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蕁麻疹にH2ブロッカー?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約6分34秒で読めます.
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蕁麻疹とヒスタミン
蕁麻疹にはH2ブロッカーでも効くの?
ヒスタミン受容体にはH1、H2など複数のサブタイプが存在する。
サブタイプによって便宜上、例えば、H1は即時型アレルギー反応など、H2は胃酸の分泌などに、それぞれ影響を及ぼすとされている。
しかし、実はその機能はオーバーラップしているものが多いのだ。
H1拮抗薬が効かなかった患者にH2拮抗薬を併用することもあるが、それはH2受容体作動が関与するアレルギー反応の抑制に加え、H1拮抗薬の作用増強を狙うため。
H2拮抗薬がH1拮抗薬の代謝を阻害して分解を遅延させ、H1拮抗薬の血中濃度を上昇させるといった報告もある。
Q.蕁麻疹にガスターを処方?
A.慢性蕁麻疹に対してはH1ブロッカーの内服が基本ですが、症状が軽快しない難治性の場合は、H2ブロッカーを併用することがあります。これらの併用が蕁麻疹(じんましん)に奏効する機序として
(1)皮膚の血管内皮細胞にH1とH2の両方のレセプターが存在しており、その両方をブロックすることでヒスタミン刺激による皮疹の出現を効率よく抑制できる
(2)H2ブロッカーが肝臓に作用して薬剤の代謝を遅延させて作用するH1ブロッカーの血中濃度を上げる
(3)細胞性免疫を介する・・・などが考えられています。蕁麻疹(じんましん)にガスターを処方? 日経DI掲載クイズ QUIZ 薬剤師さんなら簡単? ちょいむず?
H1ブロッカー(抗ヒスタミン薬)とH2ブロッカーが併用されていても、別々の疾患をイメージしますが、ヒスタミンという共通の物質に働くことで起こる相互の影響を考える必要がある。
蕁麻疹はアレルギー?
蕁麻疹はアレルギー疾患であると考えている方が多いが、実際にアレルギーによって起こる蕁麻疹は少ないことがわかっている。
慢性蕁麻疹の人の30~50%はマスト細胞を刺激する自己抗体が血液中に存在しているとされる。
つまり、蕁麻疹の原因となる物質を自分の体の中でつくっているわけである。
アレルギーによって起こる蕁麻疹
アレルギーによって起こる蕁麻疹は免疫グロブリンE(IgE)が原因物質であるアレルゲンと結合すると、マスト細胞を刺激して脱顆粒を起こします。
卵やエビで蕁麻疹が出るのはこのタイプです。
ただし、アレルギーによる蕁麻疹は全体の1割以下ではないかと考えられています。
蕁麻疹の出現部位
蕁麻疹と、ほかのかゆみを伴う皮膚病、湿疹、皮膚炎、虫さされなどとの違いは、移動することです。
蕁麻疹の特徴は、色素沈着や落屑を残さずに24時間以内に個々の皮疹が消退したり、出現部位を変える点です。
通常の湿疹や皮膚炎では、24時間以内に消退したり、部位が変化することはありません。
蕁麻疹の治療薬
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬以外の治療薬としては
(1)H2受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬の1種ですが、蕁麻疹に用いられるH1受容体拮抗薬ではなく、主に胃炎や胃潰瘍に用いられる薬剤です)
(2)漢方薬
(3)抗不安薬
(4)抗ロイコトリエン薬
(5)DDS
(6)トラネキサム酸
(7)グリチルリチン製剤
(8)ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(注射薬)などがあります。
さらに難治例、重症例に副腎皮質ホルモン(ステロイド)内服や免疫抑制剤(シクロスポリン)内服が試みられることがあります。
これらの治療は通常単独では用いられず、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬と併用して用いられます。
蕁麻疹と抗菌薬
蕁麻疹の原因が、虫歯や膀胱炎などの細菌感染が原因ということもあるらしい。
ピロリ菌が蕁麻疹の原因で、除菌したら蕁麻疹が治ったという話もあります。
そのため、蕁麻疹に抗菌剤という処方もあります。
また、蕁麻疹の治療で、経口ステロイド剤と抗菌剤を同時処方することがある。
非常にひどい蕁麻疹が、膀胱炎や虫歯が原因で起こっている場合には、まず、抗菌剤と抗ヒスタミン剤を処方する。
しかし、それでも蕁麻疹がおさまらなければ、経口ステロイド剤と抗菌剤を組み合わせて処方する。
薬疹と蕁麻疹
薬を飲んで蕁麻疹が出た、という経験をした人は多い。
しかし、その蕁麻疹が果たして本当に薬のせいなのか、と疑問に思うこともしばしばあります。
蕁麻疹は原因不明なことも多く、特発性蕁麻疹といわれ、大半を占めます。
薬剤による蕁麻疹もアレルギーだけというのは少なく、疲れや寝不足、ストレスなどの体調が関与していることがほとんどとされます。
蕁麻疹は24時間以内に消失するのが特徴で、血管運動を調節する自律神経の乱れによるところが大きく、体調などに左右されやすいです。
蕁麻疹ではなく、薬疹の場合、つまりアレルギー反応の場合、初めて飲んだ薬で薬疹を起こすことはなく、二度目以降の摂取時に発症します。
患者さんが初めて飲んだ薬で薬疹が出たと言った場合、それはただの蕁麻疹で体調が悪かっただけかも、と思います。
しかし、疑わしい薬はやはり避けるべきでしょう。
蕁麻疹が出たのは悪いものを食べたから?
