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ブリーディングを起こした軟膏は使えない?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分42秒で読めます.
14,711 ビュー. カテゴリ:ブリーディング
軟膏やクリームで、処方頻度の少ない製品のボトルをひさびさに開けたら、水が浮いていた。
そんなことありませんでしょうか?
これはブリーディングといいます。
水と油が分離した状態です。
ブリーディングの何が問題か?
ブリーディングされたまま、軟膏部分を容器に詰めたら、水溶性の成分であった場合、成分の濃度がうすくなってしまう。
脂溶性の成分であった場合は、逆に濃くなってします。
また、汚染の問題もあります。ブリーディングによって分離された水は汚染されやすいのです。
じゃあ、もう一度混ぜれば良いのか?
レスタミンコーワ軟膏の添付文書には、以下のような記載がある。
夏季には内容物が溶けて不均一になることもあるが、かきまぜて使用すれば効果に変わりがない。
レスタミンコーワ軟膏の処方頻度も少ないので、ブリーディングを起こしている頻度は高い。
分離してても混ぜれば使える。
ブリーディングを起こすような薬は冷蔵庫に保管しておいたほうがよい。
混合軟膏の予製を作っている場合は、冷蔵庫で保管すべきだろう。
混合軟膏については、そもそも前述の濃度の不均衡の問題、汚染の問題はブリーディング以前の問題としてあります。
結局、見た目が同じなら、効いているか効いていないか、汚染されているか汚染されていないか、は患者にはわからない。
軟膏は細菌汚染されない?
細菌は一般的に水が存在しないところでは増殖できないことから、油脂性基剤では防腐剤は配合されていません。
乳剤性基剤やゲル基剤では水を多く含むことから、大部分の製剤が防腐剤を含んでいます。
軟膏剤に使用される防腐剤は主にパラベン類が使用されています。
ケラチナミン軟膏では尿素が防腐剤として働くことから、別に防腐剤は配合されていません。
ウレパールやパスタロンではパラベン類が配合されています。
しかし混合したりすると細菌汚染されることがあります。
ハンドクリームの細菌汚染
手術室で多くの職員が共用していたハンドクリームが汚染されて患者へ感染したことがあります。
この原因として、手に付いている水分と細菌がハンドクリームの表面に付着して細菌が増殖したことが考えられます。
また、ハンドクリームを長期間使用している間に乳化の一部が破壊されて、分離した水に防腐剤が十分に働かなかったことも考えられます。
軟膏剤の細菌汚染防止策
①複数の患者などには使用しない。
②チューブから患部に直接使用せずに、滅菌ガーゼや使い捨てのへらなどを使用する。
③軟膏つぼよりもチューブを使用する。
④軟膏剤の使用前後には手を洗う。
⑤診療科では500gなどの大きい容量の軟膏剤を使用しない。
⑥軟膏剤を混合する場合には分離に注意する。
塗り薬の添加物と汚染
油脂性軟膏剤のように基剤が油性成分のみの場合は微生物が繁殖し難く、pHも変化しないので添加物はあまり必要ではありません。
また、基剤に水分が存在すると微生物の繁殖やpHの変化が起こるので保存剤などその他の添加物が必要になります。
①界面活性剤:1分子中に親水基と疎水基を持つ物質の総称で、水分と油分などのように、表面張力が違い、互いに混じり合わない物質の仲立ちをし、溶け込んだ状態にする物質です。相互に混じり合わない水と油とを乳化させ、油の中に細かい水滴が分散している油中水型(W/O型)、水中に細かい油滴が分散している水中油型(O/W型)のクリームをつくります。
②保存剤(防腐剤):微生物などで汚染され、品質劣化を防ぐために配合されています。
③抗酸化剤:酸化反応による有効成分の劣化を防ぐために配合されます。
④pH調節剤:有効成分の安定性、皮膚に対する安全性などの点から、pHを調節するために配合されます。
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