2025年5月31日更新.2,483記事.

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頭痛を引き起こす食べ物

頭痛を引き起こす食べ物とは?食生活と片頭痛の関係

頭痛にはさまざまな原因がありますが、その一つに「食品」があることをご存じでしょうか?特に片頭痛の患者では、食べ物や飲み物が誘因となることがあるとされており、日常の食習慣が頭痛発作の頻度や重症度に関わっている可能性があります。

食品が頭痛を引き起こす仕組みとは?

頭痛を引き起こす食品には、血管を拡張させたり、神経を刺激する物質が含まれていることが多くあります。こうした物質が中枢神経系に作用し、片頭痛や緊張型頭痛の誘因となることが知られています。

たとえば:

・血管拡張作用のあるアミン類(チラミン、ヒスタミンなど)
・カフェインやアルコールなどの中枢刺激物質
・食品添加物(亜硝酸塩、MSGなど)

チーズと頭痛の関係

チーズは代表的な「頭痛誘発食品」とされています。その理由は、チーズに多く含まれるチラミンという物質にあります。

● チラミンとは?
チラミンは、自然に発酵する過程で生成されるアミン類の一種で、

・熟成チーズ
・赤ワイン
・チョコレート
・加工肉類(サラミ、ハムなど)

などに多く含まれています。

チラミンは交感神経に作用してノルアドレナリンの放出を促進し、間接的に血管を拡張させたり、血圧を上昇させたりします。

片頭痛は血管の急激な拡張と関連していると考えられており、チラミンがこの作用を誘発すると言われています。

チーズで動悸が起こる理由

チラミンは通常、腸内でモノアミン酸化酵素(MAO)によって分解されます。

しかし、MAO阻害作用を持つ薬(例:イソニアジド、セレギリンなど)と併用した場合、チラミンが分解されずに体内に吸収されやすくなります。

その結果、交感神経終末からノルエピネフリン(ノルアドレナリン)が大量に放出され、

・急激な血圧上昇
・動悸
・頭痛

などの症状が引き起こされる可能性があります。

● チラミンを多く含む食品

・熟成チーズ
・赤ワイン、ビール
・レバー、ニシンなどの魚の塩漬け
・発酵食品(キムチ、納豆など)

チョコレートとフェニルチラミン

チョコレートにはフェニルチラミンという物質が含まれており、これもチラミン同様に血管拡張作用を持ち、頭痛の誘因になることがあります。

一方でチョコレートにはセロトニン分泌を促す作用もあり、「癒し効果」があるとされるため、影響の程度には個人差が大きいと言われています。

その他の頭痛誘発食品

頭痛の誘因となる可能性のある食品は以下の通りです:

食品誘発物質メカニズム
アルコール(特に赤ワイン)チラミン、ヒスタミン血管拡張作用、脱水
柑橘類酸・フラボノイド類血管や神経の刺激
加工肉(ハム、ベーコン)亜硝酸塩一酸化窒素を介した血管拡張
味の素(MSG)グルタミン酸ナトリウム神経刺激
高脂肪食品脂質代謝への影響セロトニンや血流への影響

これらの食品がすべての人に頭痛を引き起こすわけではありませんが、「食べたあとに頭痛が起こることが多い」と気づいたら要注意です。

頭痛を予防する食品と栄養素

一方で、片頭痛の予防に効果があるとされている栄養素もあります。

● マグネシウム:
神経伝達の安定化や血管の収縮・拡張調整に関与。

含有食品:
玄米、大豆、ひじき、わかめ、黒豆、納豆、豆腐、アーモンド、落花生

● ビタミンB2(リボフラビン):
エネルギー代謝を助け、偏頭痛の予防に役立つ。

含有食品:
レバー、卵、乳製品、緑黄色野菜(ブロッコリー、ほうれん草など)

これらの栄養素を日常的に摂取することで、片頭痛の発作頻度を減らす効果が期待されています。

まとめ

・頭痛の原因の一つに、特定の食品に含まれる成分があります。
・特に、チラミンやヒスタミンなどのアミン類は血管を拡張し、片頭痛を引き起こす可能性があります。
・加工食品やアルコール、チョコレートなども要注意。
・一方で、マグネシウムやビタミンB2などの栄養素は予防に役立つとされています。

自身の頭痛のパターンを知り、食事日記などでトリガーを把握することが、頭痛のコントロールには非常に有効です。食生活の見直しは、薬に頼らない自然な予防策としても注目されています。

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