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副作用の出る人と出ない人
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約3分33秒で読めます.
4,162 ビュー. カテゴリ:薬の作用と薬物代謝酵素
同じ薬を飲んでも、副作用の出る人と出ない人がいる。
体質によって異なる。そんなことは誰でもわかる。「体質によって違うから副作用が出るか出ないかはわからない」と言ってしまえば魔術と同じ、薬物代謝酵素の個人差に触れれば科学的な説得力を持つ。
肝・消化管に存在する薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)の活性には、個人差があることが知られている。
この個人差は主に、遺伝子多型に起因すると考えられている。
一般に、ある集団に1%以上の頻度で認められる遺伝子変異のことを遺伝子多型と呼ぶ。その多くは、1つの塩基の違いによる一塩基多型(SNP、スニップ)または2~4塩基からなる配列の反復回数の違いによるマイクロサテライト多型(STRP)である。
一般に薬効は、代謝阻害により増強し、促進により減弱するが、ロサルタンやクロピドグレルなどの代謝活性体では、その逆になる点に留意する。
CYPの遺伝子多型が問題となる主な薬剤には以下のようなものがある。
分子種 | 基質(主な商品名) |
---|---|
CYP2C9 | ワルファリンカリウム(ワーファリン他) |
フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール他) | |
NSAIDs(インドメタシン、フルルビプロフェン、イブプロフェンなど) | |
セレコキシブ(セレコックス) | |
ロサルタンカリウム(ニューロタン他) | |
CYP2C19 | プロトンポンプ阻害薬(PPI) |
クロピドグレル硫酸塩(プラビックス) | |
エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ) | |
三環系抗うつ薬 | |
ジアゼパム(セルシン他) | |
ネルフィナビルメシル酸(ビラセプト) | |
CYP2D6 | コデインリン酸塩水和物(コデインリン酸塩他) |
トラマドール塩酸塩(トラマール、トラムセット配合錠) | |
ミルタザビン(リフレックス、レメロン) | |
三環系抗うつ薬 | |
リスペリドン(リスパダール他) | |
クロザピン(クロザリル) | |
アリピプラゾール(エビリファイ) | |
ハロペリドール(セレネース他) | |
テトラベナジン(コレアジン) | |
アトモキセチン塩酸塩(ストラテラ) | |
トロピセトロン塩酸塩(ナボバン) | |
セビメリン塩酸塩水和物(エボザック、サリグレン) | |
メトプロロール酒石酸塩(セロケン、ロプレソール他) | |
プロプラノロール塩酸塩(インデラル他) | |
カルベジロール(アーチスト他) | |
チモロールマレイン酸塩(チモプトール他) | |
メキシレチン塩酸塩(メキシチール他) | |
プロパフェノン塩酸塩(プロノン他) | |
フレカイニド酢酸塩(タンボコール) | |
タモキシフェンクエン酸塩(ノルバデックス他) | |
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(メジコン他) | |
トルテロジン酒石酸塩(デトルシトール) | |
CYP1A2 | テオフィリン(テオドール他) |
クロザピン(クロザリル) | |
レフルノミド(アラバ:免疫抑制薬) | |
CYP2A6 | テガフール(ユーエフティ、ティーエスワンなどに含有) |
ピロカルピン塩酸塩(サラジェン:口腔乾燥症状改善薬) | |
レトロゾール(フェマーラ:アロマターゼ阻害薬) | |
ニコチン(ニコチンガム、ニコチンパッチなど) | |
CYP2B6 | エファビレンツ(ストックリン) |
シクロホスファミド水和物(エンドキサン) | |
メサドン塩酸塩(メサペイン) | |
CYP2C8 | ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス他) |
イブプロフェン(ブルフェン他) | |
パクリタキセル(タキソール他) | |
レパグリニド(シュアポスト) | |
バルサルタン(ディオバン他) | |
CYP3A4、5 | アトルバスタチンカルシウム(リピトール他) |
シンバスタチン(リポバス他) | |
シクロスポリン(サンデュミン他) | |
タクロリムス水和物(プログラフ他) |
相互作用とトランスポーター
薬物相互作用の原因としては、薬物代謝酵素チトクロームP450をまず思い浮かべますが、最近は添付文書上にトランスポーターの記載がみられるものもある。
P糖タンパクもトランスポーターの一種である。
SGLT2阻害薬の、SGLT2もトランスポーターである。
OCT2(organic cation transporter2)=有機カチオン輸送系
メトホルミンは主にOCT2を介して尿中に排泄されると考えられている。
メトホルミンの相互作用
シメチジン(タガメット:H2ブロッカー)
ドルテグラビル(テビケイ:抗HIV薬)
バンデタニブ(カプレルサ:甲状腺がん治療薬)臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。機序・危険因子
これらの薬剤の腎臓での有機カチオン輸送系(OCT2)阻害作用により、本剤の排泄が阻害されると考えられている。
タガメット側の添付文書にはメトホルミンに関する記載はみられない。
トランスポーターの種類
添付文書に記載されているトランスポーターの種類を調べる。
P糖たんぱく質
有機アニオントランスポーター(OAT):OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3
有機カチオンランスポーター(OCT):OCT2
乳癌耐性蛋白(BCRP)
多剤・毒性化合物排出トランスポーター(MATE):MATE1、MATE2-K
BCRP
腸管BCRPの阻害を受けやすい薬剤は、スタチン系薬、スニチニブリンゴ酸塩(スーテント)である。
特にロスバスタチン(クレストール)は多くのBCRP阻害薬をの相互作用が示されており、BCRPの遺伝子多型の影響を受けやすい薬剤でもある。
この理由は明らかにされていないが、スタチン系薬の中ではロスバスタチンが最も体内吸収率が低い(ロスバスタチン50%、アトルバスタチンカルシウム水和物59%、プラバスタチンナトリウム70%、シンバスタチン85%、フルバスタチンナトリウム93%)。また、スニチニブの吸収率も57%と低い。
吸収率の低い薬剤は、腸管でのBCRPによる汲み出しが盛んに行われた結果とも考えられる。
ロスバスタチンは、腸管だけでなく、肝においてもBCRP阻害の影響を受けやすいと考えられる。
つまり、ロスバスタチンが処方された場合には、常にBCRPに起因する相互作用に注意すべきである。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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