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乳糖で賦形しちゃいけない薬がある?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約6分48秒で読めます.
33,665 ビュー. カテゴリ:乳糖の配合変化
「乳糖を混ぜちゃいけない薬ってありますか?」と聞かれて困る私です。
散剤の調剤時に、量が少ない時は、乳糖で賦形する。
定番の行動になっていますが、乳糖で賦形できない薬というのも存在する。
ネオフィリン(アミノフィリン)末、イスコチン(イソニアジド)末は乳糖賦形ができません。
これは、両剤とも乳糖との混合により配合変化を起こし、含量低下が起こるためです。そのため、両剤を賦形する場合には、でんぷんを使用します。
なお、乳糖不耐症の場合には下痢を起こすために乳糖は用いないし、糖尿病の場合にも留意すべきです。
先日、結核予防にイスコチン末の処方が出て、乳糖賦形しそうになって「やべ」みたいになった。
ネオフィリンもあまり処方されない薬なので、気付かずに乳糖で賦形しないように、注意。
乳糖で賦形できないということは、乳糖を含有する散剤との混和もできないということ。
アミノフィリン、イソニアジドは他の薬との混和で配合変化を起こし得るので、単独で調剤することが望ましいだろう。
イソニアジドと乳糖を混ぜてはダメ?
イソニアジドと乳糖を混合すると力価が低下するため、イスコチン錠粉砕時はデンプンで賦形をする。
賦形の目的
散剤調剤時に賦形剤を加えることで、秤量誤差や分包誤差を少なくすることが可能となる。
また、賦形剤を加えることによって濃度が低くなり、分包紙内に残って服用できない薬剤の影響が少なくなる。
散剤調剤時に用いる賦形剤は通常、乳糖またはデンプン、あるいは乳糖とデンプンの混合物である。
乳糖は、広い粒度分布を持ち、混合性、流動性などに優れている。
しかし、患児によっては、賦形剤に通常用いる成分を服用できない場合があったり、粉砕する薬剤によっては、薬剤と賦形剤とを混合することで変色や力価の低下が起こる場合があるため(例:イソニアジドと乳糖を混合すると力価が低下するため、イスコチン粉砕時はデンプンで賦形をする)、注意が必要である。
賦形剤の量
賦形剤の量を増やすと誤差を小さくできるが、小児では1回に服用できる量に限度があるため、賦形剤の量が多過ぎると全量を服薬できなくなるという問題が起こる。
そのため、散剤の自動分包機の精度を確認し、1回服用量を0.2~1gの間にするように賦形剤を加える方法が取られることが多い。
また、賦形剤の量により、調剤された散剤のかさや外観に違いが生じる。
患児本人や家族の混乱を防ぐため、調剤内規で調剤方法を統一することが大切である。私の薬局では1回服用量が0.3gに満たない場合は、1回当たり0.3gの乳糖を賦形している。
イトリゾールやタケプロンの脱カプセルなど、カプセル剤の内容物が顆粒の場合は、賦形剤と粒子径が異なり均一に混合できないため、賦形剤は添加しない。
顆粒と円盤
転逃性のある顆粒(イトリゾールやタケプロンの脱カプセルなど)は、円盤型の分包機では、顆粒が転がってしまい分包誤差を生じやすいため、往復型の分包機で分包を行うなどの工夫が必要である。
牛乳アレルギー患者に乳糖を使用してもいいか?
