記事
ブルーブックとオレンジブックの違いは?
公開. 更新. 投稿者:製剤/ジェネリック.この記事は約6分35秒で読めます.
4,870 ビュー. カテゴリ:ブルーブック
ジェネリック医薬品の品質情報としてオレンジブック(医療用医薬品品質情報集)というのは聞いたことがあると思います。
しかし、最近ブルーブック(医療用医薬品最新品質情報集)という名称を初めて聞きました。
何が違うのでしょう?
もともとオレンジブックは、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)が先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)の生物学的同等性の判定を行い、その結果を掲載した本のことです。
表紙がオレンジ色のためオレンジブックと呼ばれ、後発医薬品を選ぶ時のガイドブック的な役割を果たしている。
日本でも「後発医療用医薬品の使用促進」 実現のために、厚生労働省が平成 9 年から先発医薬品と後発医薬品の生物学的同等性の品質再評価を開始しており、その結果をとりまとめた本が日本版のオレンジブック(医療用医薬品品質情報集)である。年 4 回ほど発行されています。
じゃあ、ブルーブック(医療用医薬品最新品質情報集)は何なのか?というと、後発医薬品の品質に関する情報を掲載している本、なので、オレンジブックとほぼ違いはありません。
とにかく後発医薬品数量シェア80%という目標を達成するために、後発医薬品の使用促進のために、品質情報を公開しているということです。
市場に出回っているジェネリックは先発品と同等の効果を有することは当然と考えているので、このような本を参考にすることはあまりありませんが、このような取り組みが行われていることは薬剤師として知っておく必要があります。
ジェネリックの同等性とは?
ジェネリック医薬品は、先発品と同じ効果で値段が安いと言われます。
基本的には薬剤師の考えも同じだと思います。
安かろう悪かろうというわけではないことはわかります。
しかし、塗り薬や目薬などの外用薬に関しては「?」マークがつきます。
特許
ジェネリックは先発品の特許が切れた後に販売される薬です。
この特許とは、基本的に医薬品の主成分の物質特許のことを指します。
しかし、特許にはほかにも「用途特許」や「製剤特許」「製法特許」などがあります。
物質特許が切れた後にも、製剤特許や製法特許は残っていることがあるので、ジェネリックメーカーは添加物などをあえて違うものを使っています。
飲み薬なら添加物が違っても、血中濃度が同じなら、同じように働くだろうと推測できますが、塗り薬や目薬は血中濃度では計れないので同じように働くのかどうかという疑問が残ります。
使用感についても、主成分よりも添加物や基剤の影響が大きいので無視できません。
ジェネリックは先発品と同等ですが、同等=同じではない、のです。
同じ薬なのに変えられない?効能効果、用法用量等に違いのあるジェネリック
患者さんがジェネリックを希望しても、ジェネリックに変えられないというケースがあります。
ひとつは、医師がジェネリックへの変更を不可としている場合。
ひとつは、そもそもジェネリックが無い(まだ発売されて間もない)薬の場合。
最後に、効能効果が先発医薬品と異なる薬の場合です。
効能効果が違うとはどういうことか?
同じ薬なら同じ病気に効くはず、とは誰もが思うことで、医者だって薬剤師だってそう思っています。
そこにも特許の問題が絡んでおり、診療報酬を請求するときに病名を書かなければいけないので、先発品では「効く」とされていても、ジェネリックでは「効かない」とされている病気に対しては使用することができません。
日本ジェネリック製薬協会
コンテンツ 効能効果について をクリックすると、「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」が見れます。
ジェネリックは先発品と同じではない?
ジェネリック医薬品と先発医薬品とは、有効性や安全性について基本的に違いはありません。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と異なる添加剤を使用する場合が多くありますが、先発医薬品が上市後に添加剤を変更する場合と同様に、添加剤の違いによって有効性・安全性に違いが生じないことを確認しています。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含有しており、効能・効果や用法・用量も基本的には変わりません。
先発医薬品と治療学的に「同等」であり、先発医薬品と代替可能な医薬品であることを、必要なデータに基づいて審査を行ったうえで厚生労働大臣が承認したものだけが、ジェネリック医薬品として供給されているのです。
しかし、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と全く「同じ」である必要はありません。
例えば、先発医薬品が製剤特許を有している場合などは、ジェネリック医薬品は先発医薬品と異なる添加剤を使用することがあります。
先発医薬品と異なる添加剤を使用する場合であっても、日本薬局方の製剤総則の定により、薬理作用を発揮したり、有効成分の治療効果を妨げたりする物質を添加剤として使用することはできません。
使用前例のある、安全性が確認された添加剤のみが使用されています。
仮に、使用前例の無い添加剤を医薬品に使用する場合には、その添加剤の毒性試験などを実施してあらためて安全性等の審査を受けなければなりません。
添加剤の成分や配合量が先発医薬品と異なっていても、有効性や安全性に違いが出ることがないように、ジェネリック医薬品の承認審査においては、生物学的同等性試験のデータの提出を求めて、主成分の血中濃度の挙動が先発医薬品と同等であることを確認しています。
患者さんの体質によっては、添加剤が原因でアレルギー反応などの副作用等を引き起こすことがまれにありますが、これは、先発医薬品であってもジェネリック医薬品であっても、同様に起こりうることです。
なお、既に上市されている先発医薬品でも、承認を受けた当初の製剤と異なる添加剤への変更がなされる場合があります。(すなわち、同じ銘柄の先発医薬品でも、例えば10年前の製品と現在流通している製品とで添加剤が異なるケースがあります。)こうした場合についても、生物学的同等性試験によって、当初の製剤(標準となる先発医薬品)と添加剤を変更した後の先発医薬品とで有効性、安全性が変化していないことを、ジェネリック医薬品と同じ方法で確認をしています。
同等とは?
厚生労働省が定める基準によると、生物学的同等性試験の許容域を80% ~125%としているが、これはすなわち、ジェネリック医薬品と先発医薬品の治療効果が最大45%の範囲で異なるということを示しているのか。
生物学的同等性試験で設定されている許容域の幅は、ジェネリック医薬品と先発医薬品の治療効果の差を意味するわけではありません。
この幅は、医薬品を服用した後の血中濃度が、被験者の体質や体調によって大きくばらつく中で、統計的な評価を適確に行うために設定されたものです。この許容域を満たせば、治療効果は安全域をもって同等となります。実際に承認されている医薬品のデータの検証を実施したところ、先発医薬品とジェネリック医薬品の血中濃度にはほとんど差がありませんでした。
生物学的同等性試験の許容域は、ジェネリック医薬品と先発医薬品の血中濃度の比の幅を示しているのであって、治療効果そのものの差の幅を示しているわけではありません。通常、医薬品の効果や副作用は有効成分の血中濃度に従って発現しますので、生物学的同等性試験の許容域内であれば、治療効果は同等であると考えられます。
血中濃度に関しては、同じ人が同じ医薬品を服用した場合であっても、服用する人の体質や体調等が医薬品の吸収、代謝及び排泄に影響を及ぼすなど、除外できない自然のばらつきが常に起こり得ます。
生物学的同等性試験の許容域は、このような血中濃度のばらつき等を考慮したうえで、ジェネリック医薬品と先発医薬品の治療効果が同等と評価できる幅を安全域を含めて設定しています。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。