ベセルナクリームはイボに効く？

ベセルナクリームはイボに効く？

尖圭コンジローマは肛門等にできるイボです。
特に無害なのですが、外観がキモイので治療したいです。

尖圭コンジローマの治療には、ベセルナクリームという薬を使います。

ベセルナクリームの適応症は「尖圭コンジローマ」と「日光角化症」しか無いので、ベセルナクリームが保険を使って処方されていれば、その患者さんは尖圭コンジローマか日光角化症だと思われます。

が、しかし、ベセルナクリームは尖圭コンジローマ以外のイボにも効きます。

泌尿器科や婦人科でベセルナクリームが処方されていれば、尖圭コンジローマの可能性が高いですが、皮膚科でベセルナクリームが処方されているときは他の部位に使用する可能性も高いです。

でも、足の裏のいぼは角質層が厚く、ベセルナクリームを外から塗っても樹状細胞まで届かないので効きにくいらしい。

ベセルナクリームの作用機序

ベセルナクリームの作用機序は添付文書に以下のように書かれている。

イミキモドは主としてインターフェロン（IFN）-αの産生促進を介したウイルス増殖の抑制及び細胞性免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞の障害により、ウイルス感染に伴う疾患に対して効果を発揮すると考えられている。

免疫力を高めて、ウイルスの増殖を抑える。

ウイルスが原因の尖圭コンジローマやイボに対する働きはわかる。

日光角化症もウイルスが原因なのだろうか？

インタビューフォームには、以下のように書かれている。

日光角化症に対する作用機序は明らかになっていない。なお、自然免疫系及び細胞性免疫応答の賦活化、並びに、アポトーシス促進により日光角化症病変に対して効果を発揮することが示唆されている。

日光角化症は皮膚がんの一種で、免疫療法が用いられる。
日光角化症は皮膚の一番表面にある表皮の中に留まっている癌で、表皮内癌と呼ばれます。この時点で転移することは無いので、治療すれば生命には問題ありません。ただし、気づかず放っておくと表面が盛り上がってくると同時に皮膚の奥深くまで侵入し、身体全体にも転移する有棘細胞癌に進展します。有棘細胞癌は大きなしこりとなり、中央部がえぐれて出血したり、悪臭を放ちます。

日光角化症には、５－ＦＵ軟膏が使われることもある。

尖圭コンジローマは男性の病気？

ベセルナクリームの処方箋を見た薬剤師が、「女性だから日光角化症じゃないですか？」と言っていた。

調べたところ、尖圭コンジローマの男女比に差は無いようだが、性感染症として、一人の女性から複数の男性へ感染を広げやすいという意味では、男性の患者数のほうが増えやすい傾向にはある。

まあ、しかし、偏見である。

日光角化症から皮膚がんになる？

ベセルナクリームってカリフラワー専用の薬かと思ってましたが、日光角化症という皮膚病の適応も取っていた模様。

日光角化症は、日光紫外線に慢性的にあたり続けることによって高齢者に好発する皮膚病変で、現在は有棘細胞癌の早期段階の病変（表皮内癌）と位置づけられています。転移を生じる危険性はなく、深部組織を破壊することもありませんが、一部は真皮内浸潤性の有棘細胞癌へと進展する危険性が出てきます。浸潤性有棘細胞癌へ進展する確率は、8％程度と見積もられています。
どのような条件で、いつ、日光角化症が浸潤性有棘細胞癌へと進展するかについては現在解明されていないため、日光角化症の段階での適切な治療が望まれています。

日光角化症の現状 「日光角化症」情報サイト 持田製薬株式会社

皮膚がんに進行する可能性があると。

怖いね。

日光角化症は、農業や漁業などの屋外での職業に従事する人に発生しやすく、高齢になるほどその頻度が増加しています。また、屋外スポーツを趣味に持つ人も発生リスクが高いと考えられています。
スキンタイプとしては、サンバーン（日光紫外線による発赤反応）を起こしやすくサンタン（肌の黒褐色化）を起こしにくい色白の人に生じやすく、若い頃からの日光紫外線に対する防御対策の有無も発生に影響します。

発生部位と患者特性 「日光角化症」情報サイト 持田製薬株式会社

おじいちゃんおばあちゃんに多そう。

自覚症状はほとんど無いらしい。

ベセルナクリームとか５ＦＵとか使うみたいだけど、薬を使う副作用の症状のほうが気になるだろうから、コンプライアンスに注意です。

ベセルナと皮膚がん

有棘細胞癌（ＳＣＣ）は表皮を構成する上皮細胞（ケラチノサイト）の癌で、淡紅色調の結節としてみられますが、表面が多少とも角化するため、粗糙なことが多く、進行すると潰瘍化します。
日本でも最近は高齢者の顔面に好発する日光角化症に由来するものが増えています。

ＳＣＣは進行すると、主として所属リンパ節へ転移しますが、まれには血行性の肺転移を生じることもあります。

ＳＣＣの早期病変である日光角化症については、免疫賦活作用を有するイミキモドクリームの外用が承認されており、とくに多発例や広範な病変では有用です。