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薬をとろみ剤に混ぜて飲ませちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約2分41秒で読めます.
9,676 ビュー. カテゴリ:とろみ剤とキサンタンガム
嚥下機能に問題のある高齢患者さんが、とろみ剤(嚥下調整食品)を使って薬を飲んでいることがある。
「とろみ剤に混ぜて飲んでも大丈夫ですか?」と聞かれたら迷わず「大丈夫です」と答えることが多かった。
なぜなら、食品と同じであり、食事との相互作用の無い薬であれば問題ないだろうという考えからだ。
しかし、本来、とろみ剤とは嚥下機能低下患者の飲食による誤嚥防止に用いられる嚥下調整食品であり、原料として使われている植物由来の増粘多糖類の種類によっては、薬剤の崩壊性や溶出性に影響するとの報告がある。
↓東和薬品では龍角散の「らくらく服薬ゼリー」を推奨している。東和薬品と龍角散の共同研究で作ったようだ。
医薬品は塩基性薬物が多いので、酸性の飲食物と相互作用が起こり得るので注意が必要です。
嚥下困難のある患者の服薬において、特に高齢者には水ではなく、嚥下調整食品で粘性をつけた「とろみ剤」が用いられるが、薬剤との相互作用が高確率で起こる。
とろみ剤の主成分は酸性多糖のキサンタンガムで、塩基性薬物と静電的に結合すると著しく薬の溶出速度が低下する。さらに塩基性薬物に限らず、OD錠を口腔内で崩壊させずにとろみ剤で服用すると吸収が悪くなることが明らかになっている。
服薬補助ゼリーに求められる特性
服薬補助のためのゼリー状のオブラートが、各社から販売されている。
ゼリーの上に薬剤を乗せ、その上からゼリーを被せて包み、口に入る大きさの塊を作る。
薬剤の服用を補助するゼリーであるため、以下のような特性が望まれる。
・嚥下困難者が問題なく嚥下できる物性である
・薬剤との物理的相互作用がない
・糖尿病患者も利用できるようインスリン代謝に影響を及ぼさない
・口中や食道に付着残存せず、胃まで薬剤を到達させることができる物性
・胃内で水と同様の性質を有する(薬剤の崩壊性、溶出性に影響を及ぼさない)
・簡便に使用できる(介護者の負担減)
・誤飲しても問題が生じない組成
・変質腐敗しにくい
・保存ができる
・良い味覚を有する
・薬剤のように厳重な品質管理が行われている
また、オブラートに包んだ薬を水に浸して、周りのオブラートをゼリー状にした後、噛まずに飲み込む「水オブラート法」というものもある。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。