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クローン病と絶食療法
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約2分2秒で読めます.
3,150 ビュー. カテゴリ:クローン病患者の食事療法
クローン病の治療では、食事療法として絶食が行われます。
腸管を安静におくことで緩解状態に導入し、炎症が抑えられて症状の改善がみられる。
クローン病では、通常の食事を摂取すると症状が悪化しやすく、再燃率(症状が悪くなる確率)は80~100%と高くなると言われています。
高エネルギー、高たんぱく質、低脂肪、低残渣が基本的な食事療法となります。
クローン病の食事療法では、低脂肪かつ低残渣で、十分なカロリー(1日2000kcal程度)を摂取することです。
脂肪は30g/日よりも少ない方が、クローン病の再燃を抑えられると言われています。
特に肉類の油、バター、卵黄に代表される飽和脂肪酸と、ゴマ油やマーガリン、種実油といったn-6系脂肪酸は炎症を悪化させるので避け、魚介類、菜種油、エゴマ油などのn-3系脂肪酸の比率が高くなるようにします。
低残渣については、海藻、ゴボウ、糸こんにゃくといった不溶性繊維を多く含む食材は避けます。逆にリンゴやバナナといった水溶性繊維を多く含む果物は下痢を抑える効果があるので、勧めるとよいでしょう。
このほか、飲酒や香辛料、喫煙、暴飲暴食も避けるように伝えます。
クローン病患者はタバコ禁止?
潰瘍性大腸炎と異なり喫煙はリスクファクターであり、喫煙者はインフリキシマブ投与例でも効果減弱例が多い。
禁煙は大変重要であり、禁煙により65%再燃のリスクが低下するとも報告されている。
免疫調整薬投与と同等の数字であり禁煙は必須である。
潰瘍性大腸炎と絶食
クローン病においては栄養療法の有効性が示されているが、潰瘍性大腸炎において栄養療法(絶食療法)が有効であるという科学的なデータは示されていません。
潰瘍性大腸炎において、食事が病気の増悪に影響を与えるという明らかなデータは今のところない。
急性増悪基に一時的な絶食や低残渣食を勧めることはあるが、寛解期においては特に制限を設けない。
また、貧血などが認められなければ運動制限もない。
通常通り社会生活を送っていただく。
クローン病の栄養療法
・成分栄養剤
経腸栄養剤のうち、窒素源(蛋白源)が合成アミノ酸のものを、特に「成分栄養剤」といいます。
エレンタールはその代表です。消化を必要とせず、そのまますべて吸収されるので、便にほとんど残りません。
エレンタール
クローン病患者の食事の原則は低脂肪、低残渣、低ミルクである。
ED製剤はその条件をすべて満たしている。
さらにED製剤の窒素源は蛋白やペプチドではなくアミノ酸なので抗原性もほとんど問題にならない。
クローン病患者にとって成分栄養療法は、単に栄養状態の改善だけではなく、腸管病変そのものにも著名な効果がある。
低残渣食
食事中の繊維成分を抑え、消化管に負担をかけないように調整した食事のこと。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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