更新日:2016年1月27日.全記事数:3,135件.

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抗がん剤を飲む前から嘔吐?


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抗がん剤と嘔吐

悪心・嘔吐は中枢神経系の延髄にある嘔吐中枢の刺激で惹起される。

抗がん剤による悪心と嘔吐に関してのさまざまな経路の中で最も重要なのは、第4脳質の最後野にあるCTZが刺激され嘔吐中枢に至るものである。

CTZは血液脳関門に保護されておらず、抗がん剤や血中催吐物質に直接影響される可能性が指摘されている。

次に重要なのが、消化管粘膜内に存在する一種の内分泌細胞が、抗がん剤の影響で刺激され、セロトニン(5-HT)を分泌し、これが消化管に分布する5-HT3受容体を介して、迷走神経に伝わり、直接嘔吐中枢へと伝わる経路がある。

大脳皮質は嘔吐中枢を調節、制御しており、精神的要因によりこの経路で嘔吐が起こるとされている。

吐き気が一番つらい

抗がん剤にはさまざまな副作用がありますが、なかでも患者にとって最もつらい副作用が悪心・嘔吐です。
かつて悪心・嘔吐が重症で長引く場合は、抗がん剤による治療を中止せざるをえない場合さえありました。抗がん剤の投与継続が困難となる、あるいは、減量投与により治療効果が減弱するなどが起こり得る。

しかし、近年では、悪心・嘔吐のメカニズムが次第に明らかになり、それに対して十分な対策がとられるようになってきました。
生命予後の改善やQOL維持のためにも、可能な限り悪心・嘔吐を発生させないことが重要となるため、悪心・嘔吐対策のためのガイドラインも策定された。

飲む前から吐き気?

化学療法を開始する前から発現する悪心、嘔吐を予測性嘔吐と定義されています。

前回の化学療法で悪心、嘔吐の強かった患者、乗り物酔いの経験者で頻度が高いといわれています。

前庭器官と大脳皮質からの刺激が嘔吐中枢に至る経路が関与しており、抗不安薬(ロラゼパム、アルプロゾラムなど)が有効とされています(処方例としては、治療前夜と当日の朝にロラゼパム0.5~2mgを経口投与)。

悪心・嘔吐が起こる仕組み

悪心・嘔吐は脳幹内にある嘔吐中枢(VC)により引き起こされます。

抗がん剤投与後、VCを活性化させる経路としては3つの経路が考えられています。

①抗がん剤の作用により十二指腸や腸管などにあるクロム親和性細胞(EC細胞)が刺激されてセロトニン(5-HT)を分泌し、これが上部消化管粘膜の5-HT3受容体を介してVCに至る経路。

②第4脳底室周囲の最後野にあるCTZ受容体が直接または間接的に末梢神経から刺激を受け、VCに至る経路。

③感覚などの情緒刺激により大脳皮質からの刺激がVCに至る経路。

悪心・嘔吐の発生機序

抗がん剤投与による悪心・嘔吐の発生機序として、主に中枢性と末梢性の2つの経路が指摘されている。

中枢性経路では、抗がん剤投与によりサブスタンスPの放出が促されNK1(ニューロキニン1)受容体が活性化し、化学受容器引金帯(CTZ)を介して、または直接刺激により、嘔吐中枢(VC)に伝達される。

末梢性経路においては、抗がん剤投与が腸管クロム親和性細胞からのセロトニン(5-HT)放出を引き起こし、消化管の5-HT3受容体を経由した求心性迷走神経経路により嘔吐中枢が活性化される。

抗がん剤による嘔吐の種類

抗がん剤投与による悪心・嘔吐は、その発生時期によって次の3つに分類される。

急性嘔吐:抗がん剤投与後24時間以内に生じる
遅発性嘔吐:24時間以降に生じ、数日間持続する
予期性嘔吐:前治療による悪心・嘔吐の経験など精神的要因により出現する

急性嘔吐は治療コンプライアンスを低下させる最も大きな要因の1つであり、かつ、その予防が不十分であった場合は、遅発性嘔吐の誘因となるため、急性嘔吐は積極的に予防していく必要がある。

予期性嘔吐は、抗がん剤投与で経験された悪心・嘔吐の最初の対処法が不十分な場合に引き起こされる条件反射の1つである。
初回治療時に十分な制吐対策を行い、可能な限り悪心・嘔吐を予防することが重要である。

悪心・順吐のメカニズムの解明は1953年にまず嘔吐中枢(VC: vomiting center、.および、引き金体(CTZ:chemoreceptor trigger zone)が発見されたことに始まります。
CTZは第四脳室最後野に位置し、この第四脳室最後野には、5-HT3受容体、D2受容体など、さまざまな受容体が分布しています。
現在では、悪心・嘔吐には複数のメカニズムが関与し、①脳にあるCTZの刺激が嘔吐中枢に伝わるルートや、②消化管から順吐中枢に刺激が伝わるルート、③前庭を介するルート、④大脳皮質を介するルートの4つのルートが知られています。
最近ではノルアド レナリンの関与も報告されており、それぞれのルートに対する薬剤が異なるために、悪心・嘔吐が高リスクのレジメンでは制吐対策として複数メカニズムの薬剤が必要になります。

悪心・嘔吐のメカニズム

①抗がん剤やその代謝産物が血流を介して直接CTZを刺激するルート
抗がん剤やその代謝産物が血流を介して脳のCTZを経由し、セロトニン受容体 を刺激することによって嘔吐中枢を刺激するルートです。
対策:5-HT3桔抗薬、ドパミン受容体桔抗薬

②腸クロム親和性細胞から迷走神経の5-HT3受容体を経て刺激が唱吐中枢に至るルート
消化管内に存在する腸クロム親和性細胞(EC細胞)から、抗がん剤による刺激を受けて5-HTが放出されます。5-HTは隣接して存在する迷走神経末端の5-HT3受容体に結合し、迷走神経、交感神経求心路に刺激が伝達されます。
この伝達された刺激が直接、またはCTZを経由して嘔吐中枢に伝わります。
対策:5-HT3桔抗剤、デキサメタゾン

③求心性経路:大脳皮質を介するルート
過去の抗がん剤投与時に、コントロール不十分であった嘔気・嘔吐の記憶や体験、患者の精神的要因、視覚・嗅覚などによる大脳皮質からの刺激が嘔吐中枢に伝わるルートです。
対策:ロラゼパムなどの鎮静剤

④求心性経路:前庭を介するルート
前庭を介するルートの例としては、乗り物酔いやめまいに関連する悪心・曜吐 があります。
これらの予防としては抗ヒスタミン剤がしばしば用いられます。
対策:抗ヒスタミン剤

がん化学療法における悪心・嘔吐に影響を及ぼす因子としては,治療側の因子と患者側の因子があります。
治療側の因子としては, 抗がん剤の種類や投与スケジュールと関連があり,患者側因子としては過去の経験や年齢、女性、アルコール飲用歴があります。

CTZとは?

CTZ(chemoreceptor trigger zone)は,引き金体といわれます。
CTZは第四脳室最後野に位置し、D2受容体、オピオイド受容体,ムスカリンM1受容体、5-HT3受容体などのさまざまな受容体が分布しています。
CTZは生物の防御機構として発達した機能であるため、血液脳関門で保護されていません。
このため、セロトニン受容体を刺激する抗がん剤や、オピオイドやドパミン刺激剤の影響を受けることになります。

参考書籍:ファーマトリビューン2012.1

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