺菌作用は、濃度依存性(AUC/MIC、Cmax/MIC)と時間依存性(Time above MIC)の2種類に分類できる。
濃度依存性(キノロン系、アミノグリコシド系など)は1日1回に投与回数を減らし、高い血中濃度のピークをつくる。
また時間依存性(ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系など)の場合は、頻回投与が必要となる。
有害事象を減らし、治療効果を上げるPK/PD理論に基づく投与方法を提案することが重要である。
アミノグリコシド系薬とPAE効果
PAEとは、Postantibiotic Effect のことで、抗菌剤で細菌に強いダメージを与えた後、しばらく抗菌剤の血中濃度がMIC以下まで低下する状態が続いても、菌のダメージ(抗菌作用)が持続すること。
濃度依存性の薬剤は、その効果がCmax/MICと相関し、時間依存性の薬剤では24時間中血中濃度がMICを上回る時間の割合(%T>MIC)が効果と相関するとされている。
抗菌薬の濃度がMIC以下になっても抗菌作用を示すPAE効果を持つ薬剤の場合は、濃度依存性であっても、効果はCmaxよりもAUC/MICに関連すること、さらに、時間依存性の薬剤の場合にも、その効果はAUC/MICと関連するとされています。
効果を増強するためには、1日の総投与量が同じであっても、濃度依存性の薬剤の場合は1回の投与量を多くしてCmaxを上げることが、時間依存性の薬剤の場合は、MIC以上の血中濃度持続時間を延長させるために、投与間隔を増やすことが必要と考えられている。
効果がAUC/MICに依存する薬剤の場合は、総投与量が重要となり、投与間隔、回数はあまり問題とはならない。
アミノグリコシドはPAE効果が大きく、1日量の投与をまとめて1日1回行えば後は服用しなくても抗菌効果が持続します。
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1 件のコメント
濃度依存性と時間依存性は、何によって決まるのだろう?
同じ系の抗菌薬は基本同じ性質のようだが、これは作用機序によって決まるのか?