記事
体表面積で投与量を決める薬
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分12秒で読めます.
16,826 ビュー. カテゴリ:体表面積の計算方法
薬の投与量を決めるときに、体の大きさで投与量を変える必要性のある薬もある。
子供に薬を飲ませるときに、大人と同じ量では効きすぎるのは当然ですね。しかし、成人量については、体の大きさで違いの無い薬がほとんどである。池乃めだかでもマツコ・デラックスでも同じ量を投与するという薬がほとんどである。
小児用の薬であれば、体重を目安として〇〇mg/kgと、体重によって用量が変わるケースが多い。
しかし、中には「体表面積」という体の表面積を計算して、薬の投与量を決めるものもある。
確かに、身体の大きさを測るには、体重よりも体表面積のほうが適している。
体表面積の計算方法には、デュポア式、新谷式、藤本式などがある。
デュポア式=身長の0.725乗×体重の0.425乗×0.007184
新谷式=身長の0.725乗×体重の0.425乗×0.007358
藤本式=身長の0.663乗×体重の0.444乗×0.008883
例えば、身長160cmで体重50㎏の人(A)と、身長160㎝で体重100㎏の人(B)の体表面積をそれぞれの式で求めると、
(A)
デュポア式=1.50112
新谷式=1.53748
藤本式=1.4596
(B)
デュポア式=2.01536
新谷式=2.06418
藤本式=1.9856
となる。
体重で比較すれば、2倍の差がありますが、体表面積ではそれほどの差はつかない。
「体重100㎏の人は体重50㎏の人の倍の量薬を飲まないと効かないの?」というような質問を受けたことは無いだろうか?
そのときは、「体表面積ではそれほど差はつかないんです。」と答えるとインテリっぽい。
薬の投与量で「体表面積」を使う薬の代表格といえば、抗がん剤の「ティーエスワン(TS-1)」である。
そのほか、ゼローダ錠、タルグレチンカプセル、タンボコール錠(小児)、テモダールカプセル、フルダラ錠、ブフェニール錠、ブレーザベスカプセル、ロンサーフ配合錠、塩酸プロカルバジンカプセルなどがある。
プレドニン錠を悪性リンパ腫に用いる場合に、
「悪性リンパ腫に用いる場合,抗悪性腫瘍剤との併用において,1日量として100mg/m2(体表面積)まで投与できる。」
という記載もある。
しかし、さほど多くはないので、これらの薬が処方された際には、必ず身長と体重を聞いて、投与量に問題がないか確認しよう。
ティーエスワンの体表面積換算表
ティーエスワンの体表面積換算表については、大鵬薬品のホームページに載っているので、よく処方される薬局はプリントアウトしておくとよい。
なぜ抗癌剤の投与量は体表面積で考えるのか?
薬剤の吸収・代謝・排泄に大きく影響する、循環血液量、糸球体濾過率、基礎代謝などの生理諸機能は体表面積と相関するといわれています。つまり、薬剤の投与量は、体表面積で計算した方がより適切な値が得られます。
抗癌剤のように、「毒性は強いが投与量が多いほど殺細胞効果が上がる」薬剤を、安全にかつできるだけ大量に使用するためには、体表面積に基づいた緻密な用量調節が必要なのです。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。