2024年11月22日更新.2,474記事.

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リフレックスとテトラミドの違いは?

ミルタザピンとミアンセリン

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)と呼ばれるミルタザピン(リフレックス、レメロン)と、四環系抗うつ薬に分類されるミアンセリン(テトラミド)という薬がある。

構造式を見るとわかるが、見間違えるほど似たような構造式である。
ミルタザピンの構造式は、ミアンセリンの6位のCがNになっただけの構造である。

テトラミド(ミアンセリン)の構造式

リフレックス(ミルタザピン)の構造式

ミルタザピンの薬効薬理は以下のように書かれている。

本剤は中枢のシナプス前α2アドレナリン自己受容体及びヘテロ受容体に対して拮抗作用を示し、中枢のセロトニン及びノルアドレナリンの両方の神経伝達を増強する。本剤は5-HT2及び5-HT3受容体を阻害するため、セロトニンの神経伝達増大により主に5-HT1受容体が活性化される。本剤のS(+)鏡像異性体はα2受容体と5-HT2受容体を主に阻害し、R(-)鏡像異性体は5-HT3受容体を主に阻害する。N-脱メチル代謝物はラット脳で唯一検出された代謝物で、α2受容体、5-HT2受容体及び5-HT3受容体への親和性は本剤と同程度であった。

ミアンセリンの薬効薬理を見ると、

ミアンセリン塩酸塩のうつ病・うつ状態に対する作用機序は、脳内におけるノルアドレナリンのturnoverを亢進し、また、シナプス前α-アドレナリン受容体を阻害することにより神経シナプス間隙へのノルアドレナリン放出を促進し、受容体への刺激を増進することによるものと考えられている。

どちらも主な作用機序としては、シナプス前α2受容体阻害作用によるノルアドレナリン放出促進による抗うつ作用である。
ミルタザピンとミアンセリンの違いの一つとして、α2受容体とα1受容体に対する結合能の差がある。
ミアンセリンはα1、α2どちらにも結合能が高いのに対して、ミルタザピンは6位にNがあることによって、α1受容体に結合しにくくなっている。

ミアンセリンの場合は、6位がCHであるため親和性を増す方向に疎水性相互作用が生じるが、ミルタザピンの場合は6位がNであり、静電的性質が負極性となり親水的な性質を有するため、疎水性相互作用は生じず、むしろ反発する方向に作用する。
その結果、ミルタザピンはα1受容体への親和性が低下していると考えられる。

ミルタザピンは、
①α2受容体を介したノルアドレナリンの放出促進作用により、ノルアドレナリン系神経活動の促進。
②ノルアドレナリンがセロトニン細胞体上に存在するα1受容体を介して、セロトニン神経活動の促進。
この2つのデュアルアクションを通じて効果を発揮する。

ミアンセリンは構造上、α1受容体も遮断してしまうので、①の効果しか得られず抗うつ効果が弱いといえる。

ミルタザピンの作用機序と効果をまとめると、
α2受容体遮断作用:抗うつ効果
H1受容体遮断作用:睡眠・食欲の改善、体重増加
5-HT3受容体遮断作用:眠気・悪心抑制
5-HT2C受容体遮断作用:不安の抑制
5-HT2A受容体遮断作用:性機能障害の抑制、睡眠改善

ここに挙げられていない作用機序として、5HT-1受容体に対する作用がある。
なぜ挙げられていないかと言うと、ミルタザピンは5HT-1受容体には直接作用しないからである。
5-HT2、5-HT3を遮断することによって、あふれたセロトニンの行き場が5HT-1受容体に集まることによって、抗うつ効果をもたらすということが、薬効分類のネーミングにもある「特異的」セロトニン作動薬という由来なのです。

参考サイト:スズケンDIアワー ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬 ミルタザピン(1)

処方例

リフレックス錠15mg 1錠  
 1日1回就寝前 30日分

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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