更新日:2015年10月22日.全記事数:3,117件.

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急性痛を放置すると慢性痛になる?


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急性痛を放置すると慢性痛になる

痛みを放置すると、どのようなことが起こるのか。

急性痛の代表例である術後痛について具体的に考えてみます。

術後痛の発生率は30~50%と報告されています。

例えば、胃がんの手術では心窩部から臍近傍まで約20cmの切開が必要になりますので、鎮痛薬がなければ眠れないほど強い痛みが生じ、息をするのも大変です。

この術創の痛みには警告システムとしての意味はありませんので、適切に対処しないと何日も苦しむことになります。

痛みのためにベッドから起き上がれないと、深部静脈血栓症による肺梗塞を起こす可能性もあります。

また、歩行で促進される腸の動きも鈍くなり、腸閉塞を起こすこともあります。

さらに術創の痛みで深呼吸や痰の喀出ができないため肺炎を合併する確率が高くなります。

このように、通常は自然消退する術後痛であっても適切に対処しないと合併症が起こり、時には致命的になるのです。

また、適切に対処しないで急性痛を放置すると、慢性痛に変化することが報告されています。

その原因は、末梢から脊髄に持続的に強い痛みが伝わると、中枢の神経系が変化して、侵害刺激がなくても痛みを感じるようになるからです。

参考書籍:クレデンシャル2012.6

慢性痛の種類

慢性痛は、慢性侵害受容性痛、神経因性痛、心因性痛の3種類に分類されていますが、多くの場合、これらが合併していることがほとんどです。

慢性侵害受容性痛

一般的に、急性痛の多くは侵害受容性痛に属します。

侵害受容器の近傍に損傷や炎症があると、その情報は痛みとして、侵害受容器→末梢の知覚神経(痛覚線維)→脊髄→視床→大脳皮質、に伝わります。

しかし、何らかの原因で炎症が遅延すると慢性痛になります。

例えば、慢性リウマチ、変形性関節症、がん性疼痛などで、次々と新しい炎症が継続すると、慢性痛になるのです。

また、慢性的に侵害受容性痛が継続すると、痛覚過敏や痛み部位の血管透過性の亢進などによって、腫脹などがみられます。

神経因性痛

神経系の機能異常に伴う持続的な痛みのことで、受容体を介さない痛みともいわれています。

先に示した侵害受容体から脳に至る痛みの回路は求心路と呼ばれ、この回路に障害が生じた痛みが神経因性痛で、求心路遮断痛という別名もあります。

求心路に障害が生じると、通常の痛み刺激は伝わりにくくなる反面、強い自発痛を感じるようになります。

また、疼痛部位の感覚過敏や浮腫も存在し、場合によっては衣服が擦れただけでも強い痛みを感じる超過敏状態になる場合もあります。

さらに、痛みの持続によって交感神経系が病的に亢進し、患部の浮腫や痛みの増強で日常生活が困難になる場合もあります。

神経因性痛の典型例が帯状疱疹後の神経痛で、疱疹痕の知覚はないのに、ジリジリと焼けるような痛みが持続し、不眠や食欲不振になる方もみられます。

心因性痛

痛みの原因がみられず、上記の慢性侵害受容性痛、神経因性痛では説明できない痛みが心因性痛で、身体表現性障害、疼痛性障害とも呼ばれます。

また、うつ病では痛みが前面にでる場合もあり、慢性痛では抑うつ状態になることも少なくないため、鑑別が困難な患者さんもいますが、気分の変動が痛み刺激に影響を与えることは確かです。

一方、機能的画像診断による研究から、これまで心因性痛と考えられてきた病態を、痛み刺激に対して内因性オピオイドを産生して痛みを抑制するドパミン・システムの機能低下で説明できることが、近年、明らかになりつつあります。

そこで、心因性痛の発症メカニズムもいずれ解明されると考えられています。

参考書籍:クレデンシャル2012.6

急性の痛みと慢性の痛み

まず、急性の痛みと慢性の痛みを分けることができるのかという問題がある。

急性の痛みは組織の傷害に基づく生体における警告信号としての生理学的な意味をもち、一方、慢性の痛みは創傷の治癒が得られた後にも持続し、警告としての意味を失ったものと考えられている。

しかし、実際には経時変化として捉えたとき、慢性の痛みにも急性の痛みの要素が含まれている場合が多く、両者を臨床的に分けることは困難である。

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