大動脈解離でも手術しない？

大動脈解離の手術適応

大動脈解離であるという患者が、手術をせずに薬だけ処方されていた。

大動脈解離は緊急手術と思いこんでいましたが。
解離性大動脈瘤というものもあります。

なお、大動脈解離と解離性大動脈瘤（かいりせいだいどうみゃくりゅう、dissecting aneurysm of the aorta）とを混同しないよう留意されたい。この症例においては特に瘤形成を認めないことも多く、前述の症状の中でも、大動脈の径が拡大して瘤形成を認めた場合にのみ「解離性大動脈瘤」と呼ばれるからである。大動脈解離 – Wikipedia

大動脈の内層と外層が解離するのが大動脈解離。
それがコブ状になったら、解離性大動脈瘤ってことかな。
どっちにしろ壁は薄くなって破れやすい状態になっていることには変わりない。

いずれ手術しないと死亡リスクは高いまま、と思いますが。

手術適応の根拠
以下の死亡率が手術を行うかどうかの根拠となっています。

急性A型大動脈解離　保存治療の死亡率55.9％ 手術治療の死亡率26.6％
急性B型大動脈解離　保存治療の死亡率9.6％ 手術治療の死亡率32.1％

※つまり、保存療法（手術をしない）場合と手術治療を行った場合との死亡率を比較した場合、急性A型大動脈解離では手術治療の方が死亡率が低い（26.6％＜55.9％）ので、手術治療となります。また、急性B型大動脈解離では保存治療の方が死亡率が低い（9.6％＜32.1％）ので、保存治療となります。大動脈疾患について 大動脈瘤の専門医　日本で唯一の大動脈専門医療センター｜川崎大動脈センター

心臓から出てすぐの大動脈の部分が解離していると危険な大動脈解離でA型と呼ばれる。
A型は手術。
下行大動脈以下の解離、B型は比較的危険性が低いので保存療法が選ばれる。
手術による死亡率も3割近くあるので、手術すりゃ良いってわけにもいかない。

大動脈瘤の手術で下半身麻痺？

胸部～腹部にいたる広範囲の大動脈瘤の場合、大動脈から各臓器（腹部臓器、腎臓、脊髄など）への分枝も再建しなければなりません。

人工血管置換術に分枝再建も伴うため、難易度の高い手術です。術中に脊髄への血流供給がうまくいかない場合は下半身麻痺（対麻痺）、感覚障害、排尿障害を合併することがあります。

大動脈とは、全身に血液を送る大血管のことです。
大動脈はまず心臓から頭側に向かって出ると、弓状にカーブを描き、胸部の左後ろを下に向かって走行します。そして横隔膜を貫いて腹部に入り、臍の少し下の高さで左右に分かれますが、一般的にここまでを「大動脈」と呼びます。この間で、人体の各部へ送られる血管が枝分かれしています。横隔膜の上を胸部大動脈、下を腹部大動脈と呼びます。

大動脈瘤とはこの大動脈の一部が瘤のように膨らんだ状態のことです。
瘤は大動脈のいろいろな部位にできます。
胸部、腹部、また両方にまたがれば胸腹部となります。胸部でも上行、弓部（弓状になって脳へ向かう重要な血管が出ている部分）、下行と区別されています。
瘤には大きく2種類の形があります。「紡錘状」のものと「嚢状」のものです。
紡錘状の瘤の場合、正常の大動脈経の1.5倍以上に拡張している時に大動脈瘤と診断します。よって胸部では45mm以上（正常30mmぐらい）、腹部では30mm以上（正常20mmぐらい）を一般的に瘤と診断します。一方、嚢状瘤は小さくても形が明らかであれば瘤と診断されます。

大動脈瘤で声嗄れ？

反回神経という声帯を動かす筋肉を支配している神経があります。

そのため、この反回神経が障害されると声帯が閉じないため、声嗄れ、誤嚥などの不都合が生じます。

心臓から出ている大動脈のそばにも、この反回神経が走っているので大動脈瘤が原因で、声が嗄れるということもあります。

大動脈瘤の手術後に、声が嗄れるということもあります。

甲状腺や食道の手術後に声が嗄れることもあります。