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癌の支持療法に使われる漢方薬
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約2分53秒で読めます.
3,693 ビュー. カテゴリ:がん支持療法に有用な漢方薬
癌の支持療法で使われる薬って何がある?
がんの支持療法に頻用される漢方薬は数多くあります。
漢方薬 | 抗癌剤の副作用 |
---|---|
芍薬甘草湯 | こむら返り(有痛性痙攣)、関節痛 |
半夏瀉心湯 | 口腔粘膜炎、下痢 |
人参養栄湯 | 末梢神経障害 |
牛車腎気丸 | 末梢神経障害 |
抑肝散 | 精神症状 |
加味逍遙散 | 精神症状 |
芍薬甘草湯
タキサン系の抗癌剤であるパクリタキセルなどでは、副作用としてこむら返りや関節痛が起こります。
ここに消炎鎮痛剤を投与すると胃腸障害や、腎機能や肝機能障害を起こす恐れがあります。一方、芍薬甘草湯は速効性があり副作用の心配も少なく、日ごろから患者さんに接している看護師から提案されることもあります。
半夏瀉心湯
抗癌剤の副作用である口腔粘膜炎と下痢に対して半夏瀉心湯が推奨されます。
半夏瀉心湯の優れた点は、1剤で口腔粘膜炎と下痢の両方に対処できることで、口腔粘膜も含めて消化管の粘膜傷害と考えればこの作用も理解できます。
漢方薬は異なる症状や病態に1剤で効果がある場合も多くあります。がん治療に伴う複数の副作用に対して1剤で対処できる可能性がある。これが漢方薬の特筆すべき長所です。
牛車腎気丸、人参養栄湯
人参養栄湯は一般的に貧血や体力低下に用いられますが、最近、末梢神経障害に有効なことが認められています。薬理学的に、人参養栄湯には神経細胞保護作用が認められています。
パクリタキセルによる神経障害に牛車腎気丸の有用性がよく知られています。
人参養栄湯と牛車腎気丸の違いをチューリップの球根と茎に例えると、パクリタキセルによる神経障害は軸索障害で、これは茎に相当し、牛車腎気丸が適応します。しかし球根そのもの、つまり神経細胞が障害されている場合は、その保護作用が認められている人参養栄湯のほうが効果的だと考えられます。プラチナ系抗がん剤(シスプラチン、オキサリプラチンなど)では神経細胞そのものが障害されるため、人参養栄湯が適応すると思われます。同じ神経障害でも軸索か神経細胞か部位の違いにより、漢方薬を選択することも可能です。
ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒 7.5g
1日3回毎食前 28日分
抑肝散、加味逍遙散
がん患者の陥りやすい精神科領域の課題として、せん妄、不眠、イライラ、うつ状態などがあげられ、これに対して複数の向精神薬が処方されていますが、その副作用による便秘やふらつき、転倒などに悩んでいる患者さんは少なからずいます。
漢方薬はその副作用の心配が少なく、精神症状に対応することが可能で、さらにポリファーマシーの軽減にも役立ちます。イライラや不眠には抑肝散、多愁訴がある場合には加味逍遙散などが幅広く応用できます。
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