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使用部位がわかりにくい?専門用語を読み解く
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分31秒で読めます.
2,666 ビュー. カテゴリ:わかりにくい使用部位の名称

処方せんや薬袋に記載される「使用部位」が、患者さんにとってはもちろん、薬剤師であっても一瞬「どこだっけ?」と戸惑うことがあります。特に整形外科や皮膚科でよく登場する部位名は、日常的にはあまり耳にしない専門用語も多く、確認に時間がかかることも。
例えば「母指CM関節」ってどこ?
ある処方せんにロキソニンテープの貼付部位として書かれていた「母指CM関節」。これは親指の付け根にある「手根中手関節(carpometacarpal joint)」を指します。
DIP関節:指先から1つ目の関節(末節骨と中節骨の間)
PIP関節:指先から2つ目の関節(中節骨と基節骨の間)※親指にはなし
MP関節:指の付け根の関節(中手骨と基節骨の間)
CM関節:親指のさらに根元、手首に近い関節
母指CM関節症という病名もあるように、親指の基部に痛みが出る疾患で、外用薬が処方されることがありますが、「親指の付け根」と書いてくれるとありがたいところです。
薬剤師も知っておきたい人体の部位表現
薬袋や服薬指導書に記載される部位は、診療報酬や薬剤情報の都合上、正式な解剖学用語に基づいていることが多く、以下のような表現があります。
よく使われる専門用語と対応する部位
専門用語 | わかりやすい表現 |
---|---|
鼠径部(そけいぶ) | 足の付け根 |
足蹠(そくせき) | 足の裏 |
外顆部 | 足首の外側のくるぶし |
母趾(ぼし) | 足の親指 |
環指(かんし) | 薬指 |
示趾(しし) | 足の人差し指 |
臍(さい) | おへそ |
指の呼び名の違い(手と足)
手:母指(親指)、示指(人差し指)、中指、環指(薬指)、小指
足:母趾、示趾、中趾、環趾、小趾
「母指」と書かれていても、「親指」ではなく「人差し指のこと?」と誤解されることもあるため、丁寧な表記や説明が重要です。
薬剤師としてできること
・患者にわかるような薬袋表記にする(例:「母指CM関節」→「親指の付け根」)
・使用部位に関する質問には具体的な身体部位を交えて答える
・外用薬の使用法説明時にイラストを用いるのも効果的
解剖学用語を“翻訳”する視点を持つことで、薬剤師の服薬指導はより親切かつ丁寧なものになります。わかりにくい言葉を、わかりやすく届ける。それも薬剤師の大切な仕事のひとつです。