蕁麻疹が出た、というとまず初めに、何か悪いものを食べたんじゃないか?と疑います。
離乳食を食べさせているお母さんなどは特に神経質になります。
しかし、蕁麻疹の原因は必ずしも食物とは限らず、ストレスが原因の心因性蕁麻疹というものもあります。
食べ物が原因の蕁麻疹は1~4%程度らしい。
蕁麻疹の多くは原因不明です。
はやとちりして、除去食を食べさせると、成長に支障をきたします。
食物アレルギーと蕁麻疹の違いは?
食物アレルギーは、原因物質さえ除去してしまえば、何も見た目は変わらないから、その症状は周りの方々には体験できません。
体感できたとしても、症状の9割は皮膚症状です。
発症者がすべて全身じんましんでショックになるわけではなく、多少の湿疹やじんましんで済んでしまうことがむしろ多いので、食物アレルギーの症状に対する認識はおのずと甘くなってしまう。
「食物アレルギーなんて多少間違えて食べちゃっても、ちょっと蕁麻疹が出る程度だ」と思われてしまうのです。
これからは、その認識をしっかり変えていかなければなりません。
食物アレルギーの10%はショックになります。
食物アレルギーは高率に命を落としかねない状況に陥るという認識を一般の方々に持ってもらう必要があります。
蕁麻疹の原因はイラクサ?
蕁麻疹の蕁麻とはイラクサのことを指す。でも、実際にイラクサを見たことは無い。
人がイラクサ(蕁麻)の葉に触れると痒みを伴う発疹が出現するためこの名前がついた。蕁麻疹 – Wikipedia
イラクサは、よく見ると白い小さな刺がたくさん生えていて、その刺には蟻酸(ぎさん)というアリやハチが持っている毒がある。だからこのイラクサの刺にささると痛がゆくなる。イライラするからイラクサなのです。Lodge Lucky Field ロッジラッキーフィールドミヤマイラクサ
これがイラクサか。
庭にいっぱい生えていたような。
気をつけよう。
スティーブンス・ジョンソン症候群の原因は薬?
薬の副作用で有名なスティーブンス・ジョンソン症候群。
重症薬疹です。
スティーブンス・ジョンソン症候群の発生頻度は、人口100 万人当たり年間1~6 人と報告されています。
頻度が少ないので、原因、発症メカニズムの解明はなかなか難しい。
原因の多くは医薬品の副作用と考えられていますが、細菌やウイルス、マイコプラズマの感染によっても起きるという。
抗生物質や解熱鎮痛剤の副作用にも、SJSの記載がありますが、もしかしたらこれらの薬の副作用ではなく、病原微生物の感染によって引き起こされているのかも知れませんね。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
1 件のコメント
10年ほど前に日光過敏症による全身のかゆみに、ガスターで寛解しました。
トランサミンも効きましたが。
H1ブロッカーやアレグラなどが全く効果なく、かゆみと体力消耗と憂鬱さで脳が虚脱状態でした。
いい加減な皮膚科医からは、very strong部類のステロイドを全身に塗れ、と言われたり。
当時は保険適用じゃなかったようなのですが、胃炎ということで処方してもらいました。
H2ブロッカーのかゆみに対する効果は、家族が勤務する医薬系研究所の同僚が教えてくれたものでした。