2018年12月11日更新.3,340記事.5,763,436文字.

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食物アレルギーの原因は完全除去?

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原因となる食物の除去は最小限に

以前は、食物アレルギーの原因になりやすい食物は乳児期における摂取を避けるべきだと考えられていました。
しかし、世界各国で経口免疫療法(原因物質を経口摂取することで耐性獲得を目指す治療法)の研究が始まった10年ほど前から、方針が転換されました。
現在は、食物アレルギーの原因になりやすい食物の摂取時期を遅らせても発症予防にはつながらないことが、世界的なコンセンサスとなっています。

これまで、アレルギーの原因となる食物は完全に除去するよう指導されてきましたが、安全な範囲を見極めた上で、その範囲内で経口摂取を続けたほうが、消化管からの免疫寛容が誘導(経口から抗原が継続的に入ることで免疫が抑制)され、早期に耐性を獲得できると考えられるようになってきました。
実際、アレルギーの原因になりやすい食物は乳児期早期から食べ始めた方がアレルギーの発症予防につながるという説が有力視されてきており、ピーナッツや卵のアレルギー予防では、その説を実証した研究結果も報告されています。
さらに、既に卵アレルギーを発症している児に対しては、早い段階から卵を摂取させることで免疫学的な寛容状態に持っていけるかどうかについても、研究が進んでいます。

しかし、現場では、いまだに症状発症との一致率が低い特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストで「陽性」の結果が出ただけで原因食物の摂取を控えるよう指導しているケースがあります。
完全除去のままでは、いつまでも経口免疫寛容が誘導されない上、生活の質は大きく下がってしまいます。

また従来の経口負荷試験は、アレルギーの原因疑いの食物を約20~60分おきに複数回に分けて摂取し、1回の検査で最終的に多い負荷量を目指す方法でした。そのため、少量なら摂取できても負荷試験の途中で症状が出てしまうと中断となり、完全除去を指示するケースも少なくありませんでした。
一方、1回に少量を食べさせて症状が出ないことを確認する方法も試みられれてきました。この方法はこれまで経口負荷試験とは認められていなかったのですが、少量ずつでも摂取することを進める観点からは有効であると考えられるようになりました。
こうした新しい経口負荷試験が現場で広がれば、多くの患児の生活の質は向上します。
例えば、牛乳が3mLでも摂取可能となれば、日常的にバターを使用でき、パンやクッキーもある程度は摂取できる可能性があります。
卵であれば、全卵の32分の1個の負荷試験をクリアできれば、生の状態で黄身だけを取り出して加熱調理に使えるようになります。
完全除去にする必要がなくなるだけで、保育園などでの給食提供も受けやすくなると考えられます。

除去食はいつまで続ける?

アナフィラキシー既往例や、アレルゲン食品が魚介類、ナッツ類、そばの場合は学童以降まで解除できないことが多い。

乳児期発症の卵、牛乳、小麦アレルギーの多くは3~6歳までには耐性化するが、中には過敏性の持続する例もみられる。

耐性化が個々の症例で異なるため、定期的なアレルゲン検査、食物摂取状況により除去食の適応を判断する必要がある。

一般に食物アレルギー発症から、大豆で1年、卵・牛乳・小麦で1年半、ナッツ・魚介類で3年は除去期間が必要である。

これらのアレルゲン食品の解除時は、アレルゲン性の少ない食品から利用を進めるが、解除時も医師の指導の下に行う。

卵料理が食べられない場合も、食パンや焼き菓子、つなぎ程度の食品は利用できるようになることが多く、卵・牛乳アレルギーでは、ある程度のランク表を参考に利用を進める。

しかし、食物アナフィラキシーはこれらの食品でも誘発されることがあり、自然耐性化は過敏性の程度、特異IgE抗体レベルの推移、多種食物アレルギー、喘息の合併などにより左右される傾向がある。

乳児食物アレルギーでは母親も除去食が必要?

食物アレルギーを伴う乳児アトピー性皮膚炎では、多種食物アレルゲンの感作を受けやすい傾向があり、食物アレルギーは皮疹の悪化・増悪因子の1つとされている。

母親のアレルゲン食品摂取により母乳に食物アレルゲンが検出されており、母乳による影響がみられる場合は、母親の除去食も必要である。

参考書籍:調剤と情報2008.2、日経DI2017.3

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