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痛みは温めたほうがいい?冷やしたほうがいい?
公開. 更新. 投稿者:痛み/鎮痛薬.この記事は約4分54秒で読めます.
2,890 ビュー. カテゴリ:急性痛は冷やす?慢性痛は温める?
急性の痛みで熱感や腫脹がある場合は冷やす、慢性の痛みで熱感などなければ温める、慢性の痛みでも急性増悪で熱感や腫脹がある場合には冷やす。
これは炎症がある場合(熱感や腫脹がある場合)には温めてしまうと血流が増加して炎症が強くなり痛みが悪化するとされるからです。
慢性的な痛みは患部を温める方がよくなることが多い。
しかし、慢性の痛みの場合にも冷やした方が良くなるという人もそれなりにいるので、原則は原則として患者さんごとに話を聞きながら対応するのが良い。
ぎっくり腰と湿布
前かがみになったときや、重いものを持ち上げようとしたときなどに突然腰に激痛が起こるものを一般的にぎっくり腰(急性腰痛症)といいます。
対処法としてはできるだけ安静にし、急性期にはインドメタシンなどの痛み止めが配合された外用消炎鎮痛薬(シップやゲルなど)を使用します。
貼るタイプの外用消炎鎮痛薬は、パップ剤(いわゆるシップ)とプラスター剤(テープ状)に大別され、パップ剤はさらに冷感タイプと温感タイプに分けられます。
冷感タイプのパップ剤は、水分を多く含む比較的厚い素材でできており、炎症部位の冷却効果が高いので、急性期の熱を伴った痛みに向いています。
一方、温感タイプは、温感成分(トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミド)により患部の血行をよくし、炎症や痛みを和らげるとされています。
風呂上がりなど血行がよくなると痛みが和らぐような場合や、慢性的な痛みに向いています。
プラスター剤は慢性化していて冷却効果を望まない病変に向いています。
安静にしていても痛む場合は、内蔵性の疾患や腫瘍などの重篤な疾患の可能性があるので受診を勧めます。
また、朝だけ痛むような場合は、膠原病などの病気に可能性があるので同様に受診を勧めます。
ギックリ腰で入浴してはいけない?
急性期の腰痛で、身体を温めたほうが良い、と間違えることがあります。
ギックリ腰のときに入浴したり。
入浴中あるいはその直後は一時的に痛みがなくなり、動けるようになってしまいます。
そのため、治ったと思ってしまいますが、それは身体を温めることによって無理やり痛みを取り除いているだけで、次の日にはもっと痛みが増してしまいます。
1週間ほどの急性期を過ぎた時期であれば、お風呂に入って温めることは効果的です。
腰痛患者は安静にしたほうがいい?
痛いなら無理しないほうがいいよね?
急性腰痛ではベッドでの安静がよさそうな気がします。昔はそのように勧められてきていましたが、必ずしも根拠はないとされています。
腰痛患者が安静を指示されると、「安静=寝ていること」と考える人も多い。
しかし、腰痛患者にとっての安静とは、寝ていることでは無く、腰椎への負担が少ない姿勢で過ごすことを意味している。
腰椎の椎間板にかかる圧力は、直立の状態を100とすると、椅子に座った状態では140、前傾して立った状態では150、座って前傾する姿勢では185の圧力が掛かるとされる。
日常生活で「前傾して立った状態」とは、たとえば洗面台で顔を洗うときや物を持ち上げるときの姿勢である。そんなときは膝を軽く曲げて、腰の位置を下げると腰椎への負担が小さくなる。
「座りながら前傾する姿勢」は、机に向かってパソコン作業をしているときなどが当てはまる。
1時間のデスクワークのうち、10分程度は椅子から立って、腰を伸ばし、歩くようにするのがよい。
膝が股関節よりも高くなるようにするのも効果的。
座面が高い椅子の場合は、足元に台などを置いて調節するとよい。
寝るときの姿勢は、側臥位(横向き)で膝を曲げた姿勢が最も腰への負担が小さい。
仰向けなら膝の下に、うつ伏せなら腰の下に、枕やタオルを入れるといい。
慢性的な痛みを増強する因子
安静が痛みの増強因子になる場合もあります。
実際、神経因性痛にはリハビリとしての運動療法が非常に有効であることが、最近の知見で明らかになっています。
そこで、慢性痛の中でも特に難治性といわれる複合性局所疼痛症候群(CRPS)の治療プロトコール(CRPS財団作成)では、運動療法が治療の根幹になっています。
一般的な成人でも、60歳以上になると意識して運動を行わない限り、年に1%の割合で筋量が低下することが知られています。
現代の医学では、筋力の維持、バランス力の維持には運動療法以外に実効性のある治療方法はないのです。
慢性痛によって臥床状態が持続すると、筋力が毎日1~3%低下し、1週間で最大20%失われるという報告もあります。
つまり、臥床状態が長くなると早期から運動器不安定症(筋力、バランス力の低下に伴う運動器疾患の総称)を併発して、新たな痛みも加わり、さらに治療が進まなくなるのです。
サポーターで筋力低下?
サポーターとかテーピングとかに頼っていると筋力が低下してしまうという。
関節を固定して動かないようにするのがサポーターの役割。
長時間の使用は関節が固まってしまい、関節周りの筋力低下につながります。
よく使用されるコルセットやベルトに関しては有効であるというエビデンスに乏しいとされます。
しかし、急性期では効果を実感することがあり、患者さんによっては試してみてもよい。
ただし急性期を過ぎてもダラダラ使用するのは避けたほうがよい。
かえって筋肉が落ちてしまい、腰痛が慢性化したり悪化する可能性もあるとされます。
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