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目薬同士の併用禁忌?
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約3分6秒で読めます.
6,722 ビュー. カテゴリ:選択的EP2受容体作動薬
エイベリス点眼液という新しい作用機序の緑内障点眼薬が2018年11月に発売されました。
添付文書の情報をみると、
まず、薬効分類は「選択的EP2受容体作動薬」
作用機序には、
オミデネパグ イソプロピル点眼液の眼圧下降作用機序は、EP2受容体刺激作用により、線維柱帯流出路及びぶどう膜強膜流出路を介した房水流出が促進されることによると考えられている。
と書かれている。
EP2受容体とは何ぞや?
エイベリス(オミデネパグ イソプロピル)はプロスタノイドEP2受容体に作用する。
では、他のプロスタグランジン関連薬は何という受容体に作用しているのか。
キサラタン(ラタノプロスト)、トラバタンズ(トラボプロスト)、タプロス(タフルプロスト)はプロスタグランジンF2α誘導体で、プロスタノイドFP受容体に作用する。
ルミガン(ビマトプロスト)はプロスタマイドF2α誘導体で、プロスタマイドαF2受容体に作用する。
これらのプロスタグランジン関連薬が~プロストという名称なのに対してエイベリスは非プロスタグランジン骨格の低分子化合物であるため、ちょっと異なる一般名になっている。
新規作用機序ということなら、他のプロスタグランジン関連薬と併用もアリなのかな?と思いきや、タプロスとは併用禁忌。
併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等
タフルプロスト:タプロス点眼液、タプコム配合点眼液臨床症状・措置方法
中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められている。機序・危険因子
機序不明
他のPG関連薬は禁忌というわけではない。タプロスだけ禁忌。劇薬だからでしょうか。
しかし、目薬同士の併用禁忌は珍しい。他には知らない。
ほかの緑内障・高眼圧症治療薬も全て併用注意となっているため、単独での使用が想定されているのだろうか。
しかし、緑内障治療において1種類のみで眼圧コントロールしていくのは困難なので、そのうち使用経験が蓄積されていって、併用可能となっていくのだろう。
エイベリスは白内障に禁忌?
もう一つ、併用禁忌で注意すべきものが、
無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者[嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下及び視力障害を起こすおそれがある
白内障の手術を受けている患者には使えない。
これは結構痛いような気がします。
ただし、白内障の手術をしていないほうの眼には使用可能とのメーカーの回答あり。
また、エイベリスの副作用の項目をみると、プロスタグランジン関連薬お馴染みの、虹彩色素沈着や睫毛の異常が無い。
これも作用する受容体の違いによるものなのだろう。
眼の周りが黒くなると悩んでいる患者も多いので、その点では使いやすいかも。
エイベリスで色素沈着は起きない?
PGF2α誘導体にはメラニン産生亢進作用や、詳細は不明だが毛周期の成長期延長作用があるとされ、点眼液が皮膚に付着してメラニン増加や睫毛伸長をきたすと考えられる。
エイベリス(オミデネパグ)は、プロスタノイド受容体のうちEP2受容体へ選択的にアドニスト作用を示す。エイベリスには色素沈着の副作用は報告されていない。
ただし、局所的な副作用として点眼時の結膜充血がある。
機序については不明点が多いが、PGによる血流改善作用などによるものと考えられている。一般に、就寝前に点眼すると翌朝には回復するといわれ、点眼を継続するうちに軽減するとされる。
エイベリスと黄斑浮腫
重大な副作用として、PG関連点眼薬では虹彩の色素沈着がよく知られているが、エイベリスでは嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫が報告されている。
黄斑浮腫は、黄斑部(眼底後極部にある直径約2mmの領域)にある感覚網膜に浮腫を来した病態である。中でも、嚢胞様黄斑浮腫を起こすと、重篤な視力低下を生じる。
点眼後に視力低下、視力障害などの症状が表れた場合は、速やかに視力検査や眼底検査、可能であれば光干渉断層計や蛍光眼底造影などの検査を実施し、黄斑浮腫が確認された場合は、投与中止などの適切な処置を行う必要がある。
臨床試験で黄斑浮腫が認められた症例は、いずれも眼内レンズを挿入していたことから、エイベリスは無水晶体眼または眼内レンズ挿入眼の患者には投与禁忌である(他のPG関連点眼薬では慎重投与)。
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