記事
デエビゴ錠5㎎とクラリス併用しちゃダメ?併用禁忌じゃないけど減量すべき薬
公開. 更新. 投稿者: 2,354 ビュー. カテゴリ:未分類.この記事は約3分0秒で読めます.
オレキシン受容体拮抗薬とCYP3A阻害薬
オレキシン受容体拮抗薬には、ベルソムラ、デエビゴ、クービビック、ボルズィがある。
デエビゴには併用禁忌が無いので使いやすく、処方も多い。
しかし、デエビゴも代謝には主にCYP3Aが関与しているので、全く注意しなくていいわけではない。
デエビゴの「用法及び用量に関連する注意」に以下のように記載されている。
CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。
フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシンとの併用時にはデエビゴ錠2.5㎎を使わないといけない。5㎎や10㎎ではダメということだ。
他のオレキシン受容体の併用禁忌が多いからか、査定されるリスクも高いようだ。
デエビゴ以外のオレキシン受容体拮抗薬でも、「中程度のCYP3A阻害作用を有する薬剤」との併用で用量調節を求められている。
| 医薬品 | 添付文書の記載 |
|---|---|
| クービビック錠 | 中程度のCYP3A阻害剤と併用する場合は、本剤の血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強するおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、投与する場合は、1日1回25mgとし、慎重に投与すること。 |
| ベルソムラ錠 | CYP3Aを中等度に阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随伴症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤を併用する場合は1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。 |
| ボルズィ錠 | 中程度のCYP3A阻害作用を有する薬剤と併用する場合は、ボルノレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強するおそれがあるため、1日1回2.5mgとすること。 |
中程度のCYP3A阻害剤といっても、添付文書上で全ての薬が記載されているわけではない。
ベルソムラのインタビューフォームに、中等度の阻害薬が掲載されている。
aprepitant(アプレピタント):イメンド
ciprofloxacin(シプロフロキサシン):シプロキサン
crizotinib(クリゾチニブ):ザーコリ
cyclosporine(シクロスポリン):サンディミュン、ネオーラル
diltiazem(ジルチアゼム):ヘルベッサー
erythromycin(エリスロマイシン):エリスロシン
fluconazole(フルコナゾール):ジフルカン
imatinib(イマチニブ):グリベック
istradefylline(イストラデフィリン):ノウリアスト
miconazole(ミコナゾール):オラビ、フロリード
tofisopam(トフィソパム):グランダキシン
verapamil(ベラパミル):ワソラン
併用禁忌ではない薬の疑義照会で医師にある程度の根拠を持って伝えるというのは、なかなかハードルが高いので、添付文書に記載されている医薬品であればまあ伝えやすいが、それ以上範囲を広げると医師になかなか伝えにくいかも知れない。
ベルソムラの減量についても、1日1回10mgへの減量を「考慮」という記載なので、最終的には医師の判断に委ねられる。
併用時の規格に注意する薬
オレキシン受容体拮抗薬以外でも、特定の薬との併用で減量を指示されている薬がある。
リポバス(シンバスタチン)とフィブラート系薬の併用については、添付文書に以下の記載がある。
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。
リポバス錠20㎎とベザトールSR錠200㎎の併用は×。
リクシアナとP糖蛋白阻害作用薬の併用については、以下のように書かれている。
| 併用薬 | 投与法 |
| キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマイシン、シクロスポリン | 併用する場合には、本剤30mgを1日1回経口投与すること。 |
| アジスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼム、アミオダロン塩酸塩、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)等 | 治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤との併用が適切と判断される患者にのみ併用すること。併用する場合には、本剤30mgを1日1回経口投与することを考慮すること。 |
リクシアナ錠60㎎とワソランの併用は×。
併用禁忌じゃないからOK、あるいは見逃している医師・薬剤師も多いが、レセプト上の査定のリスクもあるので注意する必要がある。



