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スミスリンローションを1週間あけて使うのはなぜ?
公開. 更新. 投稿者:皮膚感染症/水虫/ヘルペス.この記事は約5分19秒で読めます.
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スミスリンローションの用法
医療用のフェノトリン、スミスリンローションの適応症は「疥癬」。
OTCにはスミスリンシャンプーやスミスリンパウダーがありますが、こちらの適応症は「シラミ」。
そのためか、使用法も異なる。
スミスリンは、卵には効かない。シラミに対しても、疥癬の原因のヒゼンダニに対しても。
シラミの卵は1週間~10日でふ化するので、シラミが卵からかえるのを待って退治します。
そのためOTCスミスリンの使用法は、3日に1回ずつ、3~4回繰り返します1)。4回目の使用でちょうど10日になり、効果的に退治できます。
ヒゼンダニは雌雄どちらも約2週間で卵から成虫となる。
交尾後の雌成虫は角質層に特徴的な線状の鱗屑を伴う皮疹(疥癬トンネル)を形成し、4~6週間にわたり1日2~4個ずつ産卵し続ける。
卵は3~5日でふ化する。
通常疥癬の場合、フェノトリンは1週間あけて2回塗布する2)。フェノトリンには殺卵作用がないため、卵がふ化する1週間後の再塗布が必要不可欠とされる。
シラミの卵は1週間~10日でふ化する。OTCのスミスリンパウダー、シャンプーは3日に1回の使用法。
ヒゼンダニの卵は3~5日でふ化する。医療用のスミスリンローションは1週間に1回の使用法。
スミスリンパウダー、シャンプーは1g中フェノトリン4mg。
スミスリンローションは1g中フェノトリン50mgと成分量も大きく違うので、単純な比較はできませんが、それぞれ用法用量を守った使い方をしましょう。
疥癬
疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生することにより発症する感染症で、ダニの虫体、糞、脱皮殻などに対するアレルギー反応が引き起こす皮膚病変および掻痒を主症状とする。
疥癬には、①少数のヒゼンダニ(数匹から数十匹)が寄生し激しい痒みを伴う通常疥癬、②100万から200万匹と多数のダニが寄生し、感染力が非常に強い角化型疥癬の2つのタイプがあります。
②は強い痒みがある場合もあれば、全く痒みを生じないケースもあります。
肌と肌の直接接触が主たる感染経路で、感染後は1~2か月の無症状の潜伏期間を経て皮疹などの臨床症状が表れる。
高齢者の多い施設や病院での発症だけでなく、最近は保育園や会社の便座を介した集団感染も報告されている。
症状は、通常疥癬であれば、手のひらや指の間、肘などに疥癬トンネルが見られ、腹や胸、脚、腕などには丘疹や結節(赤いブツブツに見える)が出現する。
一方で、顔や頭にはほとんど症状が出現しない。
角化型疥癬は、全身に灰~黄白色でザラザラと厚い垢(かさぶた、鱗屑、角質)がみられる。
スミスリン(フェノトリン)
フェノトリンは、2014年に疥癬の適応を持つ初の外用薬として登場した。
除虫菊の有効成分とその誘導体からなるピレスロイド系殺虫成分の1つである。
神経細胞のNa+チャネルに作用し、その閉塞を遅らせて反復的な脱分極あるいは神経伝導を遮断。
これにより神経の異常興奮が続き、痙攣や麻痺の継続による殺虫作用を示す。
スミスリンが逆スイッチ?
