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利尿薬で肝性脳症?
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症.この記事は約3分45秒で読めます.
3,692 ビュー. カテゴリ:利尿剤と肝性脳症の関係
肝不全の患者に、腹水や浮腫で利尿剤が処方されることがある。
しかし、利尿薬の増量により肝性脳症を誘発することがあるとのこと。
そのメカニズムを勉強。
まず、利尿剤を使うと低カリウム血症になる。
カリウム保持性利尿剤ではなりませんが。
低カリウム血症になるとアルカローシスになります。
何らかの原因で大量のK+が失われて低カリウム血症となると、K+が細胞内から細胞外に移行します。すると電気的中性を維持するためにH+が細胞外液から細胞内へ移行します。また、遠位尿細管のNa-K交換部位でも、Kの代わりにH+が排泄されやすくなります。その結果、細胞外のH+は減少し、アルカローシスが起こります。
アルカローシスになると高アンモニア血症になります。
腎臓はpHが酸性に傾くと水素イオンやアンモニアを尿中に分泌し、重炭酸イオン(アルカリ)の再吸収を促し、アルカリ性に傾くと重炭酸イオンの再吸収を抑え、排泄を促して、酸とアルカリのバランスをとり、一定のpHを維持している。
つまり、アルカローシスになると尿中へのアンモニア分泌が減る。
そのため、利尿剤投与→低カリウム血症→アルカローシス→高アンモニア血症→肝性脳症、という流れ。
肝性脳症
肝性脳症は、劇症肝炎や肝硬変など重篤な肝障害に起因する重篤な合併症の一つであり、意識障害、異常行動および神経筋活動の変化(羽ばたき振戦)などから昏睡に至る精神神経症状を主徴とする。肝性脳症の発症要因は様々であるが、中でも食事などから摂取したたんぱく質が腸内細菌により分解されて生じるアンモニアの関与が挙げられている。通常、アンモニアは肝臓で代謝されるが、重篤な肝障害などではアンモニアの代謝異常が生じ、血中アンモニア濃度が上昇することで発症すると考えられている。
肝性脳症の治療は、アンモニアを中心とした中毒物質蓄積の誘因の除去と再発予防が中心となる。薬物治療では、腸管でのアンモニアの産生・吸収抑制作用などを有する難消化性合成二糖類製剤や、アンモニアの代謝促進作用などを有する分岐鎖アミノ酸輸液製剤などが用いられている。
肝性脳症
肝臓病患者の便秘は怖い。
その理由はアンモニア。
アンモニアが肝性脳症を引き起こす。
アンモニアには神経毒性がある。
通常アンモニアは肝臓で無毒化されるが、肝臓の機能が落ちていると、肝臓で処理できなくなったアンモニアが血液中に増える。
高アンモニア血症になる。
高アンモニア血症に陥ると、アンモニアが、脳血液関門を容易に移行し、脳障害が起こる。
タンパク質の取り過ぎや便秘などは、アンモニアを増やすリスクになる。
肝性脳症を防ぐ目的で、下剤や整腸剤などが処方される。
肝性脳症の原因はアミノ酸
脳症の精神症状は脳内がAAArichとなった結果、AAAがadrenalineやdopamineなどの偽伝達物質となることにより誘発されるといわれている。
さらに脳症における高アンモニア血症はBCAAの投与により改善されることから、脳内のアンモニア(NH4+)処理機構はBCAA代謝が関与しているものと考えられている。
すなわち、BCAAを投与すると脳内でα-ketoglutamate(α-KG)に変換され、NH4+と反応しglutameteとなる。
GlutamateはさらにNH4+と反応しglutamineとなり脳内より除去され、脳内NH4+値は低下する。
一方、肝性脳症(高アンモニア血症)における意識障害は、α-KGの減少によりTCA回路が機能低下を引き起こし、連鎖的にミトコンドリア内の電子伝達系も抑制され、エネルギーの産生不足を呈し意識障害が生じるという意見と、興奮性伝達物質といわれるglutamateが減少するためだという意見があるが、BCAAはこれを改善する。
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