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薬局で残薬調整ができるようになった?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約4分49秒で読めます.
7,287 ビュー. カテゴリ:処方せん様式の変更
「薬局で残薬調整できるようになったんでしょ?」と聞かれて困る私です。
2016年4月の診療報酬改定で、処方せんの様式が変更され、保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応を記載する欄が設けられた。
処方医が必要と判断した場合は、①「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」と②「保険医療機関へ情報提供」のどちらかを指示することができるようになった。
これで、誤解している医療関係者も多いようだが、薬局で自由に日数変更、処方削除を行えるようになったというわけではない。
〔残薬確認〕
Q.処方せんの様式が変更され、保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応を記載する欄が設けられたが、処方医が必要と判断した場合は、「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」と「保険医療機関へ情報提供」のどちらかを指示するのか?
A.そのとおり。薬局で残薬確認の必要があると処方医が判断した場合、処方せんを使って薬局に指示することができるようになった。Q.処方せんの様式が見直され、残薬に係る医師のチェック欄が設けられたが、薬局が処方医の了解なく投与日数を変更することが可能となったものではないと理解してよいか。
A.そのとおり。
平成28年度診療報酬改定『Q&A』(その1) 2016/3/5 日本医師会
まず、①「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」については、現行通り。残薬確認については医師から言われなくても行っており、残薬があれば疑義照会して日数調整してもらうか、あるいは次回医師に残薬を伝えるように言っている。
残薬がどのくらいあるのか確認するのが面倒だから、薬局で確認させて、後で電話かFAXをもらいたいという医師側の要望をチェックマーク一つで薬局に行わせることができるようになった、という処方せん様式の変更です。
②「保険医療機関へ情報提供」の解釈については、医師会のQ&Aにもあるとおり、薬局で勝手に残薬調整をできるようになったわけではありません。
残薬がどのくらいあるか、という情報を医療機関に伝える必要があります。
どのような手段(電話、FAX)で情報提供しなければならない、といったような具体的な縛りはありませんが、このチェックマークに応じて情報提供を行った場合に、「服薬情報等提供料」が算定可能であるという文脈を考えた場合に、文書による情報提供が妥当であろうと考える。
服薬情報等提供料の部分については、さらに熟読が必要となりそうだ。以下のように書かれている。
保険医療機関への情報提供に当たっては、別紙様式1又はこれに準ずる様式の文書等に必要事項を記載し、患者が現に診療を受けている保険医療機関に交付し、当該文書等の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておく。
つまり、医療機関へ残薬の情報提供を行う際には、(別紙様式1)又はこれに準ずる様式の文書等を用いる必要がある。
しかし(別紙様式1)を見ると残薬に関する情報をどこに記載すればいいのかわからないような、実用性に乏しい様式となっている。
薬局オリジナルの様式を用いたいところだが、それで服薬情報等提供料を算定することができるのかどうかは不明。
このようにしてFAXによる情報提供を医療機関に行ったとして、恐らく次回の処方に残薬調整が反映されてくるのだろう。
しかし、ここで不安要素がある。
情報提供後に医師から電話やFAXで、今回の処方で残薬調整するように指示してきたらどうしよう?
会計も済んでいるので、「次回残薬調整お願いします」としか言いようが無いが、今回のこの処方せん様式の変更については医療機関側も誤解しやすいお粗末な様式変更だと思う。
チェックマークが入っていても小さいし、見づらいし、見逃す可能性大だ。
そもそも、チェックマークを入れてくる医師はいるのだろうか?
疑義照会をウザいと思っている医師が、面倒な疑義照会をあえて薬局に行わせるのだろうか?
残薬調整と医者側のメリット
医者側のメリットとしては、「連携管理加算」というのがあるようだ。
薬剤総合評価調整管理料 250 点(月1回に限り)
連携管理加算 50 点[算定要件]
(1)薬剤総合評価調整管理料
保険医療機関が、入院中の患者以外の患者であって、6種類以上の内服薬(受診時において当該患者が処方されている内服薬のうち、頓用薬及び服用を開始して 4週間以内の薬剤を除く。)が処方されていたものについて、処方内容を総合的に評価したうえで調整し、当該患者に処方される内服薬が2種類以上減少した場合は、所定点数を算定する。
(2)連携管理加算
処方内容の調整に当たって、別の保険医療機関又は保険薬局との間で照会又は情報提供を行った場合は、連携管理加算として所定点数を加算する。ただし、連携管理加算を算定した同一日においては、同一の別の保険医療機関に対して、区分番号 B009 診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。
つまり、残薬に関する服薬情報を医療機関に文書で情報提供した場合に、「6種類以上の内服薬」を飲んでいる患者の場合、そのうちの2種類以上を残薬調整によって減少させた場合には上記の連携管理加算を算定することができるというわけだ。
結構条件は厳しい。
薬局に20点(200円)、医療機関に50点(500円)与えるだけの医療費抑制効果がなければ意味がないですし。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
1 件のコメント
ありがとうございました! 良く理解できました!
でも。。。
Q.処方せんの様式が見直され、残薬に係る医師のチェック欄が設けられたが、薬局が処方医の了解なく投与日数を変更することが可能となったものではないと理解してよいか。
⇒Q 了解く投与日数を変更することが可能となったのか?
⇒A そうではない。
と素直にQ&Aまとめてくれれば・・・・