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抗癌剤による発熱にクラビット?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約4分36秒で読めます.
2,511 ビュー. カテゴリ:熱が出たらクラビット?
病院で抗癌剤の治療を受けている患者に、
クラビット錠500mg 1錠
1日1回朝食後 5日分
という処方が出ることがある。
これをただの風邪か何かと勘違いし、「なるべく早くお飲みください」みたいな指導をしてしまうと赤っ恥かくこともあるので注意。
抗癌剤の副作用である骨髄抑制からの感染症対策としての支持療法で、熱が出た場合に服用するというものである可能性が高い。
がん薬物療法時に注意すべき副作用の1つに発熱性好中球減少症があります。
発熱性好中球減少症の定義は、好中球数が500 /μL(/mm3)未満または1000/μL未満で、その後48時間以内に500 /μL未満に減少すると予測される状態で、かつ腋窩温が37.5度以上(口腔内体温38度以上)の発熱を生じた場合と定義されている。
骨髄抑制は、抗がん剤によって骨髄の造血機能が抑制されることで生じるもので、白血球・赤血球・血小板が減少する。
中でも白血球が特に減少するため易感染性となる。
38℃以上の発熱を伴う発熱性好中球減少症は、急速に敗血症性ショックに陥る可能性があり、その予防や早期治療の目的で抗菌薬が処方される。
骨髄抑制に対する支持療法としては、「37.5℃(38℃)以上の発熱が見られた場合に服用を開始し、処方された量(5~7日が一般的)を飲み切る」という用法が標準。
発熱性好中球減少症リスクがやや高い場合には、発熱の有無にかかわらず「化学療法治療日から5~7日後(施設差あり)に服用を開始し、飲み切る」とすることもある。
血液腫瘍の治療を受けている患者では、日和見感染の予防のため、抗真菌薬や抗ウイルス薬が入院時から継続的に処方されることもある。
ベルケイド(ボルテゾミブ)という抗癌剤を使用している患者や同種骨髄移植後の患者で、カリニ肺炎の予防のためにST合剤(バクタ)を低用量で継続的に使用することがある。
また、同種骨髄移植後で免疫抑制剤を使用中の患者に、深在性真菌症の予防目的でアゾール系抗真菌薬が継続的に使われることもある。
抗がん剤服用中に風邪を引いたら注意?
抗がん剤服用中の患者さんが、薬局に風邪薬を買いに来たとしましょう。
きっと、がん患者というだけで気持ちが焦ってしまい、相互作用に問題は無いかどうかを調べるので精一杯。
でも、本当に気をつけなければいけないのは、抗がん剤服用中の発熱。
好中球減少性発熱です。
アルキル化剤や代謝拮抗剤のような抗がん剤は、細胞の増殖を阻害する作用を持ちます。
がん細胞は正常細胞に比べて細胞周期が短いため、これらの薬剤はがん細胞に特異的に作用することが期待されますが、骨髄や腸管粘膜、毛根などのように細胞周期の比較的短い正常細胞にも影響を及ぼすことになります。
骨髄細胞がダメージを受けた場合、赤血球、白血球、血小板などの産生機能が低下します。
このうち白血球(特に好中球)が減少した場合、細菌感染を防ぐことができなくなり、感染症発症の結果としてかぜ様症状が現れます。
特に38度以上の発熱は重要な指標であり、重篤化を防ぐために直ちに抗生剤等を投与する必要があります。
抗がん剤治療中の発熱を訴えられたら、すぐに病院に行くように強く言いましょう。
抗癌剤による造血器障害
抗癌剤による造血器障害の副作用は感染症を引き起こし、直接死に結びつく合併症を引き起こすことから最も迅速な対応が求められるものです。
早期に気づいて、抗がん剤の投与を中止することで対応できるケースもありますが、抗がん剤を効果的に用いるためには有効な薬の投与を考える必要が生じてきます。
造血器障害には、赤血球減少、血小板減少、白血球減少などがみられる。
赤血球減少
赤血球減少により生じる貧血の場合は、ヘモグロビン8g/dLを維持することが望ましく、対策としては赤血球濃厚液や保存血を用います。
薬ではエリスロポエチン製剤を投与すると、約10%以上ヘモグロビン値の上昇がみられるとの報告もあります。
血小板減少
血小板減少は、抗がん剤投与開始後2週間目くらいに最低値となることが多いといわれています。回復するケースもみられますが、血小板数が5万/μL以上に保たれれば出血の危険性が少ないと考えられているので、血小板数が5万/μL以下になった場合に血小板輸血を開始するケースがよくみられます。
この場合、最低でも1~2万/μLを保つために行われます。この際、発熱や悪心がみられることも念頭においてください。
白血球減少
白血球(好中球)減少は、薬によって違いはありますが、投与開始後2週間目くらいにピークを迎えることが多いのです。現在では、コロニー刺激因子(CSF)薬を投与することで対応できます。
一般的には白血球数が1000/μL以下、顆粒球数が500/μL以下になると重篤な感染症の発生が考えられるので、迅速な対応が求められます。
症状としては発熱のほか、発赤、腫脹、熱感、疼痛、膿形成などがあり、それらを気にしながら患者さんを観察することが大切です
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