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ザルティアの処方は50歳以上から?
公開. 更新. 投稿者:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約3分41秒で読めます.
4,701 ビュー. カテゴリ:ザルティアの処方制限
前立腺肥大の薬として発売されたザルティア。
成分はED治療薬のシアリスと同成分のタダラフィルです。
処方をみかけたことはまだありませんが、EDへの転用を防ぐために厳しい処方制限があるようです。
添付文書上では、
本剤の適用にあたっては、前立腺肥大症の診断・診療に関する国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、適切な検査により診断を確定すること。
という文面くらいしか見当たりませんが。
前立腺肥大症と診断しないと処方できないので、そのための様々な検査が必要です。
前立腺肥大症治療薬ザルティア錠について。性病、勃起障害(ED)でお悩みなら大阪市の石川泌尿器科へ
従って、現実的には泌尿器科でないと処方は困難です。
50歳以上という年齢制限もあります。
泌尿器科からの処方以外はNG。
50歳以上という年齢制限。
薬価基準の一部改正について
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「本剤の適用にあたっては、前立腺肥大症の診断・診療に関する国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、適切な検査により診断を確定すること。」とされており、適切な検査により前立腺肥大症と診断された場合に限り算定できること。また、診療報酬明細書の記載に当たっては、尿流測定検査、残尿検査、前立腺超音波検査等の診断に用いた主な検査について、実施年月日を摘要欄に記入すること。
って書かれている。
検査項目や検査の実施年月日までレセプトに記載しなければならないとなると、泌尿器科じゃないと無理。
この薬も、他でもらってたからといって、かかりつけの医者から出してもらうというような融通は効かせられない薬。
50歳以上という年齢制限については、
Minds医療情報サービス
前立腺肥大症のガイドラインによる、前立腺肥大診療のアルゴリズムにおいて、
この診療アルゴリズムは前立腺肥大症が疑われる男性を対象とする。疑う根拠としては,年齢(50歳以上),下部尿路症状(頻尿・排尿困難・尿意切迫感など),尿閉,尿路感染症などがある。
50歳以上という条件があるからなのだろうと思います。
絶対的条件なのかどうかはわかりませんが。
タダラフィルといえば、もう一つ肺高血圧症治療薬の「アドシルカ」がありますが、こちらのレセプトへの記載条件はザルティアのようなものはない。
「前立腺肥大症」という病名のハードル自体は低いので、ザルティアを安易に処方できるようにしてしまうと、EDへの効果が「おまけ」ではなく「メイン」になってしまう可能性がある。「肺高血圧症」という病名のハードルは高いので、アドシルカをEDにも転用というおまけ的要素は「メイン」になりえないと考える。
α1遮断薬とPDE5阻害薬の使いわけ
α1受容体遮断薬とPDE5阻害薬の下部尿路症状に対する効果はほぼ同等であり、効果に優劣を付けるのはむずかしいとされています。その一方で、α1受容体遮断薬抵抗性患者においてα1受容体遮断薬からPDE5阻害薬への交替療法の有効性と安全性が示されています。
主訴が排尿症状であればα1受容体遮断薬と、畜尿が主訴であればPDE5阻害薬を第一選択とし、そのほかに年齢による使い分けとして、PDE5阻害薬はその有する作用機序を踏まえ、中間年齢(30歳代半ば~40歳代くらいまで)の男性へ効果が期待できると示唆されている報告もあります。
前立腺体積を縮小する薬剤としては、ホルモン系薬である5α還元酵素阻害薬や抗アンドロゲン薬があります。
前立腺肥大症の第一選択薬としてはα1受容体遮断薬またはPDE5阻害薬が推奨されています。両剤に効果の差はないとされています。前立腺体積が30mL以上の症例で5α還元酵素阻害薬の使用が推奨されています。
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2 件のコメント
初めまして。大変興味深い内容でした。
最近では遠隔診療というものが活発になりつつあると思いますが、ザルティアは遠隔診療だと処方されないということになるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
遠隔診療で、問診だけで、適切な検査を行うことができないということであれば、処方されないということになるかと思います。