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男性にクロミッド?
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約4分51秒で読めます.
4,523 ビュー. カテゴリ:男性にクロミッド使っても効くの?
乏精子症における精子形成の誘導
クロミッド錠に「乏精子症における精子形成の誘導」の効能追加が追加され、2022年4月から、男性が原因の不妊症にも使えるようになるそうだ。
クロミッドといえば、排卵誘発剤。男性に使って効果があるのだろうか?と疑問に思う。
クロミッドは性腺刺激ホルモンの分泌を増加させる作用があり、男性不妊症においては精子形成の促進作用が期待されている。
今までクロミッドは女性しか使わない薬であったので、用法としては「1日1〜3錠を月経周期の3〜5日目から5日間服用」となっていた。
男性には生理はないので、女生徒は飲み方が異なる。
「通常、クロミフェンクエン酸塩として1回50mgを隔日経口投与する。」という隔日投与の飲み方だ。
クロミッドの作用機序は以下のように記載されている。
クロミフェンクエン酸塩は、内因性エストロゲンのレベルが保たれている無排卵症婦人に投与すると、間脳に作用して内因性エストロゲンと競合的に受容体と結合し、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌させる。その結果、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌され、卵巣を刺激して排卵が誘発される。
「内因性エストロゲンと競合的に受容体と結合し、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌させる。」
男性においても、エストロゲン受容体に働き性腺刺激ホルモンの分泌を増加させるわけだ。
男性のエストロゲン受容体の量というのはやはり少ないと思われるし、精子形成の促進作用がどの程度発揮されるのかはわかりませんが、人工授精など、高額な治療法に至る前段階として、少しでも可能性があるのであれば、子供を望むカップルにとっては一つの希望になるのだろう。
クロミッドは男にも効く?
クロミッドが男性に処方されていたら、処方ミスだな、と思って疑義照会しますが、男性に処方されることもあるらしい。
排卵誘発剤のクロミッドは男性不妊症にも使われます。
この場合、性腺刺激ホルモンは睾丸に作用し、男性ホルモンの分泌がよくなり、精子形成が促進されます。
男と不妊症
不妊症は近年増加傾向にあり、不妊夫婦の占める割合は全夫婦の約10%に上るとされている。
長い間不妊の原因は女性側にあるという認識が強かったが、最近では男性側に原因がある割合が半数近くあるといれている。
男性不妊の原因は、(1)造精機能障害、(2)精路通過障害、(3)副性器障害、(4)性交障害一に大別される。
中でも、造精機能障害が男性不妊の約90%を占める。
このうち精索静脈瘤など基礎疾患の明らかなものは約30%程度で、大半は原因不明の特発性造精機能障害である。
精索静脈瘤に対しては手術を行うが、多くの特発性造精機能障害は、薬物療法の適応となる。
男性不妊に使われる薬
特発性造精機能障害では、最初に非ホルモン療法が行われる。
一般に力リジノゲナーゼ(カリクレイン、サークレチン)やメコバラミン(メチコバール)、補中益気湯などが投与されている。
カリジノゲナーゼは末梢循環を改善する酵素製剤で、糖巣血流量の増加作用などにより造精機能を促進させると考えられている。
メコバラミンはビタミンB12製剤で、核酸や蛋白質の合成を高めることで、精子の濃度や運動性を高める作用がある。
補中益気湯は、サイコやオウギ、ニンジンなどの含有生薬に精子の運動性や精巣血流量を高める作用があると考えられている。
これらの非ホルモン療法が無効の場合に、ホルモン療法が行われる。
クロミフェンクエン酸塩(クロミッド)は「排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発」を適応とする非ステロイド性 の抗エストロゲン薬である。
クロミフェンは、エストロゲンによって制御されている視床下部でのゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH)の分泌を、視床下部のエストロゲン受容体に競合的に結合することにより促進するGnRHの刺激により脳下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン (LH)が分泌され、それらが卵巣を刺激し排卵が誘発される。
一方、同薬が男性不妊症にも使われるのは、男性において、FSHとLHが造精機能に関与しているからであ る。
GnRHの作用で血中に分泌され たFSHとLHは精巣に作用し、男性ホルモンのテストステロンを分泌さ
せる。
このFSHとテストステロンは 精子の形成や成熟に不可欠と考えられている。
従って、クロミフェンの投与によりGnRHの分泌を亢進させ ることで、造精機能の改善が期待できる。
非ホルモン療法が無効だった特発性男性不妊症患者30人に対しクロミフェン投与を行ったところ、47%の患者で精子濃度や精子運動率が投与前に比べて改善し、13%の患者の配偶者が妊娠に至ったと報告されている。
クロミフェンの投与法は、25mgを1日1回25日間服用後、体内蓄積を避けるため、5日間休薬するのがー般的である。
男性更年期にクロミッド?
男性更年期障害にクロミッド(クロミフェンクエン酸塩)が処方されることがある。テストステロン分泌促進作用を応用したものだ。
クロミフェンは、主に視床下部の性ホルモン受容体に拮抗的に作用し、そのネガティブフィードバックを阻害することで、視床下部下垂体性腺系ホルモンの分泌を促進させ、アンドロゲンの産生やテストステロンの分泌を亢進し、男性更年期障害の症状を改善すると考えられている。
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