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緑内障の手術後のリザベンの処方意図は?
公開. 更新. 投稿者:緑内障/白内障.この記事は約3分60秒で読めます.
5,727 ビュー. カテゴリ:緑内障の手術
緑内障は、眼球の圧力が高まって視神経が傷害され、視力低下や視野狭窄を来す疾患である。
治療は点眼剤による薬物療法が中心であるが十分な眼圧低下が認められない場合は外科手術の適応となる。
眼圧上昇の原因となる房水は、正常な場合、毛様体で作られた後、水晶体や虹彩、隅角を通り抜け、線維柱帯を経てシュレム管から排出される。
房水の排出を促して眼圧を下げる手術には、
(1)線維柱帯を切除し、結膜の下に房水を貯留する袋(ろ過胞)を作る線維柱帯切除術 白目に目の中の水を貯めておく袋を作る手術
(2)線維柱帯を切開して、シュレム管への房水の排出を促す線維柱帯切開術
(3)線維柱帯に癒着した虹彩をはがして房水の流水路を再建する隅角癒着解離術
などがある。
線維柱帯切除術は、眼圧を下げる効果が最も高い手術法だが、形成したろ過胞が術部の創傷治癒の過程で縮小し、眼圧が再上昇することがある。
眼圧降下効果を長続きさせるためには、術部の瘢痕化を防ぐことが大切となる。
トラニラスト (リザベン)は、アレルギー性疾患のほか、ケロイドや瘢痕組織の治療を目的として、内用剤がよく適応外処方される。
トラニラストには、創傷部での過剰なコラーゲン産生を促進するトランスフォーミング成長因子β1(TGFβ1)の発現を抑え、創傷の瘢痕化を防ぐ作用がある。
点眼液として外用した場合も同様の作用が期待されており、線維柱帯切除術でろ過胞を形成したウサギを用いた動物実験では、トラニラストの点眼にろ過胞の形成維持効果があることが認められている。
ニキビにリザベン?
リザベンが直接ニキビに使われるということは無いが、ニキビ跡のクレーターの治療に使われることがある。
リザベンにはケロイド・肥厚性瘢痕由来線維芽細胞のコラーゲン合成抑制作用がある。
リザベンはケロイドに使われる。
手術後にも、手術の痕を目立たせないように使うことがある。
ケロイドと肥厚性瘢痕
肥厚性瘢痕は数年の経過で萎縮し、扁平化しうるので、部位によっては必ずしも積極的な治療の必要はない。
これに対してケロイドは生涯にわたり、ゆっくりと進行するので何らかの治療が必要になる。
治療を選択する上で病変の大きさ(面積)は重要な要素である。
第一選択は副腎皮質ステロイド局注療法と局所の圧迫である。
局注療法が実施困難な広範囲の病変では、代わりに副腎皮質ステロイド外用療法を選択する。
整容的、あるいは機能的な問題からケロイドに対して外科的治療を実施する場合には、再発予防のため術後放射線照射が必要である。
いったん治ったように見える傷跡が、数週間して、赤く盛り上がっていわゆるミミズ腫れになることは、誰でも経験することです。肥厚性瘢痕は、数ヶ月、場合によっては数年たつと、自然に白く平らになっていきます。
この、自然に軽快することが肥厚性瘢痕の特徴で、反対に何時までたってもよくならず、増えつづけていくのが、ケロイドと呼ばれるものです。
リザベンは妊婦に禁忌?
リザベンは妊婦に禁忌となっています。
妊婦(特に約3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人
リザベンはアレルギーの薬です。
アレギサールやセルテクトなども妊婦に禁忌です。
アレルギーの薬って言うと比較的安全に使えそうな気がしますが、妊婦には注意が必要です。
リザベンの内服をアレルギーの治療目的で使っているのを見たことはありませんが。
リザベンはケロイドの治療に使われます。
細胞増殖抑制作用を期待して。
そう考えると、胎児の成長に影響を与えそうで、やっぱり妊婦には危険な薬かも、と思います。
リザベン点眼液は妊婦に禁忌?
リザベンの内服薬は妊婦に禁忌となっていますが、リザベン点眼液は妊婦に禁忌とはなっていない。
使用上の注意には、
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦(特に約3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
[動物実験(マウス)で,本剤の経口大量投与により,骨格異常例の増加が認められている。]
と書かれており、妊婦に処方されたとしたら、なるべく飲み込まないように、目頭を押さえるように指導したい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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