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骨は質より量?
公開. 投稿者:骨粗鬆症.この記事は約3分34秒で読めます.
1,198 ビュー. カテゴリ:骨密度と骨質
骨粗鬆症の患者を評価する際に骨密度のインタビューは欠かせない。
ただ、骨がスカスカとなる骨粗鬆症では、骨密度がその診断で重要と考えられがちだが、治療開始基準は骨密度よりも既存骨折の有無で評価される。これは、骨折リスク評価には、既存骨折が最もよい因子と考えられていることによる。
骨折しやすさは骨強度で決まるが、骨強度イコール骨密度ではなく、骨密度が7割、残りの3割は骨質が影響する。
ある程度の骨密度を維持している患者であっても、骨質が低下すれば骨折するというわけだ。骨密度測定装置は実用化されているが、骨質を評価できる装置はまだ存在せず、現在、活用し得る最も精度の高い指標は、骨折の既往となっている。
骨の体積の約半分がコラーゲン(タンパク質)、残りはミネラル。コラーゲンの構造が骨質を決める。
コラーゲンは、橋りょうの骨組み(架橋構造)のようにその分子同士がつながる構造をしている。つながって束になった分子は繊維状になっている。骨構造を鉄筋コンクリート柱に例えると、コラーゲン繊維は鉄筋、ミネラルがコンクリートの役割を果たす。
骨質の検査にはまだ健康保険が適応されていないので、まだ普及していません。
骨粗鬆症の定義で述べられている骨強度の規定因子は、「骨量あるいは骨密度」と「微細構造あるいは骨質」ですが、骨質の評価法は臨床使用できないので、WHO (世界保健機関)の骨粗鬆症診断基準では骨密度だけで骨粗鬆症を判定する仕組みになっています。
骨密度と骨量
骨量はその人の骨に含まれる「骨塩」(リン酸カルシウムなど)の「総量」のことで、骨密度は1cm2(または1cm3)あたりに含まれる骨塩の「密度」のことです。
骨は蛋白であるコラーゲンを主成分とする骨器質と、その間に沈着しているミネラルである骨塩から構成されます。
骨量は正しくは骨器質と骨塩の総量から求められますが、一般的には、骨の中に含まれるミネラルの量(骨塩量)で表され、単位はグラム(g)で示されます。
骨塩の大部分はリン酸カルシウムですが、その他の微量成分(マグネシウムなど)も含まれます。
骨量は個人差が大きく、一般に体格が大きい人は当然骨量も多くなります。
一方で、骨密度は単位面積(または単位体積)あたりの骨量のことを指し、単位はg/cm2(g/cm3)です。
骨粗鬆症などの診断に使われる数値はこちらですが、1人の患者と話をするときは、その患者の骨面積はほとんど変化しませんので、骨量≒骨密度ととらえて差し支えないといえます。
カルシウムを摂れば骨密度は上がる?
体重を支える必要が無い環境下では、カルシウムをいくら摂取しても、骨密度の改善は望めない。
カルシウム摂取に加えて、体重の負荷をかけること、つまり運動が必要である。
骨量のピークは18歳
骨量のピーク(PBM:Peak Bone Mass)は18歳頃で、その年齢までに多くの骨量を獲得する生活をいかに送ってきたかにより、PBMの値は変ってきます。
この年代の骨に関する貯金高により、将来骨量が減少した時に骨粗鬆症レベルに到達することを遅らせることができます。
そのためには中学校高校時代、特に初経初来移行の中学時代におけるハイ・インパクトな骨に重力の負荷がかかるような運動(器械体操、バレエ、バスケットボールなど)が非常に効果的です。
運動の効果は、筋肉がつくことで、それが骨への負荷となり骨量を増やすと考えられています。
さらに適度な負荷により骨へのカルシウムの沈着が増すといわれています。
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