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エネーボとエンシュアの違いは?
公開. 更新. 投稿者:栄養/口腔ケア.この記事は約4分4秒で読めます.
15,119 ビュー. カテゴリ:エネーボとエンシュア
エネーボとエンシュアの違いって何?
「エネーボとエンシュアリキッドの違いは何ですか?」と聞かれて困る私です。
栄養剤のデッドストックと置き場に悩む今日この頃。
エネーボ、エンシュア、ラコールなど様々な医療用栄養剤がありますが、その違いは何か?
エネーボ配合経腸用液は、「一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する」ことを効能・効果とする医薬品経腸栄養剤である。
医薬品経腸栄養剤としては初めてとなる栄養成分として、抗酸化作用のある「セレン」や脂質代謝に関与する「L-カルニチン」を中心に整腸作用が期待できる「フラクトオリゴ糖」、糖代謝に関連する「クロム」、酵素の構成要素である「モリブデン」、脂質の消化・吸収に関与する「タウリン」が配合されている。
1缶あたり300キロカロリーということで、エンシュアリキッドの1缶250キロカロリーとエンシュアハイの1缶375キロカロリーの中間。
三大栄養素のたん白質・脂肪・炭水化物、各ビタミン(A、D、E、K、C、B1、B2、B6、B12、コリン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)、ミネラル(ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、リン、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、鉄)はエンシュアと共通。
市販の流動食でメイバランスという商品があるが、それにはクロム、モリブデン、セレンなんかも入っている。
L-カルニチン、フラクトオリゴ糖、タウリンは入っていないっぽい。
エネーボは市販の経腸栄養剤にも負けてない。
追加されている各栄養素の役割は以下の通り。
「セレン」
セレンは、組織において抗酸化作用の役割を発揮し健康維持にはかかせない微量元素とされている。経腸栄養期間の長い症例では欠乏症の報告があり、欠乏症の代表的な症状として心筋細胞の編成や線維化による心機能の低下、下肢の筋力低下や筋肉痛、爪白色変化などがある。
「L-カルニチン」
L-カルニチンは、脂質代謝に関与する条件付き必須栄養素である。L-カルニチンは通常の食事に少量含有されており食物から摂取可能であるが、慢性疾患、外傷、熱傷の患者さんなどで欠乏症の報告があり、欠乏症の代表的な症状として高アンモニア脳症、低ケトン性低血糖及び心筋症などがある。
「フラクトオリゴ糖」
フラクトオリゴ糖は、ビフィズス菌増殖効果による整腸作用が期待できる成分である。in vitro試験において健全な腸内細菌叢を維持することが知られており、術前・術後の絶食や静脈栄養等で長期に腸管を使用しなかった患者が速やかに正常・健全な腸内細菌叢を回復・維持することが報告されている。
「クロム」
クロムは、糖代謝に関連する微量元素とされている。クロムが添加されていない高カロリー輸液管理患者において欠乏症が報告されおり、欠乏症の代表的な症状として体重減少、耐糖能低下などがある。
「モリブデン」
モリブデンは、酵素(キサンチンオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼ及びアルデヒドオキシダーゼ)の構成要素で必須の微量元素である。モリブデンをほとんど含まない高カロリー輸液管理患者で欠乏症の報告があり、欠乏症の代表的な症状として心拍数増加及び呼吸数増加、頭痛、夜盲などがある。
「タウリン」
タウリンは、胆汁の主要な成分である胆汁酸と抱合し、特に脂質の消化・吸収に関与している栄養素である。タウリンに欠乏症の報告はない。国内においては、肝機能改善や心筋の興奮調節等の薬効でドリンク剤の主成分として広く使用されている。
欠乏症の報告がある栄養素も含まれているし、栄養剤だけで生きている高齢者なんかは、エンシュアから全て置き換わる可能性もあるかも知れない。
こういう栄養剤のバラエティが増えるのは、嚥下困難者のQOLを向上させるのかも知れませんが、期限は短いし、収納スペースはとるし、薬局にとっては頭を悩ます要因。
エンシュアリキッドとエンシュアHの違い
エンシュア・H | エンシュア・リキッド | |
---|---|---|
エネルギー | 375kcal | 250kcal |
ビタミンD | 75IU | 50IU |
カルシウム | 200mg | 130mg |
亜鉛 | 5.63mg | 3.75mg |
タンパク質 | 13.2g | 8.8g |
水分量 | 194mL | 213mL |
栄養剤とセレン欠乏症
通常、健康な人がセレン欠乏症に陥る可能性はほとんどないが、消化器バイパス手術を受けて高カロリー輸液を受けている重篤な腸機能免疫不全の患者や90歳以上の高齢者でセレン欠乏症は起こり得るという。
エンシュアなどの栄養剤を長期に服用している場合、セレン欠乏症に陥る可能性がある。
エンシュアの添付文書の「重要な基本的注意」には。
ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること.長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある.
という記載がみられる。
エンシュア・リキッド、エンシュア・Hにはセレンは含有されておらず、エネーボにはセレンが入っている。
ラコールにもセレンが入っているが、量的に少ない?(5μg/200mL エネーボは20μg/250mL)ためか、エンシュアと同様の注意事項が書かれている。
ビタミン、電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので、必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下、爪白色変化、筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
セレンは、甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)をより活性型であるトリヨードチロニン(T3)に変換するために必要であり、セレンの欠乏症は過労、精神の減退、甲状腺腫、クレチン症、再発性の流産を繰り返す不育症を含めた甲状腺機能低下の症状を引き起こすことがあるという。
市販のメイバランスにもセレンは含まれており、そういった意味ではエンシュアよりも優れた栄養補助食品である。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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1 件のコメント
ここまで書いていてなぜ成分栄養剤がないのでしょうか?