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使用量、使用期間に上限のある塗り薬
公開. 更新. 投稿者:皮膚外用薬/皮膚病.この記事は約4分20秒で読めます.
7,524 ビュー. カテゴリ:プロスタンディン軟膏は8週間までしか使えない?
プロスタンディン軟膏の添付文書を見ていたら、
本剤による治療は保存的治療であることに留意し、約8週間以上使用しても症状の改善が認められない場合には、外科的療法等を考慮すること。
と書かれていた。
恥ずかしながら、今気付いた。
8週間以上使っていた人がいたような気がする。
「症状の改善が認められない場合には」という文言に悩むのですが、症状が改善されれば使う必要はなくなるわけで、8週間を超えて、3か月も4か月も使い続けるのはおかしい、という判断になりそう。
塗り薬だと、軽く見ていて、使用量や使用期間の上限にあまり注意していない。
気を付けよう。
医薬品名 | 使用量 | 使用期間 |
---|---|---|
プロスタンディン軟膏 | 1日10g | 8週間 |
アクトシン軟膏 | 6週間 | |
フィブラストスプレー | 1日1000μg | 4週間 |
オルセノン軟膏 | 2か月 | |
カデックス軟膏 | 2か月 | |
ドボネックス軟膏 | 1週間90g | 投与後4~6週目 |
オキサロール軟膏 | 1日10g | 投与後6週目 |
ボンアルファハイ軟膏 | 1日10g | 投与後6週目 |
プロトピック軟膏 | 2週間 | |
コレクチム軟膏 | 1回5g | |
アクアチムクリーム | 4週間(ざ瘡) 1週間(表在性皮膚感染症及び深在性皮膚感染症) |
|
ゼビアックスローション | 4週間(ざ瘡) 1週間(表在性皮膚感染症及び深在性皮膚感染症) |
|
ダラシンTゲル/ローション | 4週間 | |
デュアック配合ゲル | 12週間 |
ほかにもありそうですが、適宜追加する。
プロスタンディン軟膏は心不全に禁忌?
プロスタンディン軟膏の禁忌に、「重篤な心不全のある患者〔心不全を増強させるおそれがある。〕」とある。
「心不全のある患者」に対しては慎重投与なので、重篤かどうかは医師の判断なので、特に心不全であるからといって疑義照会することは無いでしょうけど。
自分が気になったのは、プロスタンディン軟膏で心不全が悪化することがあるのか。塗り薬にそれほどの威力があるのかという点。
インタビューフォームでは、
重篤な心不全のある患者に本剤と同一成分である「注射用プロスタンディン20」を投与した場合、症状がさらに悪化した症例が報告されている。本剤では現在まで同様の報告はないが、動物実験の経皮投与において血中への移行がみられることから、このような症状が発現する可能性は否定できず、心臓に関する注意を喚起するため設定した。
と書かれているので、やはり塗り薬でそのような副作用があった例はない。
皮膚外用剤の禁忌項目については、実際に起こった副作用によるもの、というのは少ないような気がする。
多かれ少なかれ、血中に成分が移行すれば、内服薬や注射薬に書かれている禁忌と同様の記載をしなければならないのだろう。
禁忌は禁忌ですが、その濃淡を常に意識する必要はある。
デュアック配合ゲルは3か月しか使えない?
ニキビ治療薬、デュアック配合ゲルの使用上の注意に、以下のように書かれている。
「本剤の使用にあたっては、12週間で効果が認められない場合には使用を中止すること。また、炎症性皮疹が消失した場合には、他の適切な維持治療を検討すること。なお、本剤を12週間を超えて塗布した際の有効性及び安全性は検討されていないため、12週間を超えて塗布する際はその必要性を慎重に判断すること。」
また面倒な長期投与に関する縛り。
有効性及び安全性を検討してほしいものですが、そのうち外れるのでしょうか。
デュアテック配合ゲルは、クリンダマイシン1%-過酸化ベンゾイル3%を配合した製品です。
過酸化ベンゾイルの単剤であるベピオゲルには、投与期間に関する注意の文言は見当たらない。
ダラシンTゲル(クリンダマイシン1%)には、
「本剤の使用にあたっては、4週間で効果が認められない場合には使用を中止すること。また、炎症性皮疹が消失した場合には継続使用しないこと。」
という記載がみられるので、4週間まで。ちなみにアクアチムクリームもざ瘡(にきび)には4週間までとなっている。
実際はそれ以上の期間連用されているケースは多いですが、疑義照会の対象となる。
デュアック配合ゲルが12週でダラシンTゲルが4週という違いは臨床試験の結果でこうなったのでしょうけど、耐性菌の問題はどちらも同じようにはらんでいる。
しかし、添付文書通り処方されるとしたら、ダラシンは毎月処方できないわけで、デュアックは3か月は連用できるということになる。
錠剤など内服薬であれば、投与日数は明確にわかります。
しかし、外用薬だと、1本で何日分使っているのか、という部分が不明瞭です。
たとえば、塗り薬を1週間で使い切って皮疹が治り、その3週間後に新たに皮疹が発生し、新しく同じ薬剤が処方された、となれば連用されているわけではない。
しかしそれが何か月も繰り返されていれば、効果が認められているのかどうか、漫然と処方されている可能性も考慮し、疑義照会を行う必要があるのだろう。
あるのかも知れない。
しなくても良いかも知れない。
今回はしなくても良いかも知れない。
次回投薬する薬剤師さんにやってもらおう。判断してもらおう。
と、問題を先送りにしてたら、個別指導の時に指摘されるのかなあ。
ビタミンD3外用薬の用量は?
ボンアルファハイの規格は20μg/gで、ボンアルファ軟膏2μg/gの10倍の濃度。
ボンアルファ軟膏に使用量の上限はありませんが、ボンアルファハイには、
1日の使用量は本剤として10gまでとする。ただし、他のタカルシトール水和物外用剤と併用する場合には、1日の投与量はタカルシトールとして200μgまでとする。
という制限がある。
オキサロール軟膏は、
1日の使用量はマキサカルシトールとして250μg(マキサカルシトール外用製剤として10g)までとする。
ドボネックス軟膏は、
1週間に90gを超える使用は行わないこと。
塗り薬を1日どのくらい使っているか、ということの聞き取りはなかなか把握しづらいですが。
来局間隔などで、使い過ぎの傾向があれば注意が必要。
ビタミンD3外用薬で高カルシウム血症になる?
高濃度活性型ビタミンD3外用薬には使用量制限があります。
無視すると経皮吸収のため高Ca血症の代表的な症状は全身倦怠感と口乾です。
1日1回、朝晩にステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬を塗り分け、最終的にビタミンD3単独での外用療法を目指します。
これはステロイドの長期外用による皮膚萎縮などの局所副作用発現を抑えるためです。
ステロイドもビタミンD3もローションがあり、被髪頭部などに適宜使用します。
なお、低濃度ビタミンD3外用薬(ボンアルファ軟膏)には使用量制限はありませんが、血中Ca濃度は無視しないほうがよいでしょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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