牛乳アレルギーは食物アレルギーの一種で、牛乳などに含まれる「カゼイン、乳清タンパク(α、β-ラクトグロブリンなど)」をアレルゲンとします。
局方乳糖では、純度試験により「混在の可能性が予想される蛋白質など」についても試験しており、その製造工程等から考えて、蛋白質の残留は考えにくいので、問題ないものと考えられます。
また、乳糖は加工食品中に甘味剤として添加されており、相当広範囲に使用されていることから疫学的に見ても、問題ないものと考えられます。
牛乳アレルギーは牛乳蛋白(カゼイン、β-ラクトグロブリン、α-グロブリン等)をアレルゲンとする食物アレルギーで、消化器症状(下痢、血便、嘔吐等)、皮膚症状(蕁麻疹,かゆみ等)、呼吸器症状(くしゃみ,鼻水,呼吸困難等)など多彩な症状を示します。
乳糖分解酵素ラクターゼの活性が低下・欠損した乳糖不耐症とは異なる。
しかし、牛乳アレルギー患者においては乳糖不耐症の頻度が高く、また乳糖不耐症の患者においては牛乳蛋白に対するアレルギーが存在したとする報告や、乳糖に牛乳蛋白が混入している可能性があるとする報告があるので、牛乳アレルギー患者に乳糖を使用する場合は慎重にする。
賦形剤として多用されている乳糖自体には本来アレルゲン性は認められないが、精製過程で微量の牛乳由来蛋白質が混入することがあり、重症の牛乳アレルギーの場合は使用を控えるべきである。
非常に感受性の高い牛乳アレルギーの患者は、乳糖によって症状を誘発することがあるので注意が必要である。
乳糖を含まない薬を選ぶのは困難だが、「牛乳アレルギーである」という患者に対しては、どの程度のレベルの牛乳アレルギーであるか聴取し、不必要な乳糖の賦形は避けた方が良い。
ドライシロップは賦形しちゃダメ?
粉薬を調剤するとき、量が少ないと分包しにくい、飲みにくいなどの理由で乳糖などでカサを増やす「賦形(ふけい)」という方法がとられます。
1回量0.1g~0.3gくらいの乳糖で賦形することが多い。
うちの薬局では0,3gと決められている。
しかし、量が少なくても賦形しない場合がある。
顆粒やドライシロップ、あと重カマみたいな比重の重い粉。
これらの薬と粒子径の違う乳糖を入れて、乳鉢でかき混ぜてもよく混ざらない。
しかし、乳糖にも色々あるようで。
いずれも日本薬局方 乳糖水和物の規格に適合しています。
最も大きな相違点は、粒度分布で、乳糖水和物原末「マルイシ」は小さい粒子が多く、乳糖水和物原末「マルイシ」(粒状)は大きい粒子が多くなります(表)。このため、性状、安息角など物理化学的性質が異なります。
一般に、大きい粒子が多いほど流動性がよくなり、取り扱いやすく調剤し易いですが、粒子径の小さな主剤との混合性が悪くなります。乳糖水和物原末「マルイシ」と乳糖水和物原末「マルイシ」(粒状)の違いは?
乳糖なんてどこのメーカーのものも同じだと思っていましたが、粒子の大きさに違いがあるようなので、発注時には今までと同じものを選ぶように注意する。
賦形すべきか
うちの薬局では、1回あたりの量が0.3g未満の場合、0.3gの乳糖で賦形することになっている。
ほかの薬局では、0.2gとか0.5gとかあるようだが。
賦形の方法には、①1包あたり規定された重量となるよう、賦形剤を添加する方法、②1包あたりの主薬の重量にかかわらず、規定量の賦形剤を添加する方法、の2種類がある。
②では、1包あたりに添加する賦形剤の量が一定なので、1包の重量から賦形剤の重量を差し引くことで1包あたりの主薬の秤量を確認できるため、監査がしやすい。
患者さんによっては、賦形しないほうがいいという患者さんもいる。
基本的に円盤で回せば、ある程度少ない量でもいけると思いますが。
薬剤師によって賦形の量が違ったり、賦形しないという判断をしても良いですが、同じ患者さんに対して賦形の量がその都度変わると不信感を持たれますので、薬歴にどのような調剤方法で行ったのか申し送りは必要。
賦形剤の請求はできるか?
Q.処方された分量が微量のため倍散にして調剤する必要があるが、処方せんに賦形薬の記載がない場合、どのように取り扱うのか。
A.無害妥当な賦形薬を使って製剤したときは、用いた賦形薬並びにその分量を処方せんの余白に記入する。
また、請求明細書の処方欄にも記載して調剤報酬の計算をする。
賦形剤の請求もできるようですが、私の経験では処方せんに記載されていない乳糖や単シロップなどの賦形剤の請求をしている薬局は見たことが無い。
恐らく「面倒だから」という理由だろう。
また、賦形剤の計量混合加算については、「医師の了解を得れば可能」という解釈のようだ。そのため、処方せんに「乳糖」との混合が指示されていれば計量混合加算は算定可能です。そのため薬剤師の判断で賦形したものについては、計量混合加算は算定できません。疑義照会をすれば算定可能かも知れませんが、これまた面倒です。
参考書籍:保険薬局業務指針2010年版
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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