医療用で使われていた薬が一般向けに販売されるとスイッチOTCと言われますが、一般向けに販売されていたものが医療用に使われるようになると「逆スイッチ」になります。
そんなことはほとんどありませんが、シラミの薬として一般に売られているスミスリンが、疥癬治療薬として逆スイッチされるという話。
販売名は「スミスリンローション」。
適応は疥癬。
用法は、
通常、1週間隔で、1回1本(30g)を頸部以下(頸部から足底まで)の皮膚に塗布し、塗布後12時間以上経過した後に入浴、シャワー等で洗浄、除去する。
となっている。
シラミだと髪の毛とか陰毛とかに使えばいいだけですが、疥癬だと全身に使うので大変。
頸部以下となっていますが、疥癬は頭部にはあまり出ない模様。
1FTUから成人が全身に塗布する量を推定すると25gになるらしい。
なので30gで全身に塗れる。若干余る。
患者用の説明文書を読むと、「わきの間、外陰部、手・足・指の間(足の裏も)、おしりの間」に丸で囲んであり、重点的に塗る必要があるかな。
塗布後12時間以上経過した後に入浴、ってことは朝塗るか?でも、施設の入浴時間とか早そうだから、寝る前に塗るか。
「ヒゼンダニを確実に駆除するため、少なくとも2 回の塗布を行うこと。」
となっているので、30g×2本の包装単位になっている。
「2 回目塗布以降は1 週ごとに検鏡を含めて効果を確認し、再塗布を考慮すること。」
とも書いてあるので、基本的に1回2本の処方かな。
市販のスミスリンの製造販売元は大日本除虫菊ですが、医療用のスミスリンの製造販売元はクラシエ。
スミスリンシャンプーとパウダーどっちがいい?
シラミが流行っているようです。
「娘がスミスリンシャンプーを何度使ってもダメで、頭をボリボリ掻いている。」
と訴えるお母さん。
スミスリン耐性アタマジラミかも。
「パウダーのほうがいいのかしら?」と聞かれる。
頭についたシラミを駆除するのなら、どちらでも。
シャンプーのほうが卵にも浸透してやっつけるので効果的、とも言われますが、結局2日おきの処置を3~4回繰り返す(7~10日間)のはどちらも同じなので、そんなに効果に差は無いと思われます。
枕とか布団とか帽子などの物にはパウダーを振りかけられるので、頭にはシャンプー、モノにはパウダーと使い分けるのがいいかも。
でも何回もシラミに感染するというのは、友達にシラミの無症候性キャリアの子とかがいるのかも。
毛じらみが頭にうつることは無い?
シラミの種類によって寄生する部位が異なり、アタマジラミは頭髪、コロモジラミは衣服、ケジラミは陰毛部をそれぞれ主な生息場所としており、それぞれそこで繁殖して数を増やします。
なので、アタマジラミが陰毛にうつることも、ケジラミが頭にうつることも少ない。
ケジラミだからといって、わざわざ頭までスミスリンシャンプーは使わなくてもいいです。
スミスリンは卵には効かない?
スミスリンはシラミの卵には効きません。
卵は1週間~10日でふ化しますから、シラミが卵からかえるのを待って退治します。
そのためスミスリンの使用法は、3日に1回ずつ、3~4回繰り返します。
4回目の使用でちょうど10日になり、効果的に退治できます。
スミスリン耐性アタマジラミが増えている?
シラミが寄生した場合、日本では唯一のシラミ駆除剤「スミスリン」を使って駆除します。
しかし、このスミスリンに耐性を持つアタマジラミが国内で確認されています。
スミスリンで3~4回シャンプーしても駆除できない場合は、抵抗性である可能性が高い。スミスリンを使い続けると、皮膚炎を起こしたり、フケがひどくなったりすることがあるので、漫然と使用するのは避けるべきである。
シラミで死ぬことはありませんが、かゆいのでどうにかしたいです。
布に付いたシラミは60度前後の熱にさらすと10分くらいで死にます。
タオル、枕カバー、枕などは、洗濯するだけでなく、熱湯に浸して消毒するようにすると効果的です。
頭から熱湯をかぶるわけにもいかないので、男の子ならバリカンで坊主にしてしまいましょう。
しかし女の子はかわいそうなので、そうもいきません。
まさしく、「しらみつぶし」につぶしていくしかありません。
参考文献
1)スミスリンシャンプー 添付文書
2)スミスリンローション 添付文書
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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