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家族性高コレステロール血症と普通の高コレステロール血症の違いは?
公開. 更新. 投稿者:脂質異常症.この記事は約3分11秒で読めます.
3,119 ビュー. カテゴリ:PCSK阻害薬とMTP阻害薬
脂質異常症の新機序薬、プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬のレパーサ(エボロクマブ)とプラルエント(アリロクマブ)、それに加えてミクロソームトリグリセリド転送蛋白(MTP)阻害薬のジャクスタビット(ロミタピドメシル酸塩)について、処方を見ることが無いので勉強する。
これらの薬のキーワードは「家族性コレステロール血症」。
これまで多くの患者で低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値を十分に下げられなかったが、これらの新薬の登場によって治療選択肢が一気に増えた。
家族性高コレステロール血症
家族性高コレステロール血症(FH)は、LDL受容体とその関連遺伝子の変異による遺伝性疾患です。
対立遺伝子の両方に変異がある場合(ホモ接合体)と、片方だけに変異がある場合(ヘテロ接合体)がある。
ヘテロ接合体患者はこれまで500人に1人程度といわれていたが、最近、日本の一般人口で約200人に1人の割合で存在することが明らかになりました。
一方、ホモ接合体は100万人に1人程度とされる。
成人(15歳以上)FHヘテロ接合体の診断基準は、⑴未治療時のLDL-C値が180mg/dL以上、⑵腱黄色腫(手背、肘、膝などまたはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫、⑶FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内)のうち、2つ以上を満たす場合となっており、遺伝子診断は必須ではありません。
FH患者のLDL-C管理目標値は、一次予防が100mg/dL未満あるいは未治療時の50%未満、二次予防が70mg/dL未満です。
近年、LDL-C値と年数の積である累積LDL-C値が閾値を超えると、冠動脈を発症すると考えられている。
FH患者は通常の脂質異常症患者と異なり、幼少期からLDL-C高値のため、若くして冠動脈疾患を発症しやすい。しかし、小児は血液検査で脂質を測定する機会がほとんどないため、成人になってから発見されることが多い。
PCSK9阻害薬の作用機序
血中LDL-Cは、肝細胞表面に存在するLDL受容体が血中からLDLを取り込むことで減る。
このとき、PCSK9と結合していないLDL受容体は、LDLを取り込んだ後、肝細胞の表面に戻り、再利用される。
一方、PCSK9と結合したLDL受容体は、LDLを取り込んだ後、肝細胞内でリソソームに運ばれLDLとともに分解される。
その結果、肝細胞表面のLDL受容体が減少し、血中LDLが増加することになる。
PCSK9阻害薬は特異的にPCSK9と結合することで、PCSK9のLDL受容体との結合を阻害する。
それにより、LDL受容体の分解が抑制されて再利用が促進されるため、血中LDL-Cが減少する。
スタチンの限界
スタチンを増量してもLDL-C低下作用が一定のレベルにとどまるメカニズムにも、PCSK9が関与していると考えられている。
スタチンが肝細胞内のコレステロール生合成を抑制すると、転写因子のSREBPが活性化し、LDL受容体を増加させるとともにPCSK9の合成を促進する。つまり、LDL受容体の増加とともに、PCSK9とLDL受容体の結合も増えるため、LDL受容体の増加にブレーキがかかる形となり、LDL-Cの低下が抑制されてしまう。
そこで、スタチンとPCSK9阻害薬を併用すると、スタチン投与でLDL受容体を増やしつつ、PCSK9阻害薬でPCSK9の働きを阻害できるため、スタチンの単独投与に比べ、強力なLDL-C低下作用が得られるという。
しかし、FHの中でも重症なホモ接合体患者では、LDL受容体活性が失われているため、PCSK9阻害薬の効果は期待できない。
つまり、PCSK9阻害薬が有効であればヘテロ接合体、無効であればホモ接合体である可能性がある。
ヘテロ接合体ならPCSK9阻害薬、ホモ接合体ならMTP阻害薬
ホモ接合体では、MTP阻害薬のジャクスタピッド(ロミタピド)も治療選択肢となる。
MTPは脂質転送蛋白の一種で、肝臓や小腸で超低比重リポ蛋白(VLDL)やカイロミクロンを形成する。
MTP阻害薬がそれらを阻害するため、結果的に血中LDLが減少する。
ジャクスタピッドを服用する際は、飲食が一部制限される。
肝臓からトリグリセリドが排出されなくなるため、脂肪肝になりやすく、アルコール摂取を控えなければならない。
小腸でも脂肪吸収ができなくなり下痢を発症しやすくなるので低脂肪食にする必要がある。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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