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エクリラ「ジェヌエア」の使い方は?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約4分40秒で読めます.
2,169 ビュー. カテゴリ:エクリラ「ジェヌエア」
エクリラ400μgジェヌエア30吸入用というCOPDの薬があります。
杏林製薬の吸入剤といえばフルティフォームしか知りませんが、あまり強いイメージはない。
抗コリン吸入剤だとスピリーバレスピマットがほぼ独占している。
エクリラの用法は、「通常、成人には1回1吸入(アクリジニウム臭化物として400μg)を1日2回吸入投与する。」
スピリーバやシーブリが1日1回であるのに、1日2回吸入しなければならないエクリラは少々面倒か。
COPD患者における抗コリン吸入剤のコンプライアンスは低い人が多いので、1日1回のほうが良いかなー。
こういう吸入剤は、薬の効果よりもデバイスの吸入のしやすさが重要です。
COPDの患者は徐々に吸入力が落ちていく。
どの程度吸えているのか不安な患者も多い。
「ジェヌエア」というのはどういうデバイスなのでしょうか。
COPD治療剤の吸入器「ジェヌエア」「ユニバーサルデザイン賞2015」の受賞について(キョーリン製薬)
1.視覚(色つき制御ウインドゥ)と聴覚(カチという音)により吸入完了を知らせる
2.カウンターにより吸入可能回数が確認できる
3.制御機能により重複吸入および空吸入器の使用を防止できる
色んな吸入のデバイスが出てきて多様化するのは、各社がより良いものを作ろうとする競争意識的には良いのでしょうけど、説明する薬剤師的には、あまり多様化してくると正直追いついていけていない。
COPDとLAMA
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主にたばこの煙などの有害物質を長期にわたり吸入し、曝露されることで生じる 肺の炎症性疾患である。
通常は進行性で、徐々に肺機能が低下していく。
主な症状として、労作時の呼吸困難、慢性の咳や痰などが挙げられる。
COPDは、喫煙歴と咳嗽や喀痰、労作時の息切れなどの症状から疑い、スパイロメトリーなどの検査結果に基づき診断する。
日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版」(2013)には、COPD 治療の基本は禁煙指導で、これが疾患の進行を抑制する最も効果的な治療法であると明記されている。
また、全患者に対しインフルエンザワクチン接種 を勧めている。これは、増悪による死亡率を半減させるためである。
さらに、肺炎球菌ワクチンも高齢者の肺炎発症を減らす効果があり、両ワクチンを併用すると、インフルエンザワクチン単独に比べ、感染性増悪の頻度を減少させる。
このため、COPDの患者には、積極的にワクチン接種を勧めたい。
労作時に呼吸困難を訴える患者には、第一選択薬として、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β2刺激薬(LABA) が推奨されている。
エクリラ(アクリジニウム臭化物)はLAMAの1つで、気管支平滑筋のムスカリン受容体M3サブタイプに桔抗することで、気道収縮を抑制し、呼吸機能を改善する。
このほかCOPDの適応を有するLAMAとして、ウメクリジニウム臭化物 (エンクラッセ)、グリコピロニウム臭化物(シーブリ)、チオトロピウム臭化物水和物(スピリーバ)がある。
LAMAは緑内障に禁忌?
LAMAは以前、緑内障には禁忌だったが、現在は閉塞隅角緑内障のみ禁忌である。
前立腺肥大などによる排尿障害がある患者も禁忌とされているが、同ガイドラインには、「前立腺肥大症の患者ではまれに排尿困難症状が悪化する副作用があるが、薬剤の使用を中止すれば速やかに症状改善が得られる」と記されている。
エクリラの特徴
エクリラは、吸入デバイスとしてジェヌエアを用いるが、音と信号により正しく吸入できたかを確認できるのが特徴である。
このため、空吸入や過最l吸入が心配な患者などに適している。
また、吸入時に緑ボタンを押すだけで薬剤が装填されるので、デバイス操作に不安がある患者にも向いている。
使用上の注意点としては、薬剤を装填する際、緑ボタンを上側で水平に保つ、ボタンを押したまま吸入しない、吸入時にデバイスを水平に保つことなどが挙げられる。
4剤あるLAMAの中でエクリラのみ、1日の服薬回数が1回ではなく2回である。
COPD患者では日中だけでなく夜間も症状が出ることがある。
朝と夜の2回吸入するエクリラは、夜間も効果を維持しやすい可能性が考えられている。
LAMA・LABA配合剤を含め、吸入薬は近年、種類が増えているため、薬剤師は薬剤の特徴や吸入デバイスの使用法を熟知しておく必要がある。
エクリラは30吸入用?
「エクリラ400μgジェヌエア30吸入用」が発売される。
30吸入用。
1日2回の用法なので15日分になる。
新薬って14日分までの処方制限があるんじゃなかったっけ。
と思ったら、エクリラの添付文書に、
「本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第270号(平成27年5月19日付)に基づき、2016年5月31日までは、投薬は1回15日分を限度とされている。」
と書かれていた。
わざわざ、28回分を作れ、とまでは言われなかったのね。
参考書籍:日経DI2015.12
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