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ジスキネジアとジストニアとアカシジアの違いは?
公開. 更新. 投稿者:統合失調症.この記事は約4分43秒で読めます.
29,201 ビュー. カテゴリ:錐体外路症状
ジスキネジア・・・口周辺や舌の異常な運動、舌のもつれ、手足が勝手に動く
ジストニア・・・顔や首の強いこわばり、首がそり返る、ひきつけ、けいれん、目が正面を向かない、目の玉がクルクル回る、眼球上転
アカシジア・・・ソワソワ落ち着かない、じっとできない、動き回りたくなる、少し動き回ると楽になる
ジストニア
ジス(異常)+トニア(緊張)で、ジストニア。
筋緊張が異常な状態です。
ゆっくり、ねじれるような奇妙な不随意運動が、主に体幹および四肢近位部や頸部で起こり、その結果、奇妙な姿勢になります。
ジストニアは抗精神病薬の投薬初期に突発したり、抗精神病薬が増量になって比較的早期に起こることが多い。
急性に出現することが多いので、急性ジストニアと呼ばれます。
症状は、口、舌、顎、顔面、頸部、躯幹、四肢の一部または全部が強直(つっぱり)、捻転(ねじれ)します。
特徴的なのは、眼球が上転(吊り上がる)したり、回転または固定することです。
眼球が上転し、舌が口から飛び出て、体が横に傾いているのを見たら急性ジストニアとすぐに診断できます。
急性ジストニアは一度見たら忘れません。
中枢でのドーパミンの代謝回転の亢進、つまりドーパミンが作られても早く壊れる現象が起きているのではないかと考えられています。
アキネジア
キネシアは運動を意味し、アは否定の意味。
つまり、アキネジアとは運動が少なくなること、動きが少なくなることを意味します。
アキネジアは抗精神病薬によるEPSで非常によく見られるものです。
動きが拙劣になり、筋の緊張も亢進し、筋固縮が出現した状態です。
アキネジアに、不随意運動である振戦をともなうと、薬剤性パーキンソニズムと呼ばれる状態になります。
ジスキネジア
ジスキネジアとは、自分では止められない、または止めてもすぐに出現するといった、おかしな動きの総称である。
ジスキネジアの症状は「繰り返し唇をすぼめる」「舌を左右に動かす」「口をもぐもぐさせる」「口をつきだす」「勝手に手足が動く」「足が突っ張って歩きにくい」などがある。
薬剤性ジスキネジアの原因薬物としては、主に、①抗精神病剤や制吐剤などのドパミン拮抗剤②パーキンソン病治療薬などのドパミン作動剤、の2種類が知られている。
①は、長期投与された場合に出現しやすいことから、ドパミン受容体が長期間ブロックされ、感受性が亢進した結果、生じるのではないかと考えられている。
②についても、ドパミン受容体の感受性亢進が原因と考える説や、ドパミン過剰状態が原因という説もあるが、いずれも、はっきりとした機序はわかっていない。
パーキンソン病の治療においては、薬(レボドパ含有製剤)の効果が切れる早朝にジストニア(筋肉のこわばり)が起こることと、逆に薬が効きすぎてジスキネジア(自分の意志と関係なく手足や口が動いてしまうこと)が起こることが知られています。
アカシジア
抗精神病薬の副作用の一つ、アカシジア。
じっとしていられません。
動き回ります。
下肢がムズムズするといった異常知覚や焦燥、不眠などの精神症状もともないます。
アカシジアになると、患者さんは落ち着きがなくなり持続的に立ったり座ったりします。
執拗に歩き回り、焦燥感、易刺激性、不安などもみられます。
アカシジアと気づかなければ精神症状の悪化と誤解されることもあります。
ほかの不随意運動と違って、アカシジアは自覚症状が中心で他覚所見に乏しいため見過ごされていることがあります。
アカシジアで体重減少?
アカシジアでは動き回るので、歩行距離は相当なものになります。
アカシジアと気づかずに徘徊を放置され、1ヶ月で7kgも体重が減ったという話も。
原因不明の体重減少はアカシジアのせいかも知れません。
ピサ症候群
ジストニアの一つにピサ症候群があります。
ピサの斜塔みたいに斜めに傾いているので、ピサ症候群。
体幹が強直し捻転した状態なので、薬原性側方反張という呼ばれることもあります。
人間の身体を塔にたとえるなら、塔という身体を支えるのは背骨の筋肉、つまり傍脊柱筋です。
その傍脊柱筋の持続的な収縮によって、体幹が側屈したままの以上な姿勢を呈しているのがピサ症候群です。
チック症とは?
チック症とは、ピクピクっとした素早い動きなどが、本人の意思とは関係なく、繰り返しおきてしまうものをいいます。
一番多いのは瞬きで、そのほかにも、肩をぴくっと動かす、頭をふる、顔をしかめる、口を曲げる、鼻をフンフンならす、などいろいろとあります。
チックの原因は、親の育て方やストレスが原因と言われたこともありましたが、今ではその基本的な原因は、チックを起こしやすい脳の神経の体質(脳内ドパミン系受容体の発達過程における異常が示唆)にあることがわかっています。
親の育て方の問題ではありません。
チックの治療は?
自然軽快することが多く、またストレスが悪化要因となるため、心理的カウンセリングが有効なこともあり、薬物療法にまで至ることは比較的少ない。
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1 件のコメント
ジストニアはアナフィラキシーショックです他の患者さんもこのような症状が現れたら内服を中止させてください。